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しおりを挟む食後のデザートタイム。
今日はカリンの大好きなカップアイスにした。
ニコニコしながら食べている。
言うなら今。いましか……ない。
生唾を飲み込み意を決する。ゴクリ……!
「じ、実は今日な、学校帰りにカリンの友達とバッタリ会ってな。少し話してきたんだ」
「へえ。そうなんだ」
それはあまりにも気の抜けた返答だった。
パクッとして、にぱぁ!
変わらずにカップアイスを頬張っている。
意を決して話したはずが、以前と以後でなにも変わらない。
あれれ……。んんん?
「お、おお。陽菜ちゃんと雫ちゃんな。よく話してたろ?」
「……ああ! 懐かしい名前だね。知ってる知ってる」
そう言うとまたしてもパクッとして、にぱぁ!
まるでありふれた日常会話をしているような、そんな雰囲気。
カップアイスに夢中でわかっていないのか。なんにしてもこれは好機。言うなら早いほうがいい。
“勝手なことして。お兄ちゃんのバカ!”
これくらいの覚悟はしている。
さぁ、カリン。俺のことを叱ってくれ。
お兄ちゃんな、勝手に出過ぎた真似をしちゃったんだ。
少し早いが最終フェーズ。手紙を渡すとしようか。
さすがにこれを見れば事の次第に気付くはず……!
「それでな、手紙を預かって来てるんだ」
カリンに手紙を渡すと、アイスを食べる手を一旦置いた。
ダイニングテーブルの上に手紙を広げると、カップアイスを頬張りながら眺めた。
「へえ~。こういうの懐かしいかも。小学生って感じがすごい伝わってくる……! 可愛いなあ」
スプーンを咥えながら笑みを浮かべた。
うんうん。と俺も微笑みたいところだが、言っていることが若干おかしい。
……若干? いやいや、明らかにおかしい。
しかもこれでは会話が終わってしまう。……少しだけ、踏み込むか。
「手紙、なんて書いてあるんだ?」
書いてある内容は知っている。
早く学校来てね。とか、一緒に遊びたいよ。とかそういう類のことだ。それに絵がいっぱい書いてある。
言ってしまえば絵ハガキみたいなものだ。
「うーん。学校来いって書いてあるね」
そう言うとシュンとした。
その顔を見てハッとするも、カリンの視線は手紙からカップアイスへと移り変わっていた。
どうやら食べ終わってしまったようだ。
いやいや。まさかな。そんな、まさかな?
そのシュンはカップアイスの喪失が原因だとでも言うのか……。そんなまさか!
「良かったらお兄ちゃんのも食べるか?」
一瞬、笑顔が戻った。……あぁ。察し。
「いい。それはお兄ちゃんのだから」
「今日はもう食べれそうになくてな。カリンが食べてくれないとなると、このアイスは……」
「……なら、食べる!」
笑顔が完全に舞い戻った。
先ほどまでの話は何処へと。
パクッとして、にぱぁ! カリンの笑顔がただただ可愛い、食後のひととき。
それを眺めて俺もホッコリする。
……いや。いやいや。
なにかがおかしい。
なにかが……違う。
その“なにか”はひとつやふたつじゃない。
会話も反応も、全体的におかしなことばかりだった。
どうしちゃったんだよ……カリン……。
もう、学校に通っていたことは遠い過去の記憶だとでも言うのかよ……。
──……カリンだけがスマホを持っていない。そのことが、脳裏を駆け巡った。
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