海外一人旅1・万年青年どこへ行く カナダ編(門脇賴29歳の時)

門脇 賴

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第四章 アメリカ本土

第30話 ニューヨーク

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 日本人女性との相部屋は初めてだった。相手の Roko が多少緊張しているようなので、こちらも無駄に緊張してしまう。おかげでどちらも朝はやや寝不足。朝食後、セント・アンドリュースの海岸から街、公園と2人で楽しく過ごした。
 夕方、腹痛を感じ参ったがアメリカへの入国管理事務所で有料トイレを使ったらすぐ回復した。入国審査は彼女の協力もあり、文句なく通過。10月末まで滞在許可をもらった。因みに彼女は11月末まで。

 9月24日
 夜行バスで午後12時10分、ついにアメリカの地に降り立った。日本のガイドブックに「まるで囚人扱い」と書かれていたYMCAに宿を取ったがそんな事はなかった。投稿者は不運にも悪い従業員に当たったのであろう。ここでもツインルームで意見が一致した。
 昼食後、2人で行動する事にした。先ずはニューヨークのシンボル”自由の女神”に挨拶に行かねばなるまい。自由の女神はニューヨーク湾のリバティー島に立っている。島に上陸してご挨拶するのが筋だとは思うが、何しろ長期滞在の貧乏バックパッカー二人連れ。ここは失礼して、近くを通過する庶民の足、生活用フェリーを利用する事にした。最短距離でも100m近くあったので近くで堪能できたとは言い難いが安上がりだった。後で思うに、ニューヨークのシンボルに対して失礼だったかなと少し後悔している。自然派の私には建築物は強い興味があるわけではないが、一度は近くでじっくり対面すべきだったと思う。お金を惜しまず上陸しなきゃ。

 翌朝、Roko から衝撃の告白があった。少し訳ありの一人旅だと思っていたが,5年前に結婚しているとの事だった。ご亭主の浮気が原因で離婚を考慮しており、一年間の冷却期間をおいて結論を出すそうである。そんな訳で来年5月帰国するまでアメリカに滞在するそうだ。
 外見的には20歳そこそこに見えるが、雰囲気からして25歳ぐらいかなと思っていたが、28歳との事だった。どうしても北米人と比べると日本人は若く見える。

 午後から2人でU.S.ドルを買いに行く。カナダドルを全てU.S.ドルに換えたがU.S.ドルは高い。20%程、減ってしまった。
 その後、セントラルパークを歩いてみる。男の子7~8人の中に大人の男が数名一緒に球技をしている。日本なら大人が子供たちを遊んでやってるという感じだが、ここではちょっと違った。大人と子供が一緒に遊んでるように見える。対等に判定について猛烈に抗議をしあっている。

 翌日も2人でコロンビア大学のキャンパスを訪れた。日本人かなと思われる男女の姿もあった。割合みんなのんびり学園生活を楽しんでいるように見える。
 その後、街頭市場に行ってみた。途中黒人街らしき所を通ったが、建物は古く道路はゴミだらけでかなり汚い。何となく、街頭にいる黒人の人達も眼が合うと睨み返され何か恐い感じ。数名の男があちこちで無表情に立ち話をしながら我々の方を見つめているが、ガラが悪そうで緊張する。
 街頭市場ではバナナを買いセントラルパークで食べてみたが、まだ熟していないようであまり美味しくなかった。Roko も美味しくなかったとみえ、半分食べただけでバッグにしまった。そして、YMCAに戻ってからすててしまった。ずんぐりむっくりのバナナだったが、果物と言うより料理用であろう。

 翌日は又2人でエンパイヤーステートビルに上ってみたが、遠方が霞んで眺めはイマイチ良くなかった。お上りさんらしき日本人観光客の姿も多く見られる。
 その後、昨日チケットを買ったミュージカル「王様と私」を観に行った。残念ながら、英語が十分に理解できずあまり楽しむ事はできなかった。シャーロットタウンで観た「赤毛のアン」はストーリーを理解してたので楽しめたが、今回はそうはいかなかった。隣で Roko が笑いながら観ているのが何とも癪に障る。
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