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美少女二人とお風呂!

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 大理石の浴場は数十人は入れるほどの広さなのに、クレハはぴったりと俺の隣に座った。まるで肌を寄せ合うように。

 素肌の肩と肩が互いに触れ合い、俺はどきりとする。クレハも、透き通るように白い頬を赤く染めて、俺を上目遣いに、銀色の瞳で見つめた。

「義兄さん……照れてます?」

「別に……」

「やっぱり、照れてるじゃないですか。昔はこうして一緒にお風呂に入ったことも……」

「あったっけ?」

「……一度もありませんでした。だから、今、実現しているんです」

 クレハがうちに引き取られたのは九歳のときだったし、そのとき俺はもう十八歳だった。一緒に風呂に入ったりするわけがない。

 もっとも、十四歳となったクレハと入る方がもっとありえないわけだけれど……。

「どうして急にこんなことをしようと思ったの?」

「旅の途中で何度も襲われて、思ったんです。わたしも、もしかしたら義兄さんも、いつ死んでもおかしくないんだなって。だったら、やりたいことは今のうちにやったほうがいいかなって」

 たしかにシェイクに襲われたときも、ソフィアと対峙したときも、ルシアたちに襲撃されたときも、程度の差はあれ、クレハたちの身は危険だった。

 俺は力を尽くしてクレハを守るつもりだけれど、この先も絶対に大丈夫だという保証はない。

「でも、俺と一緒に風呂に入るのが、やりたいこと?」

 俺が苦笑しながら言うと、クレハは微笑んだ。

「はい。でも、それだけじゃないです。義兄さんの体を洗ったり、義兄さんに体を洗ってもらったりもしてほしいなあって……」

「俺ができないとわかっていて言っているよね?」

「わたしと義兄さんは、血がつながっていないんです。結婚だってできるんですよ。できないことなんてありますか?」

 からかうようにクレハは言うが、その顔は真っ赤だった。恥ずかしいなら、言わなければいいのに。

 クレハが本当に、俺を兄のように思ってくれているのかは、わからなかった。九歳のときに出会った男を兄だと言われて、「はい、そうですか」と受け入れられるとは思えない。

 でも、クレハが俺を必要としてくれて、慕ってくれていることは、たぶん、本当のことだ。
 
 俺はクレハの銀色の髪をくしゃくしゃっと撫でた。
 クレハはそんな俺を銀色の瞳で睨む

「そうやってごまかすんですね?」

「ごまかしてはいないよ」

「……わたしも、いつまでも子どもじゃないんですよ」

 クレハは小さくつぶやき、さらにぎゅっと俺に身を寄せた。そして、俺の耳元でささやく。

「義兄さんは、ルシア殿下のことが好きなんだと思っていました」

「どうして?」

「だって、義兄さんはいつもルシア殿下のことを大事にしていましたし、殿下のためならなんだってしていましたから」

「ルシア殿下は王女だし、俺とは釣り合わないよ。貧乏男爵の息子の俺ではね」

 いくら大戦の英雄になっても、俺は身分としては男爵に過ぎない。
 そう言うと、クレハはぱっと嬉しそうな顔をして、立ち上がった。

「それなら、義兄さんに釣り合うのは……」

 言いかけたとき、予想外のことが起きた。クレハは一枚の白いバスタオル以外、何も身にまとっていない。
 そのタオルがひらりとめくれ、落ちそうになったのだ。
 クレハはかあっと顔を赤くして、慌てて手で押さえようとするが、その弾みに姿勢を崩し、何かにつまずいたようだった。

「きゃああっ!」

 クレハが甲高い悲鳴を上げる。次の瞬間、クレハは俺に向かって倒れこんでいた。
 正面から、クレハが俺に抱きつき、俺はクレハを抱きしめる格好になる。めくれかけたバスタオル以外、俺もクレハもほとんど裸だ。

 しかも、俺の両手が、クレハの小さな胸を握りしめてしまっていた。

「あうっ! そ、そんなとこ、触っちゃダメですっ!」

「わ、わざとじゃないよ……く、クレハ」

「……義兄さん」

 俺は慌てて手をどかそうとするが、手のひらに小さな突起のようなものを感じ、動揺してしまう。
 クレハは「んっ」と小さなあえぎ声をあげた。

 なんとか、体勢を立て直し、俺はクレハの胸から手を放す。
 クレハはちょっと残念そうな顔をした。

「やっぱり、もっと触ってくれてもよかったのに」

「そんなわけにはいかないよ」

 俺たちは互いに見つめ合った。

 そして、クレハは意を決したように、俺にぎゅっと正面から抱きついた。

 体の柔らかい部分のあちこちが、俺の体に当たっている。自分の体温が上がるのを感じた。クレハも恥ずかしそうに目を伏せている。 

「……できないことは、ないって言いましたよね。胸でもお尻でも触ってください。義兄さんになら、わたしは何をされてもいいんです」

 そう言って、クレハはぎゅっと俺にしがみつく。
 小さな、けれど柔らかい胸の感触に、俺はうろたえた。

 思わず立ち上がって逃げようとしてしまい、抱きつくクレハの胸と俺の背中がこすれる。

「ひゃうっ!」

 クレハが甲高い声で悲鳴を上げる。クレハの胸が、俺の背中と密着しつつ、形を変えるのがわかり、俺はどきりとした。

「義兄さん……」

 クレハは俺の耳元で、甘い声でささやく。

 そして、クレハはそのままその小さく赤い唇を、俺の顔にそっと近づけようとした。
 ……な、何をするつもりなんだろう?

「へえ、クリス、クレハ。二人とも、何をするつもり?」

 声がしたのは、そのときだった。俺もクレハも慌てて、浴場の入口の方を見る。そこには、ソフィアが立っていた。クレハと同じくバスタオル一枚のみの姿だ。

「ソフィア? どうしてここに?」

「わたしもお風呂に入ろうと思ったの。誰もいないと思っていたんだけれど、鉢合わせするなんて、間が悪いわね」

 ソフィアは肩をすくめた。そして、かるくかけ湯をする。ぴったりと、バスタオルと金色のきれいな髪がソフィアの体に張り付き、体つきを浮き上がらせる。

 ソフィアはクレハより三つ年上の十七歳で、体つきもそれなりに女性的だ。俺は胸のあたりについ視線を動かしてしまう。

 ソフィアは顔を赤くして、俺を睨む。

「なにじろじろ見ているの?」

「ごめん」

「……まあ、攻略対象のクリスだから、許してあげる」

 ソフィアは、そして湯船につかり、俺たちのそばに来た。そして、くすっと笑う。

「いつまでくっついているの?」

 俺は慌てて離れようとしたが、クレハは俺の右隣に回って、ぴったりと俺にくっつく。
 クレハは頬を膨らませて、警戒するようにソフィアを睨んでいた。

「せっかく、いいところだったのに……」

 クレハのつぶやきに、ソフィアはソフィアはいたずらっぽく微笑む。

「邪魔しちゃったかしら?」

 そして、ソフィアはぴたっと俺の左隣に来た。

「ソフィア?」

「どう? 二人の美少女に囲まれる気分は?」

「良くも悪くも、どきどきするね」

 冷や汗をかく、というのはこういう心境のことだと思う。実際には風呂が熱くて、汗をかくわけだけど……。
 
 両手に花、という状況だけど、素直には喜べない。俺の肩越しに、クレハとソフィアの視線がばちばちと火花を散らしている。

 ソフィアは急に真剣な表情になった。

「驚かないで聞いてほしいことがあるのだけれど」

「たいていのことには驚かないね」

「わたし、あなたのことが好きなの」

 俺はびっくりして、ソフィアを見つめた。クレハも氷のように固まった。
 けれど、ソフィアはにっこりと微笑む。

「冗談よ」

「……ああ、驚いた」

「本題は別にあるの。……王女ルシア殿下が反逆罪で逮捕されたわ」

 ソフィアは青い瞳を輝かせ、そう告げた。
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