25 / 106
25話
しおりを挟む『妖精さん。俺は二見ちほの事が好きだ』
この気持ち、正直に言うしかない。下手な芝居は通用しない。何よりも失礼だ。ずっと一緒にタイムリープをしてきたんだ。一瞬でも隠そうとしてごめんな。
『な、なんじゃと?』
妖精さんはポカーンとしてしまい、言葉の意味を理解出来ていない様子だ。
『ちほの事が好きなんだ。好きになっちゃったんだよ』
『秋月ちゃんは?!』
『好きだ』
『どっちが好きなんじゃ』
『…………。』
どちらが好きとかわからないし、選べない。ただ、好きな気持ちは本当だ。でも、言葉にならない。なんて言えばいいんだよ。
『何があった? 全部話すのじゃ!!』
妖精さんは驚いている。当然だ。今まで何十年と時を過ごして来たが、秋月さん以外の女子の事はモブだのミジンコと言ってきたのだから。俺自身、驚いている訳だし。
俺は話した。とは言っても、キスした事やギュッギュッした事は照れくさくて言えなかった。
『なるほどな。だからタイムリープはしたくない。もう少しこの世界に居たい。とな』
『うん』
怒ったり呆れたりするかと思ったが、妖精さんは至って普通の様子だ。
『ええよ。リクがそれを望むなら。じゃがな、二見ちゃんとの先に未来は無い。わかっておるな?』
『わかってる』
『ならええ。白石ちゃんの情報収集だけは忘れずにする事。それだけじゃ!』
反対されるかと思った。けど、妖精さんは余裕。と言うかまるで何かを悟っているような口調だった。何故だろう。
──ピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。
《もうだめ。りっくんが足らないよぉ……ぎゅーーってしてちゅうしたぁぁい》
……クマが泣いてる。
『おっ! なんじゃ。どれどれ』
スマホ画面を覗き込む。そして……
『ぐはっ!!!! な、な、なんじゃこりゃぁぁ?! お、おいリク?! まさか?!』
今日一番の驚き来ました。未読スルーしてたはずなのに、またメッセージが来た事に俺も驚いてますけど。
『うん。これ日常』
『なんじゃと……。情けない!!! この阿呆が!!』
急に切れ出す妖精さん。キスした事に驚いてるのかと思ったけど、何やら違う様子だ。
『行くぞ!! 舐められとる。うちのリクを舐めおって!!』
『行くって何処に? 急にどうしたんだよ』
『はぁ? ギュッてしてチュ。リクがするならええ。でも違うじゃろ!! いつから受け身になったんじゃ!! 阿呆が!! 行くぞ!!』
あー、言いたい事はわかった。でもそんなに怒る事か。
ーーピコン。ちぃちゃん♡からメッセージ。
《うー、既読つかなぁぁぁぁい。会いたい会いたい会いたーい。ぎゅーってしたぁぁぁい。》
……クマが泣いてる。
『ほれみろ! 〝されたい〟ではなく〝したい〟って言っておるぞ! こういうのはな、大きなしこりを残すんじゃ!!』
いけしゃあしゃあと語る妖精さん。確かに受け身だった。でもそれはちほが強引なだけで、さして問題ないのでは。
それよりも、既読を付ければ既読無視と。未読なら既読がつかないとメッセージが来る。俺はこっちのほうが問題だと思うのですが…………。
……でも何故? 俺はこんなにも好かれているんだ?
した事と言えば壁ドンと耳つぶ。だけ。
朝、妖精さんは頭を抱えて驚き、予想が外れた事に絶望していた。そうなんだよ。俺は壁ドンと耳つぶしかしていない。それ以外に接点も無ければ話した事もない……まさか、俺の壁ドンには不思議な力でも宿っているのか?!
──お、俺の壁ドンってもしかして?!
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる