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第20話 ケベック州 Akemiさんとの出遇い
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8月20日。
ガイドブックの地図の不備で、予定外の場所に到着。午後8時、やっとモントリオールのYMCAに落ち着いた。
部屋に入った早々、部屋をノックする奴がいた。若い男が立っておりなにやら言いながら私の肩や胸に触り始めた。訳が分からずにいたら、今度は下半身に触ってきた。”No" と言って突き放したら、ニヤニヤしながら離れて行った。変態のようだ。
遠くまで歩いて粉石鹸を買ってきた。久し振りに洗濯をした。あまり洗濯、シャワーをパスすると”暁の君”ならず、”垢付きの君”になってしまう。マウントロイヤル公園、万博会場跡に行ってみたがつまらない。
夕食を日本の料亭「大阪」で摂ったが、ここでも美味しかった。サービス料を10%も取るのは、かってのフランスの植民地の名残だろうか⁉ ヨーロッパは高い。
夕食後、旧市街の一角にあるノートルダム・ド・モンアレル教会に行ってみたが、中に入ってその美しさに目を見張った。マリア様、キリスト、ステンドグラス…、その全てが素晴らしかった。
モントリオールとは ”私たちの貴婦人” と言う意味らしく、それは即ちマリア様を指すのであるが納得である。翌日もう一度訪れてみたが、何度観ても素晴らしい。
この地はフランスからの移民が多く、英語とフランス語が混在しているが、フランス語を話す人の割合が多いようだ。一度フランス語で話しかけられた年配のご婦人が、"I speak English." と言ってた事があった。幸い自分は話しかけられた事はない。Japanese English しか話せない日本人にフランス語が話せる訳がない。
8月23日。
バスでケベックシティーにやって来た。高台にあるベンチに腰を掛け、ガイドブックを読んでいたら、後ろから
「コンニチワ」。
日本でよく耳にした声が聞こえてきた。思わず、後ろを振り返る。
やや小柄で、22~23歳ぐらい、Tシャツにブルージーンズの日本人らしき女性が微笑んでいる。
彼女は更に
「日本人ですか?」
「そうです」
「先ほど、日本のガイドブックを見てましたので、そうだと思いました」
「そうでしたか。全然気が付かなかった。いつ、日本を発ったの?」
「8月5日です。9月8日まで居ます。いつまでですか?」
「分からない。お金が無くなるまで。たぶん、10月ぐらい」
この彼女とは一旦ここで別れた。確か洗濯しなければ…と言ってたかな?
この後元兵士で、今はケベックシティーに住んでいるという53歳のおっさんに声を掛けられた。旅先で見知らぬ人と話をするのが一人旅の醍醐味だと認識しているので相手をしてたら、親切に近くのガイドブックにも乗っている有名なシャトー・フロンテナックを案内してくれたは良いが、高台に戻ってすぐこの観光客の多い中で事もあろうに軽犯罪(いわゆる立ちション)を犯し始めた。
(何だ、こいつは! こんな屑野郎にはこれ以上付き合ってられん)
挨拶だけして、離れようとした。
"So,bye."
"Wait!"
軽犯罪を犯しながら、ストップがかかった。犯罪行為が終わった後、予想通りの要求があった。
"Will You give me 5 dollars?"
要求通り払う訳にはいかない。
”1 dollar."
彼はプイっと首を傾げた。
"........."
"2 dollars."
"O.K."
私は適当に小銭を1掴み渡そうと石台の上にばら撒いた。彼はしっかり数えて足らないと表情で示してきた。屑になると細かい事にしっかりしている。少し呆れながらピッタリ小銭を補充してやった。
" I can have breads."
(パンでも何でも好きに食べろ!)
彼はニコニコしながら、去って行った。
その後、夕食の為レストランを探していたら又彼女に遇った。一緒に近くをブラついた後、レストランに入った。
「私はカナダの女性はみんなかなり大人っぽく見える。18歳ぐらいかと思ったら14歳だったり。日本人は逆に若く見られない?」
「うん。そうなの。親しくなった外人さんにかなり若く見られたわ。名前を訊かれたのでAkemiと答えたら、どういう意味かと言われたので、"Bright & Beautiful” と答えたんだけど、もう恥ずかしくって。」
「そう。良いじゃない。その通りなんだから」
(名前の意味はその通りで間違いはない。『名は体を表す』かどうかは、別の問題である)
「私、いくつに見えます?」
「そうねえ。23ぐらい」
「ほら、やはり。24です」
(な~んだ。1歳しか違わないじゃない。23歳か24歳だと思ったけど、礼儀で若い方を言っただけ)
まあ日本人の年齢はそう外す事はありません。
「東京から?」
「はい。東京からですか?」
「そう…だけど、帰国したら、大阪に行きます。日本では務めてたの?」
「ええ、富士通に居ました」
「ほう、一流じゃない!勿体ないね」
「まあ、今やりたい事をやっておきたかったから」
「賛成。カナダを選んだのは?」
「モントリオールに友達が居るんです。そこをベースに周ってます。門脇さんはどんな予定ですか?」
「私はバンフという街に半年近く居たんですが、3週間前に発ってプリンスエドワード島を目指しています。その後、アメリカに渡り、ハワイ経由で帰ります」
「えっ、バンフに居たんですか? 良い所ですか? 私もツァーで行きますよ」
「えっ、そうなん。すごく良い所ですよ。私は大好きです。大自然の中にある小さな美しい街で、人口4000人のうち日本人が40人。いろんな動物に遇えますよ」
翌朝又彼女に遇ったがこうなると、必然的な気もする。
午前中2人で海岸通りを歩いた。午後から彼女はツァーに参加するそうなので一旦別れたが、その前にバンフの生情報として、バンフ在住の日本人情報を真実そのまま教えておいた。
概して好人間が多いが中には危険なのも混じっているので、無垢な彼女が毒牙にかからぬよう真実を教えておかないと。
夕方、ホテルで再会した。YMCA専門の私と違い、良いホテルに宿泊している。ポーターに荷物を運ばせ、かっこ良くチップを渡している。
帰国したら、東京で再会する約束を交わし、モントリオール行きのバスターミナルでさよならした。
ガイドブックの地図の不備で、予定外の場所に到着。午後8時、やっとモントリオールのYMCAに落ち着いた。
部屋に入った早々、部屋をノックする奴がいた。若い男が立っておりなにやら言いながら私の肩や胸に触り始めた。訳が分からずにいたら、今度は下半身に触ってきた。”No" と言って突き放したら、ニヤニヤしながら離れて行った。変態のようだ。
遠くまで歩いて粉石鹸を買ってきた。久し振りに洗濯をした。あまり洗濯、シャワーをパスすると”暁の君”ならず、”垢付きの君”になってしまう。マウントロイヤル公園、万博会場跡に行ってみたがつまらない。
夕食を日本の料亭「大阪」で摂ったが、ここでも美味しかった。サービス料を10%も取るのは、かってのフランスの植民地の名残だろうか⁉ ヨーロッパは高い。
夕食後、旧市街の一角にあるノートルダム・ド・モンアレル教会に行ってみたが、中に入ってその美しさに目を見張った。マリア様、キリスト、ステンドグラス…、その全てが素晴らしかった。
モントリオールとは ”私たちの貴婦人” と言う意味らしく、それは即ちマリア様を指すのであるが納得である。翌日もう一度訪れてみたが、何度観ても素晴らしい。
この地はフランスからの移民が多く、英語とフランス語が混在しているが、フランス語を話す人の割合が多いようだ。一度フランス語で話しかけられた年配のご婦人が、"I speak English." と言ってた事があった。幸い自分は話しかけられた事はない。Japanese English しか話せない日本人にフランス語が話せる訳がない。
8月23日。
バスでケベックシティーにやって来た。高台にあるベンチに腰を掛け、ガイドブックを読んでいたら、後ろから
「コンニチワ」。
日本でよく耳にした声が聞こえてきた。思わず、後ろを振り返る。
やや小柄で、22~23歳ぐらい、Tシャツにブルージーンズの日本人らしき女性が微笑んでいる。
彼女は更に
「日本人ですか?」
「そうです」
「先ほど、日本のガイドブックを見てましたので、そうだと思いました」
「そうでしたか。全然気が付かなかった。いつ、日本を発ったの?」
「8月5日です。9月8日まで居ます。いつまでですか?」
「分からない。お金が無くなるまで。たぶん、10月ぐらい」
この彼女とは一旦ここで別れた。確か洗濯しなければ…と言ってたかな?
この後元兵士で、今はケベックシティーに住んでいるという53歳のおっさんに声を掛けられた。旅先で見知らぬ人と話をするのが一人旅の醍醐味だと認識しているので相手をしてたら、親切に近くのガイドブックにも乗っている有名なシャトー・フロンテナックを案内してくれたは良いが、高台に戻ってすぐこの観光客の多い中で事もあろうに軽犯罪(いわゆる立ちション)を犯し始めた。
(何だ、こいつは! こんな屑野郎にはこれ以上付き合ってられん)
挨拶だけして、離れようとした。
"So,bye."
"Wait!"
軽犯罪を犯しながら、ストップがかかった。犯罪行為が終わった後、予想通りの要求があった。
"Will You give me 5 dollars?"
要求通り払う訳にはいかない。
”1 dollar."
彼はプイっと首を傾げた。
"........."
"2 dollars."
"O.K."
私は適当に小銭を1掴み渡そうと石台の上にばら撒いた。彼はしっかり数えて足らないと表情で示してきた。屑になると細かい事にしっかりしている。少し呆れながらピッタリ小銭を補充してやった。
" I can have breads."
(パンでも何でも好きに食べろ!)
彼はニコニコしながら、去って行った。
その後、夕食の為レストランを探していたら又彼女に遇った。一緒に近くをブラついた後、レストランに入った。
「私はカナダの女性はみんなかなり大人っぽく見える。18歳ぐらいかと思ったら14歳だったり。日本人は逆に若く見られない?」
「うん。そうなの。親しくなった外人さんにかなり若く見られたわ。名前を訊かれたのでAkemiと答えたら、どういう意味かと言われたので、"Bright & Beautiful” と答えたんだけど、もう恥ずかしくって。」
「そう。良いじゃない。その通りなんだから」
(名前の意味はその通りで間違いはない。『名は体を表す』かどうかは、別の問題である)
「私、いくつに見えます?」
「そうねえ。23ぐらい」
「ほら、やはり。24です」
(な~んだ。1歳しか違わないじゃない。23歳か24歳だと思ったけど、礼儀で若い方を言っただけ)
まあ日本人の年齢はそう外す事はありません。
「東京から?」
「はい。東京からですか?」
「そう…だけど、帰国したら、大阪に行きます。日本では務めてたの?」
「ええ、富士通に居ました」
「ほう、一流じゃない!勿体ないね」
「まあ、今やりたい事をやっておきたかったから」
「賛成。カナダを選んだのは?」
「モントリオールに友達が居るんです。そこをベースに周ってます。門脇さんはどんな予定ですか?」
「私はバンフという街に半年近く居たんですが、3週間前に発ってプリンスエドワード島を目指しています。その後、アメリカに渡り、ハワイ経由で帰ります」
「えっ、バンフに居たんですか? 良い所ですか? 私もツァーで行きますよ」
「えっ、そうなん。すごく良い所ですよ。私は大好きです。大自然の中にある小さな美しい街で、人口4000人のうち日本人が40人。いろんな動物に遇えますよ」
翌朝又彼女に遇ったがこうなると、必然的な気もする。
午前中2人で海岸通りを歩いた。午後から彼女はツァーに参加するそうなので一旦別れたが、その前にバンフの生情報として、バンフ在住の日本人情報を真実そのまま教えておいた。
概して好人間が多いが中には危険なのも混じっているので、無垢な彼女が毒牙にかからぬよう真実を教えておかないと。
夕方、ホテルで再会した。YMCA専門の私と違い、良いホテルに宿泊している。ポーターに荷物を運ばせ、かっこ良くチップを渡している。
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