死神(デッド)ちゃんは怒ってる!

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第六話

次元の狭間

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 「生かさず殺さずってやつでするね」
 デッドは上級神のニッチに尋ねた。
 「そうだ。これ以上“エゴ魂”をヘヴンズガルドへ送ってはならん。かといって全く魂を送らないわけにもいかない」
 「じゃあ予定されてる魂は送ってもいいでするか?」
 「あ~デッドには、“エゴ魂”追放に専念してもらいたい。通常の使命は一時休止だ」
 「え~~~~! それじゃあ私のお腹が減ってしまうでするのっ!」
 デッドは口を尖らせて抗議した。
 「代わりに人間として食事を楽しんでこい。その為の費用は支給してやる」
 「人間の食べ物はあまり美味しくないでするの。それに屋外で歩きながら、パンやおにぎりという原始的な食物を貪ってる奴が多すぎて、気持ちが悪いでするの」
 まさに、野良犬が残飯を漁っているような食事をしてる奴を、デッドは“エゴ魂”の見分け方に利用していた。
 「文句を言うな。キチンとした食事をしてみれば、意外と気に入るものもあるかもしれんぞ」
 「そうでするかねぇ…」
 デッドは全く期待していない声音で応えた。
 「ところで次元の狭間だが、今回はコピーした閉塞空間ごと、この世界の時間軸とは直角方向に飛ばすようにすること」
 「それは何故でするか?」
 「万一、他の平行世界に取り込まれてしまっては元も子もないのでな」
 次元の狭間とは、複数存在する並行世界のまさに狭間であるが、時間の流れにより並行世界は絶えず合体分離を行っている。
 可能性の未来とは、一つの事象から無限に枝分かれするのではないのだ。
 整合性が取れれば、ある地点で合体する。
 狭間に落ちた世界も同様だ。
 「じゃあどうすればいいのするか?」
 「コピーした時点で時間軸を90度転回して、2度とこの世界及び関連世界には戻ってこられないようにするのだ」
 「でもそれじゃあ、“エゴ魂”は一切動かないのではないでするか?」
 「我々の世界からみれば過去のある一瞬に固着するが、閉塞空間内は独自に時間が流れるから、“エゴ魂”もコピーした物体も変化はするはずだ。我々には一切関知できなくなるが…な」
 「…エグいでする。エゴすぎでする… …まあ、自業自得ですから永久に孤独を味わうのもいいかもでする…ね」
 「まあ、そういうことだ。我々に一切関わりが無くなるんだからいいことだ」
 ニッチはくぼんだ眼窩に嬉しそうな光を灯して笑った。
 「でも一々時間軸転回するのメンドイでする~」
 「まあ、ヘブンズガルドが正常に戻るまでだ。期待してるぞ」
 「うげ~、でするの」
 デッドは心底嫌そうな顔で呟いた。

 ちなみに次元の狭間に送られた閉塞空間というのは、対象となる“エゴ魂”から見える範囲がコピーされる。
 だからその時点で見えない部分はブランクとなり…“何も存在しない”。
 閉塞空間内も時間の経過があるが、それは現実世界とは全く異なる。
 時間が凍結されている場合もあるし、極端に時間経過が早い場合もある。
 いわゆる時間そのものが安定していないようだ。
 “エゴ魂”は現実世界からは存在していたこと自体が消去される。
 閉塞空間では肉体があるように振る舞うが、それは現実世界でのコピーであって、すでに実体ではなくなっている。
 時間経過がある場合は、“エゴ魂”本人の意識いかんによって、身体が崩壊し(年をとっ)てゆく。
 ただ、“エゴ魂”本人以外存在しないから、永久に孤独なのだ。
 精神的に崩壊し、“エゴ魂”の精神エネルギーが尽きたところで、閉塞空間そのものが消滅する。
 もっとも“エゴ魂”は反省や他人に対する思いやりがない(自己中だ)から、自分の境遇は他人によって仕掛けられたと思い込み、全てを責任転嫁する。
 そうして他人を恨み続ける間は、精神的エネルギーを供給することになるので、閉塞空間の寿命も伸び続ける。
 ある意味、“マッチポンプ”なのだった。

 まさに自業自得…なのだろう…。
    <第6話 次元の狭間 終わり>
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