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17.覚悟     sideラン&ラミ

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「…何かおかしいわね」


「…ええ」


 賊達を問題なく潰し終えた後私達はこの状況の不自然さに疑問を抱いていた。この賊達は、馬車の中にいるのが女3人だけだと知っていた。どうして知っていたのかしら?


「…偶然ってこともないみたいだし誰かから頼まれたのかしら?」


「何のために?」


 私達を狙って来たにしてもその理由がわからない。


「さぁ?それはわからないわ。とりあえず早く帰ってローレン様や旦那様に知らせしましょう」


「ええ、そうね。このままここに留まっておくのも危険だわ」


 誰が何のためにこんなことを仕向けてきたのかわからない状況でいつまも同じ場所に留まっておくのは危険だ。


「…さぁ行きましょ…」


グギャァァァァアオォ!!!

「「っ!?」」


 何!?この鳴き声はっ!?


「…ヤバいのが来ましたね」


「…ええ本当にね」


 威圧を含んだ鳴き声の後、私達の前に現れたのはライオンの頭に羊の胴、蛇の尾をもった魔物であり威圧感溢れる様子で獲物である私達を見つめるキメラだった。厄介なことにその他にも数匹魔物がいるみたいだ。


「……ラミ勝てる?」


「……ラン勝てる?」


 …目の前の強敵に足が震えてくる。私達は対人としては強い方だと自負しているが、ローレン様や旦那様みたいな人外じみた強さはないのだ。お互い目の前の敵からは目を逸らさず自分の半身へと問いかける。


「……ふふ。どうかしから?…でも勝てると言わないと奥様の身が危険よね」


「……ふふ。そうね。やっと旦那様にできた大切なお方だものね」


「ええ」


 すぐに護衛の1人に増援を呼んでくるように伝えると、魔物達に向き合う。


 私達にとって旦那様は命の恩人であり、私達に対しても平等し接してくださる尊敬すべきお方。ずっとそんな旦那様の気持ちを蔑ろにし、歩み寄ろうともしない奥様に憤りを感じていた。だけど奥様と話せば話すほどこれ程優しく、旦那様とお似合いな方はいないと思った。


 奥様はここまで関係が拗れてしまったのは全て自分のせいだと言っていたがそんなことはない。もっと私達が奥様に寄り添い、率先して旦那様と奥様の仲をとり持とうとすればよかったのだ。それなのに私達は自分勝手な思い込みと勘違いで奥様を蔑ろにして1人にしてしまった。そして、そこをロゼリア様につけ込まれてしまった。これは私達の恥ずべき行為であり、間違いでもあった。


 ずっと奥様を傷つけてきてしまった私達だが、今では私達2人とも奥様のことをとても尊敬し、仕えるべき主と認めている。ーーだからこそやっと想いが通じ合えた2人の邪魔をする者は誰であろうと許さない。


「ラミ、絶対にここは守り切りますよ」


「ええ、ラン。どんなことがあろうとも」


「「絶対に奥様だけは守る」」


 例え手足をもがれ、地面に這いつくばりこの身が朽ち果てることになろうとも奥様に手出しはさせない。

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