もふもふうさぎの元最強魔術師~無実追放されたオレ。本当は草うめぇぇして引きこもっていたいけど……。草ぱわーで大事な人を守り、地上を目指す~

花月夜れん

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第五草

35・目的の草

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「うお、なんだ!! お前ら」
「それはこっちのセリフだ。はやくのけよ!!」

 オレの上に乗っていることに気がついたのか、鳥男は素直におりた。

「すまんすまん。今ちょーっと取り込んでて、邪魔だからそこからどいといてくれなっ」

 言うがはやいか、また飛び出していく。いったい何をやっているのやら。
 オレはヤツが再び落ちてくる前に後を追った。
 再び鳥男は頭上を飛んで行く。

「ユーリ、あれ」

 目だ。目が生えてる!!

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 また突っ込んで行く鳥男はかなり諦めが悪いようだ。だが、今回は何が起こったかしっかり見ることが出来た。
 ヤツが近付いた瞬間、カクンと力が抜けて目の草が思いっきり弾き飛ばしているのだ。

「うぉぉぉぉぉぉぉ」
「ストップ!!」

 オレは鳥男を止める。このままでは何回やっても変わらないだろう。

「んだよ!! とめんなよ!! 姉さんの仕事が増えるだろ!!」
「姉さん? いや、お前、このままじゃあ永遠同じ事の繰り返しだぞ」
「何百回も挑んでりゃそのうち向こうが根負けするんだよ!」

 いや、その前にお前がどこか……というかすでに怪我だらけじゃないか。オレは回復術をかけてやる。治ったのがわかったようだがなんだか拗ねている。

「いいから、そこで少し待ってろ」

 オレはこの場所から風の魔法で草と地面の繋がりを断つ。
 パサリとそれは簡単に落ちた。

「…………」
「近付くと眠りの術か何かが発動するんだろう。ほらこれなら――」
「ば、ばっかやろぉぉぉぉぉ」

 鳥男がマジ泣きを始めた。え、何故泣かれなければならないんだ? アレクはこの採取方法でいいと言っていたはずなんだが。

「俺は魔術が使えないんだ!! この切り口……俺がやったんじゃないってすぐにばれる」
「いや、そこを外せばいいだろ……」
「お兄さんもボク達みたいに草集め?」

 ヨキが鳥男の匂いを嗅いでいた。こらこら、それはご飯じゃないからな。

「お前ら……もう、街に入っちまってるのか」
「……あの、何かまずいんですか?」

 チャミちゃんは目草が動かないのを確認して拾い始めていた。

「俺は、――知らない。まあ、せいぜい気を付けろ。あとはまあ、頑張りなよ。よし、ここに一本あったんだ。もう一本が近くにある。俺はそっちに行く!!」
「あ、ちょっと」

 風のように鳥男は走っていく。悪いことをしてしまった。
 拾い終わった草をチャミちゃんがオレの手にぽんっと積んだ。目のところ以外は草だな。どうなってるんだろう……。

「返しに行こう」
「おいかけっこ!? 任せて。匂いは覚えたよー」
「いや、これを返すだけだからな」

 獲物の横取りなんてして後で恨まれても困る。
 敵なんていらない。構ってる時間が勿体ない。
 まあそもそも、これも時間が勿体ないだろうが。さっさと三種類集めて、王とやらに献上しなければ。
 それにしても、この草うめぇな。
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