優しさだけでは付き合う事が叶わなかったので、別の方法で口説く事にしました♪

おひるね

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24話

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『妖精さん、話いい?』

『今、いいとこ。あとにしてくれ』
 ボリボリボリボリボリ。

 ……………………。

 ……………………。


《やっぱり〝おにぎり〟でしょ!!》


 次の動画始まっちゃったよ。今度はおにぎりか。妖精さん、まじでどうした。


『おにぎりはいいや。じゃ、リク話するか』
『あ、うん』

 なぜ、おにぎりはいいのか問いたいところだが、話が長くなりそうだからやめておこう。

 ポテチで油まみれになった指をちゅぱちゅぱ舐めながらこちらに向かって飛んで来る。

 …………。


『リク、少し休もう。休憩じゃ』
 悲しげに話す妖精さんは俺のワイシャツの袖で指を拭いていた。目が合う。うん。いいよ……タオルだと思って使ってくれ。

 ちほの予想外の行動が堪えているのだろうか。さっきまで動画を観てはしゃいでいた顔つきではない。

『ゆっくり休むといいよ。俺の事は気にしなくていいから』
『リク。すまんのう……。もぐもぐ男爵25世が明日は超特盛ラーメン食べるって言うから……過去に戻るのはそれを観てからでもいいか?』

 もぐもぐ男爵? 25世? 
 いや、それよりも……戻る? 戻るって言ったのか? 何故? 嫌だ。戻りたくない。今はまだ。もう少しだけ……。

『どうしたリク? そんなに戻りたいのか? はぁ、仕方ないかのう』

 待て、ダメだ。それだけはダメだ。止めないと。

『待ってくれ妖精さん!!』
 俺はつい声を荒げてしまった。

『ど、どうした急に?』
『戻らなくていいよ。も、もぐもぐ男爵25世の動画観たいんだろ』
『そうじゃが。朝、戻りたがってただろう。聞こえては居たんじゃぞ』


 ──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。

《返事がなぁい。既読ついてるのに……》
 ……クマが落ち込んでる。

 やばっ。返事返してなかった。いや、でも今はそれどころじゃない。


『じー、メッセージか? 珍しいのう』
『いや、これは別に』
『じー、戻らなくてええのか?』
『無理して戻る事もないよ』
 妖精さんは何やら疑っている。どうする……包み隠さず話すか?
 目的からズレてしまっているんだぞ。話していいのか?

 このままずっと、とは思っていない。思ってはいけないんだ。わかっている。
 せめて……もう少しだけ。



 ──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。

《うわぁぁん。りっくんのばかぁ……》
 ……クマが泣いている。

 やばっ。とりあえず、こっちが先だな。えっと……。



 俺は、ちほへの返信に夢中だった。
 
『二見ちゃんって可愛くてええ子だよなぁ?』
『あ、うん。そうだね。可愛いね』
 妖精さんはポカーンとしてしまった。しかし次第に驚き慌てる。
『ちょっ、リク? 今なんて言うたのじゃ?!』

 しまった。返信に気を取られ無意識に本音が出てしまったのか。


 ──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。

《うー、りっくんに会いたい!!》
 ……GOGOって動いてる。


 落ち着け。既読を付けなければいいんだ。このままボタンを押さずに放置。



 ──状況は最悪。答えは一つしか無いよな。隠せる訳がないんだ。この気持ちに嘘はつけない。

 俺はもっと、ちほと一緒に居たい。
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