優しさだけでは付き合う事が叶わなかったので、別の方法で口説く事にしました♪

おひるね

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52話

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 「ふんふんふーん♪ ふんふんふーん♪」

 妖精さんはうつぶせに寝ながら頰をつき、両足を交互にバタバタさせている。ノリノリだ。

 タッチペンが宙を舞い、メッセージアプリを開く

『リクは見ないほうがええかもなぁ?』

 挑戦的な目付き。ば、ばかにしやがって!!
 俺は妖精さんの裏から眺める事にした。

『とりあえず、まずは二見ちゃんだな』

《あ~、腹減ったなぁ。お前の事、食ってもいい?》

 バシッ! 止める間もなく送信されてしまった。

『なんて事するんだよ?!』
『あほ! 主導権を握れ!! この子は絶対に居なくならん。もっとデーンと構えろ!! デデーンとな! 受け身だから余裕もなくなり、デレデレするだけで周りが見えなくなるんじゃ。このドーテイが!!』

 ぐぬぬ。

『だらだらするなリク。突き進むんじゃ!! このままじゃ一年後もデレデレしてるだけのドーテイじゃ』

 ドーテイドーテイ言わないで。もう言わないで!!


 ──ピコンッ
  《うん♡ 好きなだけ……食べていいよ♡》

 なんて事をしてくれたんだ……。


『ノリノリじゃなぁ!! 唐突に送ったのに!!』

 ノリノリなのは妖精さん、あんたもだ!!


  《そんなに食べてほしいの?》
  《りっくんが……食べたいなら♡》
  《イチゴショートバーガー食ったから、やっぱいいや》
  《ふざけてるの?》


『ど、どーすんだよ?!』
『まぁ、待っとれ。焦るなリク』

 ──ピコンッ
  《ねぇ、聞いてんの?》


『なるほどなるほど。うむ。良い勉強になった』



 〝パチンッ〟

 ──俺たちはメッセージを送る前に戻った。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇

『うむ。二見ちゃんは怒らせないほうがええな』


 懐かしいなぁ。秋月さんの時に良くやってたなぁ。
 メッセージ送って腹のなかを探る。都合が悪くなれば〝パチンッ〟〝パチンッ〟〝パチンッ〟

 こうやって、今みたいにこの部屋でたくさんしたっけ。

 ……もしかして、思い出させる為にやってる? ま、まさかな。


『じゃ、次はこっち』
『まだやるの?! もうやめよう』
『あほーー! ここからが本番じゃ!』

 白石のメッセージを開く。俺宛に死ねだのなんだの書いてある。けど、文末には大切にしてあげなさいと書いてあった。

 上から目線。このクソ女……引っ叩いてやりたい……。

 しかし、妖精さんのお目当はそれではないようだ。履歴をどんどん遡る。どんどんどんどん。見てしまっていいのだろうか。──俺は目を逸らしてしまった。

『うむ。大体の事はわかった』

 珍しく深みのある顔をしている。何がわかったのかを俺に言う気配はない。──きっと、知らなくていい事なのだろう。



『じゃ、白石ちゃんにメッセージでも送るかのう!』

 目を逸らしていた俺は手招きされた。結構攻撃的な文章が作成されていく。すごい。

《いちいちうるせー女だな、お前なんかに言われなくてもわかってっから》

 『はい、送信っと!』すげぇぇぇええ!

 俺は妖精さんを突いた。超ドヤ顔がかえってきた。

《はぁぁぁ? あんた何様なの?》
《返信はやっ、もしかして暇人?》
《それはあんたもでしょ?!》
《ちほ以外と連絡取るつもりねーから。じゃ》
《死ねっ!!》



『うぉぉぉ! 妖精さんすげぇぇぇええ!』
『フッフッフッ。これくらい当たり前じゃ!』

 スッキリした気持ちになった。ありがとう。最高に感謝!

 …………。

 …………。

『ねぇ、妖精さん。戻らないの?』
『ほえ?』

 頭の上からハテナが出てきそうなくらい不思議に溢れた顔をされてしまった。

『いやいや、白石にあんなメッセージ送ったんだから戻らないとでしょ?』
『所詮はドーテイか。今のはツバをかけたんじゃ! 白石ちゃんみたいなお嬢様気取りにはこれくらいがええんじゃ』

 まじかよ。こんなのがツバになるとか嘘だろ?!
 しかし、自信に満ち溢れた顔を見ると信じる他ない。ちょっと怪しいけど……。いや、だいぶ怪しいけど。



 それに〝ツバ〟この言葉。今、それをする意味。

 どこまで先が見えているのだろう。聞きたいけど聞けない。聞かないほうがきっと幸せ。



 かくして、激動の第一回スマホ交換dayは終わった。
 
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