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第13章

13-06吸収

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 「ぜんっぜん、話が違うじゃないっ!」
 いずみは必死な形相で喚き、走り回る。
 『ばかたれっ! 何のための特訓だったのよっ。物理攻撃はあまり効果がないって最初から言ってるでしょ!』
 さくらの絶叫も脳内に響き渡る。
 いい迷惑なのがせんや坂戸だ。
 作戦通りなら物理攻撃に見せかけて、せんや坂戸の験力(げんりき)でモンスターを誘い込む。
 多少のダメージしか与えられないものの、導尊の気を惹くだけで充分だった。
 導尊の本体が集まってきたら、いずみが特訓で得た思念体を捕獲する空間バリアを展開し、導尊の思念体を捕獲するつもりだった。
 ところが導尊の思念体が球状に固まったところ、その形が見えているいずみは思わず特攻攻撃を行ってしまった。
 結果は先の通り、破壊(分裂)された導尊の思念体は各々がいずみに攻撃を開始した。
 思念はもちろん物理にも、いずみに波状攻撃を仕掛けてくる。
 その効果はさくらにも有効で、さくらまで悲鳴を挙げながら逃げ回る結果となった。
 『こうなったら再度封印は難しいから、ダイレクトにソウルコンバートするしかないわ』
 「え? そんなことできるの?」
 『できるんじゃなくて、するのよっ!』
 「ええっ~!! そんな無茶苦茶なぁ~」
 『文句言うなっ! 元はと言えばあんたがおバカな攻撃して台無しにしたからでしょっ!』
 「ヒエェ~~~」
 と、言いつつもいずみは落ちていた刀を拾い、両手で横持ちにして構えた。
 「ソウルっコンバァ~~~ター」
 <ボカッ!>
 「イッタアァ~~イっ!」
 『特撮戦隊モノじゃないんだから掛け声はいらないでしょっ!』
 「え~、この方が気合入るんだけどなぁ。まあ、いいや」
 ブツブツ文句を言いながらも方術を展開するいずみ。
 剣を握る拳が輝き出し、やがて全身から光が放たれる。
 すると、分裂して襲いかかってきたモンスターの破片が剣に吸い込まれるように殺到した。
 断末魔の咆哮を挙げ、破片が消滅してゆく。
 本来のソウルコンバーターは思念エネルギーのみを電気エネルギーとして位相変換し、出力する。
 なので、この場合は“インバーター”というべきなのだが、いずみにはそんな細かいことは理解できないから、さくらは聞き慣れた“コンバーター”のままで特訓を行っていた。
 今吸収したモンスターの思念エネルギーは、せんの世界に転移され、電気エネルギーとして利用されるはずだ。
 「って、モンスターの破片っていくつあるのよっ!」
 いずみが文句言うのもやむを得ないだろう。はっきりとした物体ではないので、吸い込んでいるとはいえきりがない。
 まるで消防車の放水ホースから放水される水が逆転しているような感覚なのだ。
 『エネルギーの流入量が半端ないわね。見た目以上に濃厚なエネルギーね』
 「… 『ね。』 じゃないわい! 弾き飛ばされそうなのよっ!」
 その言葉の通り、いずみはジリジリと押し戻されていた。
 『やゔぁいわね。いずみっ! 死ぬ気で押し返しなさいっ!』
 「え”? 死ぬ気? さくらっ! 何言ってんのよっ! こんなところで死ねるわけないでしょっ!」
 『だから死ぬ気でって言ってるのよっ!』
 さくらまでパニくり出した。
 その間にもいずみに膨大な思念エネルギーが纏わりつくように吸い込まれている。
 もはや無数の人魂に襲われているようだ。
 いや、実際処理しきれないエネルギーがいずみの肉体を侵食し始め、蝕んでいる。
 このままではいずみの肉体が崩壊してしまう勢いだ。
 「さ、さくらっ! もう…、意識を…保って…い… … …」
 いずみの声はもはやせんたちにも聞こえなくなってきた。
 『いずみっ! もう少し耐えてっ! 今…、』
 そう言ってさくらの思念もせんたちには聞こえなくなった。
 「いずみっ! 女神さまっ!」
 『だから… めが …み… じゃ、ないって、…ば…』
 さくらの思念が消滅した。

 「女神、いずみっ!」
 せんは虚空に叫んだ。
    <続く>
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