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前編
腕輪と髪飾り
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ピクリとフランとアルテが反応した。
「あら、聞いてた名前と違う?」
「リリーナだろ」
あ――、私は何で、考え事してて、きちんと寝れてなかったから。
「ちょっと噛んでしまいました。リリーナです!」
私は無理のある言い訳をすると、二人は目配せしながら建物の中に招き入れた。
「わぁ、キレイ!」
どうやらここはアクセサリーショップのようだ。キラキラの宝石や、飾り、指輪なんかがいっぱい並んでいる。
でもなんで、ここに?
もしかして、妹姫に贈る物を選ぶとか?
「それじゃあ、こっちにいらっしゃい」
招かれるまま、店内を奥に向かうと、髪飾りがたくさんある場所についた。
「それじゃあ、まずはこれ!」
「あの?」
フランはヒョイヒョイと髪留めをチョイスして持ってくる。
キラキラの石がついたもの、細いリボンで細工されているもの、シンプルなプレートだけのもの等、色々あった。
「髪、短くしてしまったからな。好きなの選んでいいぞ」
アルテは、気にしてたんだ。でも、ルミナスから精霊をもらったし、きちんと謝ってくれたのに?
「もらってあげなさいな」
私が困っていると、フランがそう言った。
「……はい」
不器用な彼なりの謝罪なのかな。でも、こんなのもらったら私、お別れ出来なくなっちゃうよ。
「あ、これも良さそうね。あ、こっちも」
フランが色々選んでくれているけれど、私は思っていることを口にした。
「アルテが選んで下さい」
「へ?」
「だからー、謝罪のつもりならアルテがきちんと選んで下さい。私に似合うのを!」
アルテは、頭をかきながら困っている。
困らせるつもりはなかったのだけど、彼の瞳には私がどう映っているのかが知りたかった。
可愛いのが似合うのか、シンプルなのが似合うのか。そんな感じで。
「これだな……」
アルテはすぐに、決めた。って、はやくない!?
その髪飾りは、腕輪に刻まれた意匠と似た模様が刻まれている。
そっか、そうだよね。
「うん、いいよ。これにする」
「あらあら」
アルテとフランは金額を話して、決めているようだ。
私はそれを聞きながら、少し残念に思っていた。
腕輪のことがなかったら一緒にいなかった相手だから、これを選んだのかな。だから、腕輪と同じデザインの髪飾りなんだよね?
それでも、貰ったものだから。ちゃんと大事にしよう。お別れがくるその日くらいまでは――。
私は早速、髪の横につけてもらう。フランが、横に小さな三つ編みをつくってくれた。
「似合うかな?」
「あら、似合うわー」
フランが目を細めて笑っている。アルテは……。
「かっ……いいんじゃないか?」
アルテはそっぽを向いている。女の子をほめるならきちんとまっすぐ言ってくれたほうが嬉しいのにな。
ほんと、扱いが下手なんだから……。
あ、でも人のこと言えないか。私もきちんと口に出して言えてないんだから。
「ありがとう。大事にするね」
私は精いっぱい笑ってみせた。
アルテに出会えて良かった。アイツみたいに外見だけで判断する男ばかりじゃないって、思い直せた。それだけで、充分かな。
「あら、聞いてた名前と違う?」
「リリーナだろ」
あ――、私は何で、考え事してて、きちんと寝れてなかったから。
「ちょっと噛んでしまいました。リリーナです!」
私は無理のある言い訳をすると、二人は目配せしながら建物の中に招き入れた。
「わぁ、キレイ!」
どうやらここはアクセサリーショップのようだ。キラキラの宝石や、飾り、指輪なんかがいっぱい並んでいる。
でもなんで、ここに?
もしかして、妹姫に贈る物を選ぶとか?
「それじゃあ、こっちにいらっしゃい」
招かれるまま、店内を奥に向かうと、髪飾りがたくさんある場所についた。
「それじゃあ、まずはこれ!」
「あの?」
フランはヒョイヒョイと髪留めをチョイスして持ってくる。
キラキラの石がついたもの、細いリボンで細工されているもの、シンプルなプレートだけのもの等、色々あった。
「髪、短くしてしまったからな。好きなの選んでいいぞ」
アルテは、気にしてたんだ。でも、ルミナスから精霊をもらったし、きちんと謝ってくれたのに?
「もらってあげなさいな」
私が困っていると、フランがそう言った。
「……はい」
不器用な彼なりの謝罪なのかな。でも、こんなのもらったら私、お別れ出来なくなっちゃうよ。
「あ、これも良さそうね。あ、こっちも」
フランが色々選んでくれているけれど、私は思っていることを口にした。
「アルテが選んで下さい」
「へ?」
「だからー、謝罪のつもりならアルテがきちんと選んで下さい。私に似合うのを!」
アルテは、頭をかきながら困っている。
困らせるつもりはなかったのだけど、彼の瞳には私がどう映っているのかが知りたかった。
可愛いのが似合うのか、シンプルなのが似合うのか。そんな感じで。
「これだな……」
アルテはすぐに、決めた。って、はやくない!?
その髪飾りは、腕輪に刻まれた意匠と似た模様が刻まれている。
そっか、そうだよね。
「うん、いいよ。これにする」
「あらあら」
アルテとフランは金額を話して、決めているようだ。
私はそれを聞きながら、少し残念に思っていた。
腕輪のことがなかったら一緒にいなかった相手だから、これを選んだのかな。だから、腕輪と同じデザインの髪飾りなんだよね?
それでも、貰ったものだから。ちゃんと大事にしよう。お別れがくるその日くらいまでは――。
私は早速、髪の横につけてもらう。フランが、横に小さな三つ編みをつくってくれた。
「似合うかな?」
「あら、似合うわー」
フランが目を細めて笑っている。アルテは……。
「かっ……いいんじゃないか?」
アルテはそっぽを向いている。女の子をほめるならきちんとまっすぐ言ってくれたほうが嬉しいのにな。
ほんと、扱いが下手なんだから……。
あ、でも人のこと言えないか。私もきちんと口に出して言えてないんだから。
「ありがとう。大事にするね」
私は精いっぱい笑ってみせた。
アルテに出会えて良かった。アイツみたいに外見だけで判断する男ばかりじゃないって、思い直せた。それだけで、充分かな。
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