7 / 106
7話
しおりを挟む『クソがッ!!』
俺は部屋の壁を蹴った。殴った。暴れた。そして、妖精さんにストップを掛けられた。
『馬鹿たれ! グーパンしようとしたじゃろ!』
俺がイラつく横で、妖精さんは激おこだった。
『やるならパーじゃ! 引っ叩くんじゃ! 女の子をグーで殴る男はな、終わっとる』
両手を俺に突き出し何度かグーパーしパーで止めた。
小馬鹿にされているような身振りだが、不思議と落ち着きを取り戻した。
しかし、グーはダメでパーならOK。感慨深いな。
『わかったよ妖精さん。思いっきり引っ叩けばいいんだな』
『はぁ。もう好きにしろ。グーパンじゃなきゃええ。クソ女って事に関しては同意じゃからな』
呆れ口調かと思えば熱い口調になり、続けた。
『じゃが、理由がなきゃダメじゃ! 引っ叩いてスッキリしてタイムリープ! こういう使い方はあかん!! 絶対にあかん!!』
何度も言われている事だ。タイムリープの悪用は厳禁。何故ダメなのかは教えてくれない。禁忌にでも違反するのだろうか。
結局俺は、白石を殴り損ねて昨晩に来てしまった。この気持ちはチャージと考えよう。
攻略したらズタボロに、そうだ。ボロ雑巾のように捨ててやろう。覚悟しとけよ白石。
『リク! リク!!』
妖精さんが痛々しい目で見てくる。どうやら怪しい笑みが溢れていたようだ。いけない。いけない。
『おーけーだよ。それで、情報はどう?』
『クソ女って事はわかったがのう。まだまだ足りんのう』
妖精さんは人差し指を上に突き出し、分析結果を話してくれた。
『収穫があったとすれば、白石ちゃんの隣に居た子じゃな。四天王の1人、二見ちほじゃ』
『ははっ。四天王ねぇ……』
『笑うでない! まったく、秋月ちゃん以外には興味ないんじゃから……』
呆れつつも妖精さんは続けた。
『白石ちゃんに近づく為に二見ちゃんと付き合うのじゃ。あの様子、ひょっとしたらイチコロかもしれん』
『近づくためだけに付き合うのか? 別にいいけど……すごい遠回りをしている気が……』
『なにを言うか! 最短ルートじゃ! 二見ちゃんと付き合う事でリクの評価も上がる。一石二鳥じゃ!』
興味無さそうな俺を見て、妖精さんが頭をコツンと叩いてくる。 な、なんだ?!
『あほー!! 四天王の二見ちゃんをイチコロじゃぞ? こんな奇跡無いんじゃからな!』
いや、本当に興味ないんだよ……。誰だよ二見って。
とは言える訳も無く。俺は静かにうなずいた。
『リクが白石ちゃんにドンッしてる時にときめいておったからのう。ドンッの1つや2つくれてやればいけるじゃろ! あれは……ときめき系ドン女子じゃ!』
『はいはい。オーケイ。ドンッやりますよ』
随分と遠回りをしている気がする。俺と秋月さんとの間に計り知れない距離がある事を、嫌でも実感してしまう。
──イマイチ納得は出来ないが、二見ちほとかいう女の攻略を始めることにした。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる