5人の日記

8m

道の無い場所の草木をかき分けて段々と山頂付近へと登っていく彼女達。それとは反対にどんどんの沈みゆく太陽。彼女達にとって、夜の方が誰にも見つからないという理由があり、夜のほうが行動しやすいのだが。

モネ「……うわっ、蜘蛛の巣ですっ」

ムベージュ「お？その蜘蛛チョコ掛けて食ってみなよ。凄くまずいから。」

ルフェラ「この蜘蛛まで食物対象範囲なのね」

彼女達と同様に昼には見られなかった様々な動物たちも同じように活動を活発化させ、不法侵入者をありとあらゆる手で追い出そうとしてくる。

メルズ「……うーん、暗いわね。誰かリズファイアーしてよ」

ミテス「魔力残ってるわけないって。さっき叱られてやる気なくしちゃったし。」

メルズは先程、遅くなった彼女らを怒ったことを少しだけ後悔した。そうすれば、この暗闇に染まりつつあるこの空気を一変することができたかも知れないと彼女は妄想を膨らませていた。

ムベージュ「うわっ、この微礁類めっちゃ滑ってやがるわ。」

モネ「うわっ、ちょ、キショいんでこっち持ってこないでくださいって」

完全にムベージュの頭の中は夏休みに、外で遊びたがりの男子小学生のようであった。そして、これを見ていたメルズの眼には好きな子にいたずらしようと模索している男の子のように映った。

ずしん。

いきなり、地面がまるで荒立つ波のように激しくゆったりと振動した。あまりにも急にやってきたため、ミテスとモネはふらっと倒れてしまった。ルフェラとメルズはなんとか近場の木にもたれかかっていた為に倒れることはなかったが、ムベージュが倒れたことにより、持っていた微礁類がメルズの顔面にヒットした。

メルズ「うわァァァああああ!!!」

今日一番の大声がこの山中に響き渡り、近場にいた動物は何事かと顔を出していた。
　先程起こった謎の振動は何だったのだろうかと彼女達は不安がっていたが、メルズの顔面にいるヌメヌメとした微礁類を取り除くことに必死になり、そんなことなどどうでも良くなってしまっていた。