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私の決めた結婚②
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昨年の夏あたり、本格的に結婚式の準備を始めてからは、本当にきつい毎日だった。
職場恋愛だった夫の秀夫とは、付き合って丸5年。
短大出たての小娘に、やさしく声をかけてくれた8歳年上の頼もしい先輩。
4月に知り合い、5月にはお互いの部屋を行き来していたから、もうじき付き合いは6年目に入る。
4年目の春に秀夫が転勤し、100kmほど離れた遠距離恋愛になったことをきっかけに、結婚話が動き始めた。
もともと、この町は秀夫の故郷だ。
彼はずっとこの町に勤務希望を出していて、昨年その希望がようやく通り、実家に住まいを移した。
結婚を理由に、ユリもこの町へ転勤希望を出し、この春受理された。
この町にユリの親しい友人はまだいなかったけれど、今後の生活のベースになる町。当然のように、結婚式はこの町で行うことになった。
結婚式の打ち合わせや新生活の準備のため、週末ごとに車で往復したのはユリだ。
秀夫は実家住まいだったため、どんなに遅い時間になっても彼の部屋に泊まるわけにはいかない。
片道100㎞、往復200㎞を日帰り。場合によっては、土・日、連続で走った。
年が明けてからは、仕事の引継ぎ。
引っ越しの準備。
新生活の準備。
もちろん、結婚式の準備。
とにかく、目が回るような忙しさだった。
好みのスレンダードレスを着るため、覚悟していたダイエットも必要なく、体重は自然に7㎏落ちた。
男性は、結婚の準備に積極的ではないという。
例にもれず、主体的には動いてくれない秀夫に、ユリはしばしば癇癪をおこした。
学生時代から、ユリは一人暮らしだ。
離れて暮らす両親は、一人娘の結婚に張り切り、タンスやドレッサー、冷蔵庫や洗濯機などの花嫁道具を揃えてくれた。それらを送るための、新居がなかなか決まらなかった。
秀夫と一緒に不動産屋をめぐり、何件も内覧した。
ユリは気に入った物件もあったのだが、秀夫がなかなか決心しない。
両親には何度もせかされる。
はっきりとは口にしないが、秀夫は実家のそばに住みたいのだ。いずれは同居も、考えているに違いない。大きな家具は、邪魔なのだろう。
イライラしたユリがそれを指摘すると、秀夫は否定し、口論になった。
もやもやした気分で別れた週の中ころに、秀夫から突然、「新居を契約した」と、連絡があった。
事後報告されたその物件は、一緒に内覧したうちのどれかではなかった。
秀夫の『尊敬する先輩が勧めてくれた』『新婚夫婦にふさわしい』新築の2LDK。
ユリに言われた通り『自主的に』動いたのだから、文句はないだろう、という態度。
爆発したユリをなだめたのは、母親だった。
「もう時間もないのだから」
「新築の、きれいなマンションでしょう?何の不満があるの」
「秀夫さんの実家が近いほうが、子供ができたら便利よ」
最後は決まって、
「あなたが決めた結婚でしょう」
職場恋愛だった夫の秀夫とは、付き合って丸5年。
短大出たての小娘に、やさしく声をかけてくれた8歳年上の頼もしい先輩。
4月に知り合い、5月にはお互いの部屋を行き来していたから、もうじき付き合いは6年目に入る。
4年目の春に秀夫が転勤し、100kmほど離れた遠距離恋愛になったことをきっかけに、結婚話が動き始めた。
もともと、この町は秀夫の故郷だ。
彼はずっとこの町に勤務希望を出していて、昨年その希望がようやく通り、実家に住まいを移した。
結婚を理由に、ユリもこの町へ転勤希望を出し、この春受理された。
この町にユリの親しい友人はまだいなかったけれど、今後の生活のベースになる町。当然のように、結婚式はこの町で行うことになった。
結婚式の打ち合わせや新生活の準備のため、週末ごとに車で往復したのはユリだ。
秀夫は実家住まいだったため、どんなに遅い時間になっても彼の部屋に泊まるわけにはいかない。
片道100㎞、往復200㎞を日帰り。場合によっては、土・日、連続で走った。
年が明けてからは、仕事の引継ぎ。
引っ越しの準備。
新生活の準備。
もちろん、結婚式の準備。
とにかく、目が回るような忙しさだった。
好みのスレンダードレスを着るため、覚悟していたダイエットも必要なく、体重は自然に7㎏落ちた。
男性は、結婚の準備に積極的ではないという。
例にもれず、主体的には動いてくれない秀夫に、ユリはしばしば癇癪をおこした。
学生時代から、ユリは一人暮らしだ。
離れて暮らす両親は、一人娘の結婚に張り切り、タンスやドレッサー、冷蔵庫や洗濯機などの花嫁道具を揃えてくれた。それらを送るための、新居がなかなか決まらなかった。
秀夫と一緒に不動産屋をめぐり、何件も内覧した。
ユリは気に入った物件もあったのだが、秀夫がなかなか決心しない。
両親には何度もせかされる。
はっきりとは口にしないが、秀夫は実家のそばに住みたいのだ。いずれは同居も、考えているに違いない。大きな家具は、邪魔なのだろう。
イライラしたユリがそれを指摘すると、秀夫は否定し、口論になった。
もやもやした気分で別れた週の中ころに、秀夫から突然、「新居を契約した」と、連絡があった。
事後報告されたその物件は、一緒に内覧したうちのどれかではなかった。
秀夫の『尊敬する先輩が勧めてくれた』『新婚夫婦にふさわしい』新築の2LDK。
ユリに言われた通り『自主的に』動いたのだから、文句はないだろう、という態度。
爆発したユリをなだめたのは、母親だった。
「もう時間もないのだから」
「新築の、きれいなマンションでしょう?何の不満があるの」
「秀夫さんの実家が近いほうが、子供ができたら便利よ」
最後は決まって、
「あなたが決めた結婚でしょう」
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