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サムバティエルス
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「But I'm picturing your body with somebody else.」
たまたま入っていたCDから無造作に流れてきた。
意味なんて知らない。
何言ってるかも分からない。
なんなら、寒いね。っていう日本語にすら聞こえる。
ただこの曲の雰囲気はとても好きなんだ。
●「寒いね。」
○「今年は特に冷えるね。早く車暖まらないかなぁ」
●「まだ息白いもんね。ほらっ」
○「暗くて全然見えない。」
●「えぇ?じゃあ次の街頭の時に息吐くから見といて。」
●「よし、今だ。ほらっ」
○「ふふっ。今物凄いバカな人に見えるよ。」
●「ひど。傷ついたわ。」
○「ガラスのハートをお持ちなようで。生きるのが大変でございますね。」
●「寂しい返事。」
○「優しい返事が欲しかったの?」
●「別にいいし。僕は冬に愛されてるから冬ちゃんに優しくしてもらうことにする。」
○「その心は?」
●「僕は冬が好きだから冬も僕のこと好きなはず。」
○「何言ってんだか。」
●「ずっと冬ちゃんのところに住みたいもん。ずっと一緒にいたい。」
○「はいはい…。あっ。そろそろじゃない?」
●「そうだね。このトンネルを抜けたらだ。」
○「久しぶりに来たよねぇ。前に来たのいつだっけ?」
●「2年前の夏…かな?」
○「そんなに前かぁ。あっ。でも暗くてなんも見えないや。」
●「ほんとだ。日の出までまだ4時間ちょっとあるし、しばらく真っ暗だね。」
○「そんなにあるのかぁ。初日の出まで起きてられるかなぁ。」
●「まだ年明けてないのに?健康な生活リズムだ。」
○「私みたいな良い子は寝る時間だからなぁ。あっ。あと5分で明けるよ。」
●「もう今年も5分しかないのかぁ」
○「1年って早いねぇ。」
●「寂しいな。」
○「しんみりしちゃって。年明けくらい明るく越そうよ!」
●「そうだな。…うーん。じゃあ、今から5分黙って、明けたと思ったタイミングで「明けた!」って言うゲームしよ。正解に近かった方の勝ちね。」
○「いいよぉ。罰ゲームは?」
●「ご飯奢りで。」
我ながら少し意地悪をしてしまったな。
○「乗った!じゃあスタート!」
ゲームが始まると、耳障りなエンジン音と意味も分かってない英語の歌だけがその場に残った。
「And at first, I thought it was a lie.」
「I hate to think about you with somebody else.」
「This ain't the last time that I'll see your face.」
○「はい!明けた!」
●「嘘ぉ?絶対まだだよ。」
○「いやいや、絶対明けてるよ!」
●「いや、まだ。もう少し。もう少し…。」
●「はい!今!」
○「ホントにーーー?じゃあ見るよ?」
○「ほんとだー!誤差7秒!」
●「どんなもんよ!」
○「これは完敗…。」
●「奢りだね。」
○「いつかね。」
●「いつでも言ってよ。飛んでいくから。」
○「腹ぺこすぎでしょ。」
○「あっ。これもしかしてもう着いた?」
●「うん。車そこに停めるね。」
だだっ広い駐車場だ。
僕ら以外誰もいない。
どこに停めてもいいくらいなのに、何回か車を切り返してやった。
○「やっと来れたーー!せっかくだったらここで初日の出見たかったなぁ」
●「ここにいたらいいのに。」
○「…ごめんね。」
○「ありがとう。」
彼女は車から出ていった。
二度と戻ることはないだろう。
彼女は僕には手が届かない存在だった。
届きそうで届かなかった。
そういったものほど綺麗に見えるんだ。皮肉なもんだ。
1人になると、エンジン音と音楽がやけにうるさく感じたのでエンジンを切った。
寒いなぁ。
たまたま入っていたCDから無造作に流れてきた。
意味なんて知らない。
何言ってるかも分からない。
なんなら、寒いね。っていう日本語にすら聞こえる。
ただこの曲の雰囲気はとても好きなんだ。
●「寒いね。」
○「今年は特に冷えるね。早く車暖まらないかなぁ」
●「まだ息白いもんね。ほらっ」
○「暗くて全然見えない。」
●「えぇ?じゃあ次の街頭の時に息吐くから見といて。」
●「よし、今だ。ほらっ」
○「ふふっ。今物凄いバカな人に見えるよ。」
●「ひど。傷ついたわ。」
○「ガラスのハートをお持ちなようで。生きるのが大変でございますね。」
●「寂しい返事。」
○「優しい返事が欲しかったの?」
●「別にいいし。僕は冬に愛されてるから冬ちゃんに優しくしてもらうことにする。」
○「その心は?」
●「僕は冬が好きだから冬も僕のこと好きなはず。」
○「何言ってんだか。」
●「ずっと冬ちゃんのところに住みたいもん。ずっと一緒にいたい。」
○「はいはい…。あっ。そろそろじゃない?」
●「そうだね。このトンネルを抜けたらだ。」
○「久しぶりに来たよねぇ。前に来たのいつだっけ?」
●「2年前の夏…かな?」
○「そんなに前かぁ。あっ。でも暗くてなんも見えないや。」
●「ほんとだ。日の出までまだ4時間ちょっとあるし、しばらく真っ暗だね。」
○「そんなにあるのかぁ。初日の出まで起きてられるかなぁ。」
●「まだ年明けてないのに?健康な生活リズムだ。」
○「私みたいな良い子は寝る時間だからなぁ。あっ。あと5分で明けるよ。」
●「もう今年も5分しかないのかぁ」
○「1年って早いねぇ。」
●「寂しいな。」
○「しんみりしちゃって。年明けくらい明るく越そうよ!」
●「そうだな。…うーん。じゃあ、今から5分黙って、明けたと思ったタイミングで「明けた!」って言うゲームしよ。正解に近かった方の勝ちね。」
○「いいよぉ。罰ゲームは?」
●「ご飯奢りで。」
我ながら少し意地悪をしてしまったな。
○「乗った!じゃあスタート!」
ゲームが始まると、耳障りなエンジン音と意味も分かってない英語の歌だけがその場に残った。
「And at first, I thought it was a lie.」
「I hate to think about you with somebody else.」
「This ain't the last time that I'll see your face.」
○「はい!明けた!」
●「嘘ぉ?絶対まだだよ。」
○「いやいや、絶対明けてるよ!」
●「いや、まだ。もう少し。もう少し…。」
●「はい!今!」
○「ホントにーーー?じゃあ見るよ?」
○「ほんとだー!誤差7秒!」
●「どんなもんよ!」
○「これは完敗…。」
●「奢りだね。」
○「いつかね。」
●「いつでも言ってよ。飛んでいくから。」
○「腹ぺこすぎでしょ。」
○「あっ。これもしかしてもう着いた?」
●「うん。車そこに停めるね。」
だだっ広い駐車場だ。
僕ら以外誰もいない。
どこに停めてもいいくらいなのに、何回か車を切り返してやった。
○「やっと来れたーー!せっかくだったらここで初日の出見たかったなぁ」
●「ここにいたらいいのに。」
○「…ごめんね。」
○「ありがとう。」
彼女は車から出ていった。
二度と戻ることはないだろう。
彼女は僕には手が届かない存在だった。
届きそうで届かなかった。
そういったものほど綺麗に見えるんだ。皮肉なもんだ。
1人になると、エンジン音と音楽がやけにうるさく感じたのでエンジンを切った。
寒いなぁ。
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