もふもふうさぎの元最強魔術師~無実追放されたオレ。本当は草うめぇぇして引きこもっていたいけど……。草ぱわーで大事な人を守り、地上を目指す~

花月夜れん

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第四草

28・時の泡

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 空に悠然と泳ぐ大きな魚がいた。どうやら、仕留め損なっていたようだ。

「ヨキ、チャミちゃん。ごめん!!」

 全部を選ぶなんて出来ないのはわかってる。
 オレが大切なのは、オレの中で守ると決めたのは、まだチャミちゃんだけなんだ。

 狙うマトはもうわかっている。上空にいるなら好都合。

「これが、本当のラビブロストライクだっ!!」

 二発目のラビブロストライクを叩き込む。全力草パワーだ。
 この魔術はこっちの方が威力があがるようだ。
 巨大な鮫は爆発し、かけらは四散した。

 と同時に足場が崩れ落ちる。

「な、何が!?」

 ヨキがオレ、チャミちゃん、そしてぐるぐるまきになった怪物の少女を拾い集める。

「サンキュー、ヨキ」

 まわりの景色が泡のように弾けて空へと消えていく。
 浮遊の魔術をかけておいて良かった。
 全員残らず空に浮いていた。
 驚いたのは彼らが、泡が崩れる度に少しづつ時を戻していくことだった。

「なんだ、これ」

 少女が声を出す。聞き取りにくかった先ほどとは違うはっきりした声。

「戻った? 戻った?」

 ヨキが確かめるように口に咥えた少女を見せつけてくる。その姿は確かに、映像で見た少女のものだった。

「あ、あの、あなたたちはいったい……」

 泡がすべて消えると、下にはキラキラと輝く海が広がっていた。

「まずは帰ろう。君のお父さんのところへ」

 魔力回復の草をかじりながらオレはそう言った。
 今回はさすがにそのまま倒れたり出来ないからな。

 ◇

 全員回収完了し、ナツメのところに行く。
 彼らは外に出ていた。
 全員を降ろし、ヨキが姿を戻す。体を隠す様子がなかったのでチャミちゃんが急いで布をかけていた。
 オレは自分の着ていた服の上を脱いでチャミちゃんに渡す。
 ヨキは、何を気にしてるの? とでも言いたそうに顔を傾けて笑っていた。

「お父さん!!」
「バーシィ!!」

 娘と父の再会。オレはその辺にはえてる草をむしゃむしゃしながら座り込み、その様子を見ていた。
 どうやら、やつらの巣であったあの泡に、時間を吸いだして閉じ込めていたのだろう。
 吸いだしていたヤツを叩いたことで、あそこに残っていた時間はそれぞれの持ち主に戻ったのかもしれない。
 その証拠に、ナツメと一緒に抱き締めている母親らしき人物はあの時にいた老婆の面影がある。
 今回もとに戻せたのは、たぶんが巻き戻ったからだ。
 時間を盗られ強制的に怪物になってしまっただけで、まだ力にふれたばかりの彼女のその時に戻っただけ。
 つまり、彼女も次に向かわなければまたあの姿になってしまうのに変わりはないのだろう。
 オレの予想ってだけならいいのだけど、たぶんそうなってしまう未来が見える。

「とりあえず、良かったでいいのか」

 チャミちゃんが横にきて、座った。

「彼女も一緒に連れていってあげれませんか?」

 オレはチャミちゃんの願いなら聞いてあげたい。けれど、オレが守る人は変わらない。誰が増えたところでオレが守るのはチャミちゃんだけのつもりだ。
 たとえ、オレを生還者にするために送られた監視者だったとしても。

「彼女が一緒に行きたいなら、かな」

 抱き締めあって泣いている家族の姿を見ながらそう答えた。
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