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第9章
9-02死と再生
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「おいっ! 言うに事欠いて滅茶苦茶なこと言ってんじゃねぇ!」
湧はアタフタしながら叫んだ。
しかし当の湧でさえ、今まで聞いたことのない話であり、全く理解が追いついていない。
「お、お父様? それはあまりに…」
いずみすら何を言っていいのか分からず、ただ頭がグルグル回るだけだ。
「確かに幾ら何でもそんな荒唐無稽な…」
ルイーナも慌てて話を整理しようとするが、混乱しすぎて現実感がなかった。
何しろアルフを追って、3次元まで来た挙句、合計で約300年ほども調査しまくったのだ。
それが、今まで行動を共にしていた湧がアルフなどとは、全く信じられない。
「混乱させてしまって申し訳ない。正確には“以前はアルフだった”というべきだろう」
「へ? だってアルフと融合したら、死ぬまで分離できないんじゃ…、 …あ!」
いずみは先ほどの話を思い出して途中で口ごもってしまう。
「? !あっ!」
ルイーナも気付いた。
「博士、YOUは子供の頃に一度…」
「そうです。死亡しました」
「「「え?」」」
湧自身、自分が死んだ記憶はこの3次元での時間で2か月ほど前の時だけだ。
自己再生を果たした後、再度自宅地下のソウルコンバーターを調査しに行って、リッチに追われて逃げ惑った後、クリーチャーに包囲されて6次元に転移。
半年ほどの時間を過ごした後に、3次元に戻ってきた。
つまり、湧自身は1度しか死んでいないと思っていた。
それが…。
「子どもの頃に死んだって、いつだよ!」
苛立ちを隠そうともせずに父親に食ってかかった。
「4歳の時だ。それまで病弱だったお前は3歳の時に白血病だと判り、様々な治療を施したが進行を遅らせることすらできなかった。そして診断から約1年後、お前の命は尽きた」
「え? そ、そんな記憶は…俺にはないぞ」
「湧? どういうこと?」
「あ、いや。実は…あれ? そういえば俺が幼い頃の…その頃の記憶が…ない」
湧は今更ながら幼少時代の記憶が曖昧なのに気付いた。
「そりゃそうだろう。3歳の後半は病院でほぼ寝たきりで、治療以外の時間は眠っていたからな」
「それでも治療中の記憶はあってもおかしくないだろう? そういう…そもそも病院に行った覚えもないんだぞ」
「なるほどな。だから私との話が噛み合わないわけだ」
博士は何かを納得して頷いた。
「勿体ぶってないで、さっさと全てを話せよ! そのためにお前は捕らえられなんだからな」
「湧! だからそんなに喧嘩腰にならないでよっ! お父様にだって止むに止まれぬ事情があったんじゃないの? それを聞かなきゃここから先には行かれないわっ!」
今度こそいずみは目尻に涙を溜めて、湧の胸ぐらを掴みあげた。
「い、いずみっ?」
「まず、なぜ湧が生きているのかを話さなければならないでしょう」
そう言って、博士は二人を宥めながら、ルイーナに向き合った。
「お願いいたします」
湧の身体は死亡確認された後、検案の後に自宅に帰された。
湧の母は看病疲れからやつれ果て、放心状態となっていた。
通夜の準備のため、業者に連絡を取ろうとした父親は、湧が安置されていた寝具が奇妙な形で膨らんでいるのに気付き、様子を伺った。
「驚きました。そこには湧ではなく、赤黒い光沢のある、まるで石のような楕円形の塊があった」
「塊? 何それ?」
「あ、いずみは知らないのですね。私たちはコクーンと呼んでいた再生のためのカプセルのようなものです。いずみもそれによって復活できたんですよ」
「あ、あなたもリジェネレーターなんですかっ!?」
これには博士も大いに驚かされたようだ。
「り、ジェれ、たぁ?」
いずみは初めて聞く言葉に、頭の周りに“?(クエスチョンマーク)”を派手にばら撒いて聞き返した。
「あ、失礼、再生者という意味です」
「再生? あ、そか。私も一回死んでるもんね」
なぜか苦笑いして、いずみは側頭をかいた。
「あ、それで、そんなものを棺に入れられないので、葬儀は行わずにしばらく様子を伺うことにしたんです」
「それで、1週間後にはYOUは復活したんですね?」
「1週間? いえ、三日です。あの赤黒い塊は真っ白な塩に変わり、その中からスヤスヤと眠る息子が現れました」
博士はその時のことを思い出すように、安堵の微笑みで湧を見つめる。
湧は自分のこととは思えず、複雑な表情で睨んでいたが…。
「三日で? そんなに早く?」
ルイーナはそれどころではなかった。
第一、死んだ人間が生き返ることすら不可能なこの3次元で、病死した後、三日で蘇生するとは信じられない。
「あ、さっきのYOUがアルフだったというのは!?」
「そうです。御察しの通り、その時点でアルフは息子から切り離されました」
「もしかすると、それまでの記憶はアルフとともに消滅したとか?」
「それならどんなに素晴らしいことでしょう。しかし、現実はその真逆だったのです」
「真逆? YOUの身にさらによからぬことが?」
「いえ、息子は完全に治癒し、癌の形跡すらありませんでした。本当の意味で息子はその時初めて生まれたといえるでしょう」
「? なら何が?」
「アルフです。私に融合しているアルフが警告らしきイメージを繰り返し繰り返し伝えてきました。最初は私は何が何だか解らなくて、その時アルフに言葉や概念を伝えておきべきだったと後悔しました」
「警告ですか? でもそんな具体的なイメージが良くわかりましたね?」
「それまでの思念とは明らかに異なり、破壊のイメージや消滅の概念が流れ込んできました」
「明らかにアルフに何か不都合な事態が生じた? と?」
「そうです。そしてその解明のため研究所にこもり、様々な試みを行ない、アルフが何を伝えようとしたのかが解りました」
「わ、解ったのですか? アルフの意思がっ!」
「もちろん会話できるほどではありませんが、息子に別のアルフが宿っていたことを理解するまでが大変でした。アルフは融合を行うとその人間の身体の中に留まり続けます」
「はぁ、それは私たちも解明しました。さらにアルフは時間の枷に縛られず、同時に複数が存在できることも…」
「そうです。しかしアルフが融合相手の身体に留まり続ける理由については?」
「融合した人間が死亡するまでは、融合状態が解けないとの調査結果が出ています」
「それは我々人間から見た、我々が理解出来る理由でしかない。本当はアルフの存在に起因するのです」
「それは高次元から来た思念体だからということですか?」
「それも一因です。ですが、高次元というのはどの次元のことだと思われてますか?」
「私は6次元から来ましたので、思念体そのものが唯一の個体だと感じています。そうなるとアルフが存在できるのは少なくとも12次元以上の世界だと考えてます」
「私はこの3次元の人間なので、はっきりとした答えを持っていませんが、アルフはどうやら次元すら超越した存在のようです」
「は? 次元を超越ぅ!?」
「そちらのお嬢さんが以前見たという球体の宇宙、それは3次元ではなく次元を超越した空間だと思われます。そしてそれこそがアルフが存在していた空間。絶対空間です」
「絶対空間? それってアイザック・ニュートンの?」
「狭義ではそうなりますが、あらゆる次元を包括した空間という意味で私はその言葉を使ってます」
「あ、そういう意味ですね? !?ってことはアルフはこの宇宙そのものぉ??」
「というより、その絶対空間に存在している思念から、何らかの事情で分離してしまった思念だと思っています。そしてこの3次元に興味を持った。しかし、次元も時間もあらゆる物理法則に捉われないアルフにとっては、一定の次元、一定の時間、一定の空間に留まることができないようです」
「…逆に言うと、一度繋がりを解くと二度と同じ次元、同じ時間、同じ空間に戻っては来られない? ということ…ですか?」
「そうです。だから、融合した人間が死亡して、意識の繋がりが切れると次にどこに行くのか分からないらしいのです」
「だから同じ年代に複数のアルフが存在するのに、繋がりをキャッチできなかったのかぁ」
いずみが合点がいったというように言うが、ルイーナには逆の意味に感じられた。
「いずみ、そういう見方はしない方がいいでしょう。何しろ接点があったかどうかは私たちのうかがい知ることがないことですから」
「へ? ルイーナの言い方の方が良く分からないんですがぁ~」
「つまり、融合したアルフがスタンドアローンで行動していたという確証はないんです」
「ん? んん?」
いずみはさっぱり理解できない。
「だからっ! 融合した人間からは窺い知れない思念での繋がりが… ! そうですっ! なんで博士はYOUがアルフだと知ってたんですか!?」
「え? あ! そうか!」
「博士なぜですか?」
ルイーナは凄まじい形相で博士に詰め寄った。
その返答によっては今までは考えてもいなかった事態に発展する。
「え? 何が?」
きょとんとした顔つきで聞き返す博士。
「YOUがアルフだったとどうして分かったのですか?」
「ああ、そんなことですか? アルフに教えてもらったからです」
「でも言葉も思念も通じないのに、どうやって?」
もはやルイーナまでパニックを起こしかけていた。
「イメージです。私が私を見ていました。最初はどういう意味か判りませんでしたが、どうもその視界は息子のものだと気付きました。そして初めて、アルフは個体としての思念ではなく、複数の人間と融合することができる存在であることを…」
「それはアルフに管理されてるってことじゃないんですか?」
「いえ、そこまでの強い拘束力はないようです。逆に私が研究していた、新しいエネルギーの探索に協力的ですらありました」
「新しいエネルギー? それがソウルコンバーターだと?」
「いいや、ソウルコンバーター自体はエネルギーを収集・変換する装置であり、エネルギーそのものを作り出すものではありません」
「だけど、ほとんど“無”から莫大な電気エネルギーを発生させているじゃないですか?」
「確かにこの3次元においては“無”に見えますが、ネタばらしをすると電磁力を応用してダークマターを収集・圧縮・そして電気エネルギーとして変換しているのです」
「だ、ダークマターぁ!?」
今度はビルが奇声をあげた。
「だって、あれはまだ全く解明できていない宇宙における最大の謎ではないですかっ!」
ルイーナが続けて聞き返す。
「それは見方が違うのです。電磁波も光も発さない、けれど微量の重力が観測できるから“物質的な”意味で不明とせざるを得ない。でも観測できないものは他にもたくさんあります」
「観測できないもの?」
「例えば人の想像力や感情を左右する思念です」
「あ! 思念体だと仰りたいのですか?」
「それだけではありません。幽霊や人外も同じです。それが物質的に影響力を与える力となれば…」
「なるほど。でも博士はソウルコンバーターは空気中の“エーテル体”が原料だと発表されましたよね。“エーテル体“そのものがよく分からなかったのですが、それは”思念体”のことを指していたのですね?」
「その通りです。ただ思念体と言っても正しく理解されることはないと考え、“エーテル体“としたのです」
「なるほど…、話を戻しましょう。アルフが複数存在するといういうのは、どういう…」
「そこが違うのです。人間と融合するから、1:1だと思い込んでいませんか?」
「え? というと複数ではないというのですか? なら何故、YOUもアルフだというのですか?」
「例えるなら、コンピュータでマルチプロセッサCPU搭載のマルチタスクOSのようなもの。と言えば伝わるでしょうか? 見た目には一個のCPUでしかないが、複数のコアで同時に複数のJOBを処理、OSも空いているコアに対してJOBの処理命令を行う」
「あ、博士はアルフ本体はどこかにいて、融合してるのはそのコピーだと? そう仰るのですか?」
「コピーではないと思います。融合という言い方が誤解を招いていると思いますが、アルフはそもそも唯一無二であり、人に干渉してるのはアルフの受信を促すものではないでしょうか?」
「その理屈だとアルフの存在場所をご存知なのでしょうか?」
「知りません。ただ、一度アルフとの接続が解除されると、二度と接続できないことは確認済みです」
「それが湧なんですね」
いずみは湧を振り向いて呟いた。
「その通りです。まして息子はまだ幼く、自己の意識が確立されていなかった時期なので、アルフとの接続が切れた途端に、それまでの記憶も消滅したようです」
「俺には全く記憶がない…。でも、それじゃあなんで母さんは俺を殺そうとしたんだよ?」
「壊れてたんだ。その時にはもう…」
「壊れてた? 何が? … あ! まさか…」
いずみは反射的に聞き返してしまってから、気づいた。
「そうです。妻は息子が死んだ事実に耐え切れず、精神崩壊してしまったのです。しかし、私は息子の異変に気を取られて気付くことができませんでした」
「でも湧は生き返ったんですよね? それでも治らなかったんですか?」
「それが原因でさらに悪化してしまったのです。通院していましたが、見た目は全く健康そのものでした。若干痩せてはいましたが、私が見た限りはごく普通に暮らしていました」
博士のその言葉を聞いた瞬間、いずみは何か違和感を覚えた。
「博士はご自宅に戻られていたのですか?」
「いや、ほとんどは研究所に詰めていた。息子のことやアルフが伝えようとしてたことを調べるために…」
「では奥様とはどこでお会いになっていたんですか?」
「研究所です。着替えや洗濯物を頼んだりしてましたから…」
「その間YOUはどのように?」
「妻の兄が面倒を見てくれてるとのことでした。私はほとんど接点がありませんでしたが…」
「その言葉を鵜呑みにされたんですね」
「と、いうと?」
「YOUから、度々一人で留守番していたと聞きましたが…、男の子とはいえ、4歳の子どもをですよ?」
「そんな…、でも…」
「そして奥様が亡くなられる…と、言っても、事件にはなってませんが…、その前約1週間ほど家には帰ってこなかったそうです」
「それでですか…、やはり生き返ったことも受け入れてなかったんですね」
「まさか、奥様は…」
「息子が保護された1週間ほど前に研究所に来ましたが、その後すぐに帰って行きました。そしてそれが最期だったのです」
「そんな話信じられるかっ!」
突然、湧が怒鳴りだした。
「お前が母さんを狂わせたんだろう! 戻ってきた時の母さんは別人のようだった」
「それは…、」
今度こそ博士は口ごもった。余程言いにくい理由があるらしい。
「お父様、どんなことでも構いません。本当のことを教えてください。でないと、多分二度と湧と和解できないと思います」
いずみは咄嗟に湧の前に身体を割り込ませて、如月博士に懇願した。
「いずみっ! こんな奴の戯言に耳を貸すんじゃない!」
「湧! いい加減にしてっ! 今日の湧は朝からおかしいわっ! いつもの冷静なあなたに戻ってよっ!」
号泣しながら湧にしがみつく。
「如月君、いずみの言う通り、少し落ち着いてくれ!」
大介もいずみを助けるように湧を押さえつける。
ルイーナはあまりの展開に呆然と立ち尽くし、ビルは静観を決め込んでいた。
「わかった! 私の知る限りの事を話そう。息子には辛い事実だが、話すべきだろう」
「お父様…、ありがとうございます」
「いずみっ!」
湧はいずみを振り解こうとするが、大介の力まではかなわない。
「如月博士、お願いいたします」
ルイーナが前に出て、如月博士をの会話を再開した。
「息子が死んだ時、妻は酷く絶望して、自殺を図りました。けれど妻の兄が発見して、一命を取り留めました。しかし、入院中に息子が生き返り、妻が退院して自宅に戻った時、息子を見て恐慌状態に陥ったのです。まるで悪魔でも見るような目つきで恐れ慄きました」
「え? 悪魔?」
さすがに母親に悪魔のように見られていたことを知って、湧は愕然とした。
「私が経過を話しても、息子が死んだということ以外、受け付けられませんでした」
「奥様が退院されたのはいつだったのですか?」
「精神的に不安定だったので、3ヶ月ほど入院していました。甦った息子と初めて会ったのはその時が最初でした」
ルイーナは博士の言葉に嘘がないか慎重に聞き取っていたが、どこにも不自然なところは見当たらない。
「死んだ息子が生きていた。それが妻をさらなる混乱に陥れたのでしょう。しばらくの間はなんとか平常を装っていましたが、それも長くは続きませんでした」
「奥様は現実と夢想の区別がつかなくなっていったのではありませんか?」
ルイーナは自分の経験から、それに思い当たった。
「その通りです。ただ私は医者ではないので、詳しいことは知りませんが…」
「! まさか!? その平常というのは、精神安定剤によるものでは?」
「…のようです。しかも大量に服用していたらしいのです」
「…、そ、そういうことですか…、YOUやはりあなたのお母様は…」
「な、なんだよ? 母さんがなんだと言うんだ?」
「湧ぅ…」
いずみは力一杯湧を抱きしめて、嗚咽を漏らした。
「YOUのお母様は精神破綻していたのです」
ルイーナは静かに断言した。
<続く>
湧はアタフタしながら叫んだ。
しかし当の湧でさえ、今まで聞いたことのない話であり、全く理解が追いついていない。
「お、お父様? それはあまりに…」
いずみすら何を言っていいのか分からず、ただ頭がグルグル回るだけだ。
「確かに幾ら何でもそんな荒唐無稽な…」
ルイーナも慌てて話を整理しようとするが、混乱しすぎて現実感がなかった。
何しろアルフを追って、3次元まで来た挙句、合計で約300年ほども調査しまくったのだ。
それが、今まで行動を共にしていた湧がアルフなどとは、全く信じられない。
「混乱させてしまって申し訳ない。正確には“以前はアルフだった”というべきだろう」
「へ? だってアルフと融合したら、死ぬまで分離できないんじゃ…、 …あ!」
いずみは先ほどの話を思い出して途中で口ごもってしまう。
「? !あっ!」
ルイーナも気付いた。
「博士、YOUは子供の頃に一度…」
「そうです。死亡しました」
「「「え?」」」
湧自身、自分が死んだ記憶はこの3次元での時間で2か月ほど前の時だけだ。
自己再生を果たした後、再度自宅地下のソウルコンバーターを調査しに行って、リッチに追われて逃げ惑った後、クリーチャーに包囲されて6次元に転移。
半年ほどの時間を過ごした後に、3次元に戻ってきた。
つまり、湧自身は1度しか死んでいないと思っていた。
それが…。
「子どもの頃に死んだって、いつだよ!」
苛立ちを隠そうともせずに父親に食ってかかった。
「4歳の時だ。それまで病弱だったお前は3歳の時に白血病だと判り、様々な治療を施したが進行を遅らせることすらできなかった。そして診断から約1年後、お前の命は尽きた」
「え? そ、そんな記憶は…俺にはないぞ」
「湧? どういうこと?」
「あ、いや。実は…あれ? そういえば俺が幼い頃の…その頃の記憶が…ない」
湧は今更ながら幼少時代の記憶が曖昧なのに気付いた。
「そりゃそうだろう。3歳の後半は病院でほぼ寝たきりで、治療以外の時間は眠っていたからな」
「それでも治療中の記憶はあってもおかしくないだろう? そういう…そもそも病院に行った覚えもないんだぞ」
「なるほどな。だから私との話が噛み合わないわけだ」
博士は何かを納得して頷いた。
「勿体ぶってないで、さっさと全てを話せよ! そのためにお前は捕らえられなんだからな」
「湧! だからそんなに喧嘩腰にならないでよっ! お父様にだって止むに止まれぬ事情があったんじゃないの? それを聞かなきゃここから先には行かれないわっ!」
今度こそいずみは目尻に涙を溜めて、湧の胸ぐらを掴みあげた。
「い、いずみっ?」
「まず、なぜ湧が生きているのかを話さなければならないでしょう」
そう言って、博士は二人を宥めながら、ルイーナに向き合った。
「お願いいたします」
湧の身体は死亡確認された後、検案の後に自宅に帰された。
湧の母は看病疲れからやつれ果て、放心状態となっていた。
通夜の準備のため、業者に連絡を取ろうとした父親は、湧が安置されていた寝具が奇妙な形で膨らんでいるのに気付き、様子を伺った。
「驚きました。そこには湧ではなく、赤黒い光沢のある、まるで石のような楕円形の塊があった」
「塊? 何それ?」
「あ、いずみは知らないのですね。私たちはコクーンと呼んでいた再生のためのカプセルのようなものです。いずみもそれによって復活できたんですよ」
「あ、あなたもリジェネレーターなんですかっ!?」
これには博士も大いに驚かされたようだ。
「り、ジェれ、たぁ?」
いずみは初めて聞く言葉に、頭の周りに“?(クエスチョンマーク)”を派手にばら撒いて聞き返した。
「あ、失礼、再生者という意味です」
「再生? あ、そか。私も一回死んでるもんね」
なぜか苦笑いして、いずみは側頭をかいた。
「あ、それで、そんなものを棺に入れられないので、葬儀は行わずにしばらく様子を伺うことにしたんです」
「それで、1週間後にはYOUは復活したんですね?」
「1週間? いえ、三日です。あの赤黒い塊は真っ白な塩に変わり、その中からスヤスヤと眠る息子が現れました」
博士はその時のことを思い出すように、安堵の微笑みで湧を見つめる。
湧は自分のこととは思えず、複雑な表情で睨んでいたが…。
「三日で? そんなに早く?」
ルイーナはそれどころではなかった。
第一、死んだ人間が生き返ることすら不可能なこの3次元で、病死した後、三日で蘇生するとは信じられない。
「あ、さっきのYOUがアルフだったというのは!?」
「そうです。御察しの通り、その時点でアルフは息子から切り離されました」
「もしかすると、それまでの記憶はアルフとともに消滅したとか?」
「それならどんなに素晴らしいことでしょう。しかし、現実はその真逆だったのです」
「真逆? YOUの身にさらによからぬことが?」
「いえ、息子は完全に治癒し、癌の形跡すらありませんでした。本当の意味で息子はその時初めて生まれたといえるでしょう」
「? なら何が?」
「アルフです。私に融合しているアルフが警告らしきイメージを繰り返し繰り返し伝えてきました。最初は私は何が何だか解らなくて、その時アルフに言葉や概念を伝えておきべきだったと後悔しました」
「警告ですか? でもそんな具体的なイメージが良くわかりましたね?」
「それまでの思念とは明らかに異なり、破壊のイメージや消滅の概念が流れ込んできました」
「明らかにアルフに何か不都合な事態が生じた? と?」
「そうです。そしてその解明のため研究所にこもり、様々な試みを行ない、アルフが何を伝えようとしたのかが解りました」
「わ、解ったのですか? アルフの意思がっ!」
「もちろん会話できるほどではありませんが、息子に別のアルフが宿っていたことを理解するまでが大変でした。アルフは融合を行うとその人間の身体の中に留まり続けます」
「はぁ、それは私たちも解明しました。さらにアルフは時間の枷に縛られず、同時に複数が存在できることも…」
「そうです。しかしアルフが融合相手の身体に留まり続ける理由については?」
「融合した人間が死亡するまでは、融合状態が解けないとの調査結果が出ています」
「それは我々人間から見た、我々が理解出来る理由でしかない。本当はアルフの存在に起因するのです」
「それは高次元から来た思念体だからということですか?」
「それも一因です。ですが、高次元というのはどの次元のことだと思われてますか?」
「私は6次元から来ましたので、思念体そのものが唯一の個体だと感じています。そうなるとアルフが存在できるのは少なくとも12次元以上の世界だと考えてます」
「私はこの3次元の人間なので、はっきりとした答えを持っていませんが、アルフはどうやら次元すら超越した存在のようです」
「は? 次元を超越ぅ!?」
「そちらのお嬢さんが以前見たという球体の宇宙、それは3次元ではなく次元を超越した空間だと思われます。そしてそれこそがアルフが存在していた空間。絶対空間です」
「絶対空間? それってアイザック・ニュートンの?」
「狭義ではそうなりますが、あらゆる次元を包括した空間という意味で私はその言葉を使ってます」
「あ、そういう意味ですね? !?ってことはアルフはこの宇宙そのものぉ??」
「というより、その絶対空間に存在している思念から、何らかの事情で分離してしまった思念だと思っています。そしてこの3次元に興味を持った。しかし、次元も時間もあらゆる物理法則に捉われないアルフにとっては、一定の次元、一定の時間、一定の空間に留まることができないようです」
「…逆に言うと、一度繋がりを解くと二度と同じ次元、同じ時間、同じ空間に戻っては来られない? ということ…ですか?」
「そうです。だから、融合した人間が死亡して、意識の繋がりが切れると次にどこに行くのか分からないらしいのです」
「だから同じ年代に複数のアルフが存在するのに、繋がりをキャッチできなかったのかぁ」
いずみが合点がいったというように言うが、ルイーナには逆の意味に感じられた。
「いずみ、そういう見方はしない方がいいでしょう。何しろ接点があったかどうかは私たちのうかがい知ることがないことですから」
「へ? ルイーナの言い方の方が良く分からないんですがぁ~」
「つまり、融合したアルフがスタンドアローンで行動していたという確証はないんです」
「ん? んん?」
いずみはさっぱり理解できない。
「だからっ! 融合した人間からは窺い知れない思念での繋がりが… ! そうですっ! なんで博士はYOUがアルフだと知ってたんですか!?」
「え? あ! そうか!」
「博士なぜですか?」
ルイーナは凄まじい形相で博士に詰め寄った。
その返答によっては今までは考えてもいなかった事態に発展する。
「え? 何が?」
きょとんとした顔つきで聞き返す博士。
「YOUがアルフだったとどうして分かったのですか?」
「ああ、そんなことですか? アルフに教えてもらったからです」
「でも言葉も思念も通じないのに、どうやって?」
もはやルイーナまでパニックを起こしかけていた。
「イメージです。私が私を見ていました。最初はどういう意味か判りませんでしたが、どうもその視界は息子のものだと気付きました。そして初めて、アルフは個体としての思念ではなく、複数の人間と融合することができる存在であることを…」
「それはアルフに管理されてるってことじゃないんですか?」
「いえ、そこまでの強い拘束力はないようです。逆に私が研究していた、新しいエネルギーの探索に協力的ですらありました」
「新しいエネルギー? それがソウルコンバーターだと?」
「いいや、ソウルコンバーター自体はエネルギーを収集・変換する装置であり、エネルギーそのものを作り出すものではありません」
「だけど、ほとんど“無”から莫大な電気エネルギーを発生させているじゃないですか?」
「確かにこの3次元においては“無”に見えますが、ネタばらしをすると電磁力を応用してダークマターを収集・圧縮・そして電気エネルギーとして変換しているのです」
「だ、ダークマターぁ!?」
今度はビルが奇声をあげた。
「だって、あれはまだ全く解明できていない宇宙における最大の謎ではないですかっ!」
ルイーナが続けて聞き返す。
「それは見方が違うのです。電磁波も光も発さない、けれど微量の重力が観測できるから“物質的な”意味で不明とせざるを得ない。でも観測できないものは他にもたくさんあります」
「観測できないもの?」
「例えば人の想像力や感情を左右する思念です」
「あ! 思念体だと仰りたいのですか?」
「それだけではありません。幽霊や人外も同じです。それが物質的に影響力を与える力となれば…」
「なるほど。でも博士はソウルコンバーターは空気中の“エーテル体”が原料だと発表されましたよね。“エーテル体“そのものがよく分からなかったのですが、それは”思念体”のことを指していたのですね?」
「その通りです。ただ思念体と言っても正しく理解されることはないと考え、“エーテル体“としたのです」
「なるほど…、話を戻しましょう。アルフが複数存在するといういうのは、どういう…」
「そこが違うのです。人間と融合するから、1:1だと思い込んでいませんか?」
「え? というと複数ではないというのですか? なら何故、YOUもアルフだというのですか?」
「例えるなら、コンピュータでマルチプロセッサCPU搭載のマルチタスクOSのようなもの。と言えば伝わるでしょうか? 見た目には一個のCPUでしかないが、複数のコアで同時に複数のJOBを処理、OSも空いているコアに対してJOBの処理命令を行う」
「あ、博士はアルフ本体はどこかにいて、融合してるのはそのコピーだと? そう仰るのですか?」
「コピーではないと思います。融合という言い方が誤解を招いていると思いますが、アルフはそもそも唯一無二であり、人に干渉してるのはアルフの受信を促すものではないでしょうか?」
「その理屈だとアルフの存在場所をご存知なのでしょうか?」
「知りません。ただ、一度アルフとの接続が解除されると、二度と接続できないことは確認済みです」
「それが湧なんですね」
いずみは湧を振り向いて呟いた。
「その通りです。まして息子はまだ幼く、自己の意識が確立されていなかった時期なので、アルフとの接続が切れた途端に、それまでの記憶も消滅したようです」
「俺には全く記憶がない…。でも、それじゃあなんで母さんは俺を殺そうとしたんだよ?」
「壊れてたんだ。その時にはもう…」
「壊れてた? 何が? … あ! まさか…」
いずみは反射的に聞き返してしまってから、気づいた。
「そうです。妻は息子が死んだ事実に耐え切れず、精神崩壊してしまったのです。しかし、私は息子の異変に気を取られて気付くことができませんでした」
「でも湧は生き返ったんですよね? それでも治らなかったんですか?」
「それが原因でさらに悪化してしまったのです。通院していましたが、見た目は全く健康そのものでした。若干痩せてはいましたが、私が見た限りはごく普通に暮らしていました」
博士のその言葉を聞いた瞬間、いずみは何か違和感を覚えた。
「博士はご自宅に戻られていたのですか?」
「いや、ほとんどは研究所に詰めていた。息子のことやアルフが伝えようとしてたことを調べるために…」
「では奥様とはどこでお会いになっていたんですか?」
「研究所です。着替えや洗濯物を頼んだりしてましたから…」
「その間YOUはどのように?」
「妻の兄が面倒を見てくれてるとのことでした。私はほとんど接点がありませんでしたが…」
「その言葉を鵜呑みにされたんですね」
「と、いうと?」
「YOUから、度々一人で留守番していたと聞きましたが…、男の子とはいえ、4歳の子どもをですよ?」
「そんな…、でも…」
「そして奥様が亡くなられる…と、言っても、事件にはなってませんが…、その前約1週間ほど家には帰ってこなかったそうです」
「それでですか…、やはり生き返ったことも受け入れてなかったんですね」
「まさか、奥様は…」
「息子が保護された1週間ほど前に研究所に来ましたが、その後すぐに帰って行きました。そしてそれが最期だったのです」
「そんな話信じられるかっ!」
突然、湧が怒鳴りだした。
「お前が母さんを狂わせたんだろう! 戻ってきた時の母さんは別人のようだった」
「それは…、」
今度こそ博士は口ごもった。余程言いにくい理由があるらしい。
「お父様、どんなことでも構いません。本当のことを教えてください。でないと、多分二度と湧と和解できないと思います」
いずみは咄嗟に湧の前に身体を割り込ませて、如月博士に懇願した。
「いずみっ! こんな奴の戯言に耳を貸すんじゃない!」
「湧! いい加減にしてっ! 今日の湧は朝からおかしいわっ! いつもの冷静なあなたに戻ってよっ!」
号泣しながら湧にしがみつく。
「如月君、いずみの言う通り、少し落ち着いてくれ!」
大介もいずみを助けるように湧を押さえつける。
ルイーナはあまりの展開に呆然と立ち尽くし、ビルは静観を決め込んでいた。
「わかった! 私の知る限りの事を話そう。息子には辛い事実だが、話すべきだろう」
「お父様…、ありがとうございます」
「いずみっ!」
湧はいずみを振り解こうとするが、大介の力まではかなわない。
「如月博士、お願いいたします」
ルイーナが前に出て、如月博士をの会話を再開した。
「息子が死んだ時、妻は酷く絶望して、自殺を図りました。けれど妻の兄が発見して、一命を取り留めました。しかし、入院中に息子が生き返り、妻が退院して自宅に戻った時、息子を見て恐慌状態に陥ったのです。まるで悪魔でも見るような目つきで恐れ慄きました」
「え? 悪魔?」
さすがに母親に悪魔のように見られていたことを知って、湧は愕然とした。
「私が経過を話しても、息子が死んだということ以外、受け付けられませんでした」
「奥様が退院されたのはいつだったのですか?」
「精神的に不安定だったので、3ヶ月ほど入院していました。甦った息子と初めて会ったのはその時が最初でした」
ルイーナは博士の言葉に嘘がないか慎重に聞き取っていたが、どこにも不自然なところは見当たらない。
「死んだ息子が生きていた。それが妻をさらなる混乱に陥れたのでしょう。しばらくの間はなんとか平常を装っていましたが、それも長くは続きませんでした」
「奥様は現実と夢想の区別がつかなくなっていったのではありませんか?」
ルイーナは自分の経験から、それに思い当たった。
「その通りです。ただ私は医者ではないので、詳しいことは知りませんが…」
「! まさか!? その平常というのは、精神安定剤によるものでは?」
「…のようです。しかも大量に服用していたらしいのです」
「…、そ、そういうことですか…、YOUやはりあなたのお母様は…」
「な、なんだよ? 母さんがなんだと言うんだ?」
「湧ぅ…」
いずみは力一杯湧を抱きしめて、嗚咽を漏らした。
「YOUのお母様は精神破綻していたのです」
ルイーナは静かに断言した。
<続く>
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