1 / 1
サムバティエルス
しおりを挟む
「But I'm picturing your body with somebody else.」
たまたま入っていたCDから無造作に流れてきた。
意味なんて知らない。
何言ってるかも分からない。
なんなら、寒いね。っていう日本語にすら聞こえる。
ただこの曲の雰囲気はとても好きなんだ。
●「寒いね。」
○「今年は特に冷えるね。早く車暖まらないかなぁ」
●「まだ息白いもんね。ほらっ」
○「暗くて全然見えない。」
●「えぇ?じゃあ次の街頭の時に息吐くから見といて。」
●「よし、今だ。ほらっ」
○「ふふっ。今物凄いバカな人に見えるよ。」
●「ひど。傷ついたわ。」
○「ガラスのハートをお持ちなようで。生きるのが大変でございますね。」
●「寂しい返事。」
○「優しい返事が欲しかったの?」
●「別にいいし。僕は冬に愛されてるから冬ちゃんに優しくしてもらうことにする。」
○「その心は?」
●「僕は冬が好きだから冬も僕のこと好きなはず。」
○「何言ってんだか。」
●「ずっと冬ちゃんのところに住みたいもん。ずっと一緒にいたい。」
○「はいはい…。あっ。そろそろじゃない?」
●「そうだね。このトンネルを抜けたらだ。」
○「久しぶりに来たよねぇ。前に来たのいつだっけ?」
●「2年前の夏…かな?」
○「そんなに前かぁ。あっ。でも暗くてなんも見えないや。」
●「ほんとだ。日の出までまだ4時間ちょっとあるし、しばらく真っ暗だね。」
○「そんなにあるのかぁ。初日の出まで起きてられるかなぁ。」
●「まだ年明けてないのに?健康な生活リズムだ。」
○「私みたいな良い子は寝る時間だからなぁ。あっ。あと5分で明けるよ。」
●「もう今年も5分しかないのかぁ」
○「1年って早いねぇ。」
●「寂しいな。」
○「しんみりしちゃって。年明けくらい明るく越そうよ!」
●「そうだな。…うーん。じゃあ、今から5分黙って、明けたと思ったタイミングで「明けた!」って言うゲームしよ。正解に近かった方の勝ちね。」
○「いいよぉ。罰ゲームは?」
●「ご飯奢りで。」
我ながら少し意地悪をしてしまったな。
○「乗った!じゃあスタート!」
ゲームが始まると、耳障りなエンジン音と意味も分かってない英語の歌だけがその場に残った。
「And at first, I thought it was a lie.」
「I hate to think about you with somebody else.」
「This ain't the last time that I'll see your face.」
○「はい!明けた!」
●「嘘ぉ?絶対まだだよ。」
○「いやいや、絶対明けてるよ!」
●「いや、まだ。もう少し。もう少し…。」
●「はい!今!」
○「ホントにーーー?じゃあ見るよ?」
○「ほんとだー!誤差7秒!」
●「どんなもんよ!」
○「これは完敗…。」
●「奢りだね。」
○「いつかね。」
●「いつでも言ってよ。飛んでいくから。」
○「腹ぺこすぎでしょ。」
○「あっ。これもしかしてもう着いた?」
●「うん。車そこに停めるね。」
だだっ広い駐車場だ。
僕ら以外誰もいない。
どこに停めてもいいくらいなのに、何回か車を切り返してやった。
○「やっと来れたーー!せっかくだったらここで初日の出見たかったなぁ」
●「ここにいたらいいのに。」
○「…ごめんね。」
○「ありがとう。」
彼女は車から出ていった。
二度と戻ることはないだろう。
彼女は僕には手が届かない存在だった。
届きそうで届かなかった。
そういったものほど綺麗に見えるんだ。皮肉なもんだ。
1人になると、エンジン音と音楽がやけにうるさく感じたのでエンジンを切った。
寒いなぁ。
たまたま入っていたCDから無造作に流れてきた。
意味なんて知らない。
何言ってるかも分からない。
なんなら、寒いね。っていう日本語にすら聞こえる。
ただこの曲の雰囲気はとても好きなんだ。
●「寒いね。」
○「今年は特に冷えるね。早く車暖まらないかなぁ」
●「まだ息白いもんね。ほらっ」
○「暗くて全然見えない。」
●「えぇ?じゃあ次の街頭の時に息吐くから見といて。」
●「よし、今だ。ほらっ」
○「ふふっ。今物凄いバカな人に見えるよ。」
●「ひど。傷ついたわ。」
○「ガラスのハートをお持ちなようで。生きるのが大変でございますね。」
●「寂しい返事。」
○「優しい返事が欲しかったの?」
●「別にいいし。僕は冬に愛されてるから冬ちゃんに優しくしてもらうことにする。」
○「その心は?」
●「僕は冬が好きだから冬も僕のこと好きなはず。」
○「何言ってんだか。」
●「ずっと冬ちゃんのところに住みたいもん。ずっと一緒にいたい。」
○「はいはい…。あっ。そろそろじゃない?」
●「そうだね。このトンネルを抜けたらだ。」
○「久しぶりに来たよねぇ。前に来たのいつだっけ?」
●「2年前の夏…かな?」
○「そんなに前かぁ。あっ。でも暗くてなんも見えないや。」
●「ほんとだ。日の出までまだ4時間ちょっとあるし、しばらく真っ暗だね。」
○「そんなにあるのかぁ。初日の出まで起きてられるかなぁ。」
●「まだ年明けてないのに?健康な生活リズムだ。」
○「私みたいな良い子は寝る時間だからなぁ。あっ。あと5分で明けるよ。」
●「もう今年も5分しかないのかぁ」
○「1年って早いねぇ。」
●「寂しいな。」
○「しんみりしちゃって。年明けくらい明るく越そうよ!」
●「そうだな。…うーん。じゃあ、今から5分黙って、明けたと思ったタイミングで「明けた!」って言うゲームしよ。正解に近かった方の勝ちね。」
○「いいよぉ。罰ゲームは?」
●「ご飯奢りで。」
我ながら少し意地悪をしてしまったな。
○「乗った!じゃあスタート!」
ゲームが始まると、耳障りなエンジン音と意味も分かってない英語の歌だけがその場に残った。
「And at first, I thought it was a lie.」
「I hate to think about you with somebody else.」
「This ain't the last time that I'll see your face.」
○「はい!明けた!」
●「嘘ぉ?絶対まだだよ。」
○「いやいや、絶対明けてるよ!」
●「いや、まだ。もう少し。もう少し…。」
●「はい!今!」
○「ホントにーーー?じゃあ見るよ?」
○「ほんとだー!誤差7秒!」
●「どんなもんよ!」
○「これは完敗…。」
●「奢りだね。」
○「いつかね。」
●「いつでも言ってよ。飛んでいくから。」
○「腹ぺこすぎでしょ。」
○「あっ。これもしかしてもう着いた?」
●「うん。車そこに停めるね。」
だだっ広い駐車場だ。
僕ら以外誰もいない。
どこに停めてもいいくらいなのに、何回か車を切り返してやった。
○「やっと来れたーー!せっかくだったらここで初日の出見たかったなぁ」
●「ここにいたらいいのに。」
○「…ごめんね。」
○「ありがとう。」
彼女は車から出ていった。
二度と戻ることはないだろう。
彼女は僕には手が届かない存在だった。
届きそうで届かなかった。
そういったものほど綺麗に見えるんだ。皮肉なもんだ。
1人になると、エンジン音と音楽がやけにうるさく感じたのでエンジンを切った。
寒いなぁ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
双子の姉に聴覚を奪われました。
浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』
双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。
さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。
三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。
マリアの幸せな結婚
月樹《つき》
恋愛
花屋の一人娘マリアとパン屋の次男のサルバトーレは子供の頃から仲良しの幼馴染で、将来はマリアの家にサルバトーレが婿に入ると思われていた。
週末は花屋『マルゲリータ』でマリアの父の手伝いをしていたサルバトーレは、お見舞いの花を届けに行った先で、男爵家の娘アンジェラに出会う。
病気がちであまり外出のできないアンジェラは、頻繁に花の注文をし、サルバトーレを呼び寄せた。
そのうちアンジェラはサルバトーレとの結婚を夢見るようになって…。
この作品は他サイトにも投稿しております。
婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?
無色
恋愛
子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。
身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる