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23話
しおりを挟む目が覚めると、何故か膝枕をされていた。起き上がるのを惜しいとすら思った。
時間は15時を過ぎていたようだ。
色んな事があったからか、心地良かったからか……とりあえず寝過ぎてしまった。はぁ。
この後、ママに紹介したいからと強引に家へ連れて行かれそうになったが、謎が多過ぎる現段階では危険と判断し全力で断った。
そして……、
──結局、妖精さんが現れる事は無かった。
どこに行ってしまったのか。断りもなしに居なくなる事なんて初めてだ。
色々あり過ぎて気にする余裕も無かったが、これは一大事だ。このまま妖精さんが現れなかったら?
俺はどうなるんだ?
しかし、探すあてもない。俺は妖精さんの事も、知らなさ過ぎる。
──今日は色々と突き付けられる日だな。嫌になってくるよ。あはは。
とりあえず真っ直ぐ家に帰ることにした。
◆◇◆
「ただいまぁ」
はい。誰も居ません。いつも妖精さんと帰ってくるから忘れてたが、ほんと、寂しい家だな。
──俺の部屋から何やら音がする。
《うまうまぁ。新作バーガーまじうまぁ!!》
『カカカ! 一口で食いよった! まじうける!』
よ、妖精さんだ!! 俺は勢いよく部屋のドアを開けた。
『あ~、おかえり~。』ボリボリボリボリボリ
ベッドの上に寝っ転がりながら〝ポテチ〟を食い、ノートPCで何やら〝動画〟を観ているようだった。
『良かった。良かった』
安堵からか、俺はそれ以上の言葉が出ない。
《今日は全種類のバーガー食べちゃいまぁぁす!》
『なんじゃ、まだ食うのか! まじうける!』
ボリボリボリボリボリ
勝手にポテチを食うな、食いカスをこぼすな。など色々と言いたい事はあるが、とりあえず妖精さんが元気そうで何よりだ。……でも、お行儀が悪いな。
『妖精さん、食べるならティッシュの上にしてくれと何度も言ってるだろ』
ティッシュを一枚取り妖精さんの下に敷いた。
『うっさいのう!! この几帳面が!!』
ボリボリボリボリボリ
目の前に妖精さんがいる。しかもこの様子は確実に元気だ。今はこの感動のほうがでかい。本当に良かった。
《今日はパンケーキ! こんなに用意しちゃいましたぁー》
『カカカ! 本当に食べれるのかぁ? おぉん?』
…………。
《う~~ん!デリシャス!!おいちぃぃぃ!!》
『うける! なにこいつ!!』
…………。
ボリボリボリボリボリ。
…………。
──不思議な事に、時間が経つと感動も薄れ、目の前で怠惰な姿を晒す、妖精さんが心配になる。
……まさか妖精さん。今日一日中、動画投稿サイトの食べちゃいました系動画を観てひとり言を垂れ流してたのか? 嘘だろ?
『カカカ! まじうける! 食い過ぎじゃ!』
ボリボリボリボリボリボリ
っぽいな。どうしたって言うんだよ。らしくないだろ妖精さん……。これじゃまるで、にー……。
聞きたい事はたくさんある。でも何から話したらいいのかわからない。
妖精さんの変貌ぶり、二見ちほの謎。
今日、俺を取り巻く環境は激変した。
──しかし、やり直しはしたくない。さて、何から話そうか。
──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。
《だいしゅき♡》
……クマがチュッチュしてるスタンプだ。
いや、空気読んで下さいよ。……でもほんと、どうしよう。もうちほの事を好きになってしまっている。誤魔化しきれない。
妖精さんになんて言おうかな……。
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