28 / 158
第2章
2-10対決
しおりを挟む
「今、何て言ったの?」
いずみはキョトンとした表情で聞き返してきた。
思えばいずみが湧と最後に会ったのは、能力を使った日のこの場所だと聞いていた。
(そうか、いずみとっては湧くんの身に起こった事は何一つ話してなかったんだっけ)
そう考えると少し申し訳なくも感じた。
「あのね、いずみが能力を使った日の翌朝に、如月くんは宗主にお願いして相模原の自宅に手がかりを探しに行ったの。水無月家のお伴が二人、他にも柳瀬川家のスタッフが24時間体制で監視していたんだけど…」
「自宅? いたんだけど? あれ? 24時間体制って? まさか!」
「気づいたようね。如月くんの自宅はどうやら怪異に占領されていたようなの」
「そんなところに戻って行ったの? 自殺行為じゃない!」
「ただ、如月くんのお父さんが怪異に関わっているんじゃないかと…直哉さんが…」
さくらが初めて湧の叔父の神代直哉に会ったのは、湧が弓道教室に入る直前だった。
それまでは水無月家のスタッフだったのだが、湧の後見人になるために、柳瀬川家のスタッフ数名と特撮スタントマンの『八重洲アクションクラブ(YAC)』を立ち上げた時だった。
「ごめんね。いずみに話したら『絶対に退院させろって』暴れるだろうからって、宗主に固く禁じられていたの…」
「あったりまえでしょ! 如月くんがどんな能力持っているか知らないけど、そんな危険なところに…って言っても、私が意識を戻した時には全てが終わってたのよね? …私も前後の見境が無くなって突っ込んでいただけか… ハハハ…」
全くの予想通りの反応かと思ったら、意外にも自分の行動を判断する冷静さを持ち合わせていた。
今までのいずみとは異なっていた。
今回いずみが観たというものは、いずみの精神をも変化させていたようだ。
「でも冗談みたいだね? 4階から落ちても怪我一つしない、いわゆるアンデッドみたいな奴だよ? 死ぬわけないじゃん(笑)って思ってたのに…」
「…… いずみ、それ色々踏んでるから…。落ちても…じゃなくて、いずみに突き落とされても…だし、怪我しないのは、いずみに攻撃されても巧みに交わした結果だし、アンデッドって既に死んでるし…」
さくらは“ハァ~”とわざとらしく息を吐いた。
いずみの言い草は全くもって酷いが、いずみがさほど悲しんでいなかったことに、ちょっと安堵した。
「でね、これからが本題なんだけど…」
「ん?」
「如月くんは生き返りました」
「… はい ? …ってことは、死んでなかった? ってことぉ?」
いずみの目つきが怪しくなり、素晴らしい冷房効果を生み出していた。
「死んだよ… そりゃあもう医者が手のつけられない状態で…」
「言ってる意味が全く判んない… 死んだの? 死ななかったの? どっち?」
「だから死んだんだってば! でも医者が治療することもなく生き返ったのよぉ!」
さくらはどう説明したらいいのか判らなくなってきた。
「いくらさくらでも怒るわよ。私のこと、からかってるとしか思えないわよ!」
「私だってびっくりして悲しくて…」
さくらが苦しそうに呟くのを見て、いずみはついにキレた。
「まだ言うかぁ!」
叫びながらさくらの口に両手の親指を突っ込み、左右に引っ張った。
「ヒギャァ~! ヒハイヒハイ(うぎゃ~! 痛い痛い)」
「如月くんが死ぬわけないで…うぐっ!」
頭にきて、いずみの鳩尾に正拳突きを入れる。さくらももう我慢しなかった。
思わず鳩尾を抑えたいずみを蹴り上げ、お社の中庭に吹っ飛ばす。
「ギャンギャン!」
玉砂利を敷き詰めてあるので、ダメージは少ないものの、頭から突っ込んだので顔中に石が激突する。
「私の話を最後まで聞きなさいよっ!」
さくらは起き上がろうとしているいずみにエルボーを入れる。
「ふぎゃっ!」
いずみは再び潰れ、続けてさくらはボディプレスで押さえ込んだ。
「私だって、いきなりいずみがいなくなるわ、自宅に連絡入れたら、水無月家のお伴とともに如月くんが怪異に殺されたって言われるわ、…もうどうしていいのか判らなくて不安だったんだからぁ」
さくらは一気に捲し立てるが、今のいずみはそんな言い訳を聞いてはいなかった。
「そんなこと意識がない私が知ったことかぁ!」
いずみは渾身の力で、無理やり側転してさくらの上に回り、そのまま反動を利用してさくらを投げつけた。
「きゃああっ!」
さくらは玉砂利の上を転がる。
まるで巨大な紙ヤスリの上を転がるように、さくらの服はズタズタに引き裂かれた。
「ああっ! お気に入りのスカイブルーのフレアスカートがぁ!」
もはや腰ミノのごとくすだれ状に裂かれていた。
一方のいずみは動きやすいホットパンツだったが、既に原形を留めていない。
二人ともあられもない姿で取っ組み合っていた。
「いずみっ! 今日という今日は許さないからねっ!」
「それはこっちのセリフよっ!」
真っ向から突撃し、がっぷり組み合う。
しかし、さくらの方が戦術的に勝っていた。
組み合ったまま、腕を交差していずみの腕を払い、そのままいずみの胸を鷲掴みにする。
「ぎゃああああああ~ 痛いっ!」
豊満なさくらに対して、慎ましいいずみの胸はさくらの手の中で握りつぶされていた。
対抗しようとさくらの胸に手を伸ばすが、巧みに向きを変えられて掴めない。
「いつもいつも好き勝手ばかりやって! 少しは周りのことも考えなさいよっ!」
さくらの文句は確かに当然だった。
「さくらこそ、そうやって、いつもいつも上から目線でっ!」
いずみの言い分も最もだった。
「ふんっ!!」
さくらが怯んだ一瞬の隙をついて、さくらの手を払い、後退りながらさくらの胸に横薙ぎに手刀を入れた。
「キャン!」
入院していて爪が少し伸びていたいずみの手刀は、さくらの胸をブラウスとブラごと切り裂いた。
哀れさくらの胸は血しぶきで真っ赤に染まる。
胸を抑えたさくらの指の間からは血が滴ってきた。
「ひ、ひどい~。ここまでするかっ! スカポンタンっ!」
さくらは神速でいずみに肉薄する。
いずみが避けるのを先読みして、その方向に修正しつつ、いずみの襟首を掴んだ。
そのまま回転させて、地面に叩きつけられる。
「うわっ!」
玉砂利の中でいずみを仰向けにし、シャツを引き裂いた。
馬乗りになって、ブラも引き剥がすと再び両乳房を力一杯握りつぶした。
「ふぎゃっ…ん」
さすがにいずみも堪らなく、意識が飛んだらしい。
口から若干泡が噴き出していた。
「ここまでやる気はなかったけど、あんたが悪いんだからねっ!」
そう言っていずみから離れた。
さくらの胸は既に出血が止まり、かさぶたになっている。
院長が言ったように、自分たちの血は特殊だと実感させられる。
胸の傷は一晩経てば、後も残らずに完治するだろう。
いずみの胸にクッキリついた、さくらの手形状の痣も同様だと思われる。
そう思って振り向いたさくらは、いずみのローキックを受けて転ばされてしまった。
「あ、あんたわぁ! まだ懲りないのかぁ!」
再び殴り合うが、もう二人とも力が入らない。
ビンタの応酬に変わり、最後は抱き合うように転がったまま、それでも指相撲で戦い続ける。
「如月くんが生き返ったのは、私たちにも関係があるらしいの!」
いずみに親指を押さえ込まれたまま、さくらは言った。
「関係?」
さくらが話の続きを始めたので、いずみもおとなしく聴く気になった。
「如月くんの血が彼を包み込んで、殻のようになってたの。私が見たときは既にそんな風になってたから、これが如月くんだってすぐに信じることはできなかった」
「さくらは如月くんの付き添いをしてたの?」
いずみの問いかけは何故か寂しそうに聞こえた。
「うん…。医者が“サナギ”って呼んでいた状態で、中はほとんど見えなかった。だからレントゲンで見せてもらったら…」
さくらの手がいずみの手を強く握り返した。
「骨が…、肩から胸までザックリ切れてて、左足と左手首がなかった…」
「え? そこまで?」
「医者に言わせると、普通の人なら優に5回は即死してるって… で、でも…回数じゃないのよっ! 死んじゃったら同じでしょ!」
声を荒げてはいるが、さくらは苦しそうに言葉を吐き出した。
病院で言えなかったことを、いずみにぶつけるみたいに苦しみと悲しみを一緒に吐き出した。
「さくら…、ごめんね。一人で苦しかったね…。それなのに私ったら、自分のことばっかりで…」
「ううん。いずみは悪くないわよ、教えてもらえなかったんだから…いずみの方が気を揉んでいたと思う…」
そう言い合い、微笑を交わした。
「でね、いずみの意識が戻る4日前に如月くんは自らサナギから出てきたの。そして、その時如月くんを包んでいた血液の結晶は…塩の結晶になって砕け散ったらしいわ…」
「! …さくらっ! それって!」
いずみも直感した。(さすがだなぁ)とさくらは感心したが、それどころではないのだ。
「一連の事件の被害者や怪異、浮遊霊…その全てに、塩の結晶が関わってる」
「そうそれっ!」
「院長も言ってたんだけど、逆作用で考えると何かのエネルギーを使い切った残りだとすると、エネルギー自体はどこに行ったの?」
「如月くんの場合は身体の再生に使ったと思えるけど、怪異に襲われて塩の結晶になった人は…」
いずみが何を言いたいのか解るが、さくらは口にしたくなかった。
「その可能性が高いの。そして柳瀬川の調査によると、あるエリアに不明者が集中してる」
「それって、うちの高校にもあったよね? 大ちゃんが毛嫌いしてた…」
『「ソウルコンバーター…」』
二人は蒼白な顔で見つめあった。
<続く>
いずみはキョトンとした表情で聞き返してきた。
思えばいずみが湧と最後に会ったのは、能力を使った日のこの場所だと聞いていた。
(そうか、いずみとっては湧くんの身に起こった事は何一つ話してなかったんだっけ)
そう考えると少し申し訳なくも感じた。
「あのね、いずみが能力を使った日の翌朝に、如月くんは宗主にお願いして相模原の自宅に手がかりを探しに行ったの。水無月家のお伴が二人、他にも柳瀬川家のスタッフが24時間体制で監視していたんだけど…」
「自宅? いたんだけど? あれ? 24時間体制って? まさか!」
「気づいたようね。如月くんの自宅はどうやら怪異に占領されていたようなの」
「そんなところに戻って行ったの? 自殺行為じゃない!」
「ただ、如月くんのお父さんが怪異に関わっているんじゃないかと…直哉さんが…」
さくらが初めて湧の叔父の神代直哉に会ったのは、湧が弓道教室に入る直前だった。
それまでは水無月家のスタッフだったのだが、湧の後見人になるために、柳瀬川家のスタッフ数名と特撮スタントマンの『八重洲アクションクラブ(YAC)』を立ち上げた時だった。
「ごめんね。いずみに話したら『絶対に退院させろって』暴れるだろうからって、宗主に固く禁じられていたの…」
「あったりまえでしょ! 如月くんがどんな能力持っているか知らないけど、そんな危険なところに…って言っても、私が意識を戻した時には全てが終わってたのよね? …私も前後の見境が無くなって突っ込んでいただけか… ハハハ…」
全くの予想通りの反応かと思ったら、意外にも自分の行動を判断する冷静さを持ち合わせていた。
今までのいずみとは異なっていた。
今回いずみが観たというものは、いずみの精神をも変化させていたようだ。
「でも冗談みたいだね? 4階から落ちても怪我一つしない、いわゆるアンデッドみたいな奴だよ? 死ぬわけないじゃん(笑)って思ってたのに…」
「…… いずみ、それ色々踏んでるから…。落ちても…じゃなくて、いずみに突き落とされても…だし、怪我しないのは、いずみに攻撃されても巧みに交わした結果だし、アンデッドって既に死んでるし…」
さくらは“ハァ~”とわざとらしく息を吐いた。
いずみの言い草は全くもって酷いが、いずみがさほど悲しんでいなかったことに、ちょっと安堵した。
「でね、これからが本題なんだけど…」
「ん?」
「如月くんは生き返りました」
「… はい ? …ってことは、死んでなかった? ってことぉ?」
いずみの目つきが怪しくなり、素晴らしい冷房効果を生み出していた。
「死んだよ… そりゃあもう医者が手のつけられない状態で…」
「言ってる意味が全く判んない… 死んだの? 死ななかったの? どっち?」
「だから死んだんだってば! でも医者が治療することもなく生き返ったのよぉ!」
さくらはどう説明したらいいのか判らなくなってきた。
「いくらさくらでも怒るわよ。私のこと、からかってるとしか思えないわよ!」
「私だってびっくりして悲しくて…」
さくらが苦しそうに呟くのを見て、いずみはついにキレた。
「まだ言うかぁ!」
叫びながらさくらの口に両手の親指を突っ込み、左右に引っ張った。
「ヒギャァ~! ヒハイヒハイ(うぎゃ~! 痛い痛い)」
「如月くんが死ぬわけないで…うぐっ!」
頭にきて、いずみの鳩尾に正拳突きを入れる。さくらももう我慢しなかった。
思わず鳩尾を抑えたいずみを蹴り上げ、お社の中庭に吹っ飛ばす。
「ギャンギャン!」
玉砂利を敷き詰めてあるので、ダメージは少ないものの、頭から突っ込んだので顔中に石が激突する。
「私の話を最後まで聞きなさいよっ!」
さくらは起き上がろうとしているいずみにエルボーを入れる。
「ふぎゃっ!」
いずみは再び潰れ、続けてさくらはボディプレスで押さえ込んだ。
「私だって、いきなりいずみがいなくなるわ、自宅に連絡入れたら、水無月家のお伴とともに如月くんが怪異に殺されたって言われるわ、…もうどうしていいのか判らなくて不安だったんだからぁ」
さくらは一気に捲し立てるが、今のいずみはそんな言い訳を聞いてはいなかった。
「そんなこと意識がない私が知ったことかぁ!」
いずみは渾身の力で、無理やり側転してさくらの上に回り、そのまま反動を利用してさくらを投げつけた。
「きゃああっ!」
さくらは玉砂利の上を転がる。
まるで巨大な紙ヤスリの上を転がるように、さくらの服はズタズタに引き裂かれた。
「ああっ! お気に入りのスカイブルーのフレアスカートがぁ!」
もはや腰ミノのごとくすだれ状に裂かれていた。
一方のいずみは動きやすいホットパンツだったが、既に原形を留めていない。
二人ともあられもない姿で取っ組み合っていた。
「いずみっ! 今日という今日は許さないからねっ!」
「それはこっちのセリフよっ!」
真っ向から突撃し、がっぷり組み合う。
しかし、さくらの方が戦術的に勝っていた。
組み合ったまま、腕を交差していずみの腕を払い、そのままいずみの胸を鷲掴みにする。
「ぎゃああああああ~ 痛いっ!」
豊満なさくらに対して、慎ましいいずみの胸はさくらの手の中で握りつぶされていた。
対抗しようとさくらの胸に手を伸ばすが、巧みに向きを変えられて掴めない。
「いつもいつも好き勝手ばかりやって! 少しは周りのことも考えなさいよっ!」
さくらの文句は確かに当然だった。
「さくらこそ、そうやって、いつもいつも上から目線でっ!」
いずみの言い分も最もだった。
「ふんっ!!」
さくらが怯んだ一瞬の隙をついて、さくらの手を払い、後退りながらさくらの胸に横薙ぎに手刀を入れた。
「キャン!」
入院していて爪が少し伸びていたいずみの手刀は、さくらの胸をブラウスとブラごと切り裂いた。
哀れさくらの胸は血しぶきで真っ赤に染まる。
胸を抑えたさくらの指の間からは血が滴ってきた。
「ひ、ひどい~。ここまでするかっ! スカポンタンっ!」
さくらは神速でいずみに肉薄する。
いずみが避けるのを先読みして、その方向に修正しつつ、いずみの襟首を掴んだ。
そのまま回転させて、地面に叩きつけられる。
「うわっ!」
玉砂利の中でいずみを仰向けにし、シャツを引き裂いた。
馬乗りになって、ブラも引き剥がすと再び両乳房を力一杯握りつぶした。
「ふぎゃっ…ん」
さすがにいずみも堪らなく、意識が飛んだらしい。
口から若干泡が噴き出していた。
「ここまでやる気はなかったけど、あんたが悪いんだからねっ!」
そう言っていずみから離れた。
さくらの胸は既に出血が止まり、かさぶたになっている。
院長が言ったように、自分たちの血は特殊だと実感させられる。
胸の傷は一晩経てば、後も残らずに完治するだろう。
いずみの胸にクッキリついた、さくらの手形状の痣も同様だと思われる。
そう思って振り向いたさくらは、いずみのローキックを受けて転ばされてしまった。
「あ、あんたわぁ! まだ懲りないのかぁ!」
再び殴り合うが、もう二人とも力が入らない。
ビンタの応酬に変わり、最後は抱き合うように転がったまま、それでも指相撲で戦い続ける。
「如月くんが生き返ったのは、私たちにも関係があるらしいの!」
いずみに親指を押さえ込まれたまま、さくらは言った。
「関係?」
さくらが話の続きを始めたので、いずみもおとなしく聴く気になった。
「如月くんの血が彼を包み込んで、殻のようになってたの。私が見たときは既にそんな風になってたから、これが如月くんだってすぐに信じることはできなかった」
「さくらは如月くんの付き添いをしてたの?」
いずみの問いかけは何故か寂しそうに聞こえた。
「うん…。医者が“サナギ”って呼んでいた状態で、中はほとんど見えなかった。だからレントゲンで見せてもらったら…」
さくらの手がいずみの手を強く握り返した。
「骨が…、肩から胸までザックリ切れてて、左足と左手首がなかった…」
「え? そこまで?」
「医者に言わせると、普通の人なら優に5回は即死してるって… で、でも…回数じゃないのよっ! 死んじゃったら同じでしょ!」
声を荒げてはいるが、さくらは苦しそうに言葉を吐き出した。
病院で言えなかったことを、いずみにぶつけるみたいに苦しみと悲しみを一緒に吐き出した。
「さくら…、ごめんね。一人で苦しかったね…。それなのに私ったら、自分のことばっかりで…」
「ううん。いずみは悪くないわよ、教えてもらえなかったんだから…いずみの方が気を揉んでいたと思う…」
そう言い合い、微笑を交わした。
「でね、いずみの意識が戻る4日前に如月くんは自らサナギから出てきたの。そして、その時如月くんを包んでいた血液の結晶は…塩の結晶になって砕け散ったらしいわ…」
「! …さくらっ! それって!」
いずみも直感した。(さすがだなぁ)とさくらは感心したが、それどころではないのだ。
「一連の事件の被害者や怪異、浮遊霊…その全てに、塩の結晶が関わってる」
「そうそれっ!」
「院長も言ってたんだけど、逆作用で考えると何かのエネルギーを使い切った残りだとすると、エネルギー自体はどこに行ったの?」
「如月くんの場合は身体の再生に使ったと思えるけど、怪異に襲われて塩の結晶になった人は…」
いずみが何を言いたいのか解るが、さくらは口にしたくなかった。
「その可能性が高いの。そして柳瀬川の調査によると、あるエリアに不明者が集中してる」
「それって、うちの高校にもあったよね? 大ちゃんが毛嫌いしてた…」
『「ソウルコンバーター…」』
二人は蒼白な顔で見つめあった。
<続く>
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる