怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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二話 逆ハーエンド後の令息たち

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 そんなベレッタはこの国の貴族なら義務で通うアカデミーに16歳から18歳まで通い卒業後してすぐの時に、父が持ってきた縁談に逆らうことも出来ず婚約とか諸々をすっ飛ばしてすぐに結婚した。

 ベレッタは金銭目的で体よく家を追い出されたのだ。


 子爵家の方は子供は私と義妹しかいなかったから、私が結婚する時に義妹を養子縁組して伯爵令息と婚約、伯爵令息が子爵家に婿入りして子爵を継ぐことが決まった。

 本当は父の実の子だったけど、引き続き私の母の実家からの援助を引き出す為に義母の連れ子としての扱いだったけど、私を嫁に出すとが決まってから義母が貴族だったことで、義妹は父の養子として認められたらしい。

 私が結婚してから婚約していた義妹もすぐその伯爵令息と結婚した。

 コローラル子爵家は私の母の実家からと義妹と結婚した伯爵家からの援助もあり、また私が結婚した侯爵家からも多額の金銭を貰い裕福になったようだ。


 で、私ベレッタが結婚した相手というのがフィンレル・サウスカールトン侯爵、結婚した時が22歳。

 美貌の若き侯爵でとても良い縁談…な訳ない!

 父がそんな良い縁談を私に持ってくる訳がないもの。


 フィンレル・サウスカールトンはその昔やらかして男だったのだ。

 フィンレルの父サウスカールトン侯爵は外交官を勤めるとても優秀な国王陛下の側近の一人だった。

 フィンレルはそんな侯爵の一人息子で、本人も王太子の側近候補で将来有望であった。


 しかし貴族の義務であるアカデミーに入学してランシルド男爵家の庶子であるエレナと出会ってから変わってしまった。

 フィンレルは婚約者がいるにも関わらず、エレナに夢中になってしまったのだ。

 でも夢中になったのはフィンレルだけではなかった。

 王太子もフィンレル以外の側近候補たちもみんなエレナに籠絡されてしまった。

 これって逆ハーっていうのだよね?

 前世の私は昭和生まれの60代の孫もいるばぁばで、乙女ゲームとか異世界転生ものの小説などを嗜んだ事はなく、あまり詳しくないのだけど20代後半の娘がそういうのが好きで、よく私に話しているのを聞いたりしてたから少しは知っているのよ。

 でもこの世界はそんなゲームの世界っぽいけど、フィンレルや王太子、ヒロインっぽいエレナの名を聞いても私にはどのゲームなのか私はどういう立場なのか当然全然わからなかったわ。

 この世界がゲームの世界だったとしても、私は彼らがアカデミーに通っていた時にまだ入学前だからゲームの世界だったとしても、私は関係ない存在だったってことよね?

 で、ゲームの展開っていうのかな?そのままにアカデミーの卒業パーティーで婚約破棄断罪劇があったようなの。

 ベレッタは当時まだアカデミーに入学する年齢ではなかったから直に見た訳じゃないのだけど、とても有名な話だからベレッタが入学してからいろいろと噂されていて私にも聞こえてきたから知っている話。

 でもその断罪劇は王太子や側近候補の婚約者たちに断罪返しってやつ?をされて、王太子側がざまあ展開になったってお話なの。

 王太子や側近候補の婚約者がヒロインエレナを虐げて、誘拐しようとしたって王太子や側近候補は婚約破棄と断罪を宣言したのだけど、それらはすべて冤罪で婚約者側から確固たる証拠を出されて見事に断罪返しをされてしまったって訳。

 王太子の婚約者の公爵令嬢や側近候補の婚約者の令嬢たちの方が一枚も二枚も上手だったってことよね?

 もしかしたら王太子の婚約者の公爵令嬢が転生者だったりして?

 お会いしたことがないからわからないけれど…。

 それで王太子と側近候補たちは断罪返しをされて、それぞれ廃嫡とかされたのかと言えばそうはならなかったのよ。


 何と当時者である王太子の婚約者の公爵令嬢が、王太子や側近候補の廃嫡に反対したらしいの。

 王太子は一人っ子で他に王位継承権を持っているのが、国王の弟だったりその婚約者だった公爵令嬢も継承権があるらしいのだけど、王太子は継承権を剥奪されることもなく王太子のまま、公爵令嬢との婚約は白紙となり男爵令嬢のエレナと結婚したのよ。

 それには当の公爵令嬢が裏で動いて外堀を埋め口添えをしたと言われていて、国王陛下も王妃殿下も一人っ子の王太子を庇ったからだと言われているわ。

 あと側近候補も王太子の側近からは外されたけど、廃嫡とか領地に蟄居ということにはならず、地位はそのままに当時の婚約者とも婚約継続となり、みんな結婚したらしい。

 でも側近候補たちが無傷だった訳ではない。

 宰相子息だった侯爵令息は父の侯爵が宰相を退任して、令息も王太子の側近にはなれず、婚約者と結婚して領地経営に勤しんでいるそう。

 もう一人の側近候補の騎士団長子息で伯爵令息も、父が騎士団長を退任して、伯爵令息は王国騎士団に入隊はしたけど、王宮の近衛騎士にはなれず、一介の騎士団の騎士としてスタートとなった。

 その処分は甘いと言えるものだろうけど、それぞれの側近候補令息たちは今では奥様にも奥様の実家にも頭が上がらないのだそう。

 そして彼らは余程反省したのか今では王太子にも王太子妃になったエレナにも近付かないそうだ。

 王太子も側近がすべて変わり、今の側近たちは元婚約者の公爵家や元側近候補の奥様たちの実家の息のかかった者たちだと言われているらしいの。

 王太子は地位はそのままだけど、王太子も元婚約者の家に頭があがなくなったってことよね?


 それと王太子の婚約者だった公爵令嬢は幼馴染の伯爵令息を婿に迎えて、この国初の女公爵となった。

 あの断罪劇がきっかけで国王に女性でも当主になれるように、公爵令嬢と父親の公爵が交渉という名の脅迫をしたと言われているわ。

 実は公爵令嬢には兄がいて彼が後継者のはずだったが、アカデミーの生徒でもなかったのに彼もエレナに籠絡され、あの卒業パーティーで王太子と側近候補たちと一緒に実の妹を断罪しようとした。

 当時兄はエレナの取り巻きの中で唯一結婚していたので、既婚者の不貞は重く見られ、兄だけは離縁して廃嫡となり後継を外されて、領地に蟄居となった。

 まだ亡くなったとは聞いていないからまだ領地にいるのだろうか?

 そして公爵令嬢の父も息子の責任を取って、娘に当主の座を譲って隠居したと言われているの。


 側近候補たちは婚約がなくなることはなかったけど、フィンレルだけは他の側近候補とは違った。

 フィンレルは当時の婚約者の公爵令嬢と唯一婚約がなくなったのだ。

 当時のフィンレルの婚約者の公爵令嬢はアカデミーに留学していた隣国の大国センブュート帝国の第二皇子に見初められて、ぜひにと望まれてフィンレルとの婚約を白紙に戻して第二皇子と婚約して、隣国へと嫁いでいった。

 今はその第二皇子が公爵となり皇弟夫人として、旦那様に溺愛されながら幸せに暮らしているそうだ。


 そうなのだ!あの断罪返しをされた中で唯一婚約がなくなったフィンレルと結婚したのが私ベレッタなのよ。

 当のフィンレルは父の侯爵が外交官と国王の側近を退任して、家族で領地に引き上げた。

 しかしその二年後、フィンレルの両親が不幸な事故で亡くなりフィンレルは弱冠20歳で侯爵となった。

 フィンレルは後を継いで侯爵となり地道に領地経営をしていたようだが、ずっと婚約することはなかった。

 それはずっと王太子妃となったエレナを思い続けているからだと言われているが、このままずっと独身でいると後継問題もあることから結婚することになり、21歳の時にベレッタと結婚したという訳だ。

フィンレルはあの断罪劇の後、両親と共に領地に引っ込んでほとんど王都に行くことはなかったようだし、両親が死んでからは尚更領地から離れられなくなったから、王太子妃になったヒロイン?のエレナとアカデミー卒業後ほとんど会えない状況みたい。
 
で、そのフィンレルに後継ぎが必要だからって私が結婚させられた訳。

私全然関係ないのに被害者じゃない?




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