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後編
一緒に帰ろう
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「アルベルトは本人の許可をもらってるからな! 容赦しないぞ!」
「少しは、容赦してくれ!」
「もしかして、意識があるのか?」
「身体だけが勝手に」
「まあ、諦めろ!」
緊張感がないアルテとアルベルトの会話が繰り広げられているが、この人数に私達は三人。さすがにモンスターみたいに真っ二つなんて出来ないし、私の雷魔法もサラマンデルとかげちゃんも良くないよね……。シルフはうーん? ウィンディーネも微妙?
私のところに戻ってきた精霊二人を見るけれどいい手が思い付かない。
一回戻って、出直す? でも、ルミナス達を残していって大丈夫なの?
「どうする?」
「……オレが何とかする。お前達はまあ、死にはしないだろう」
そう言って、グリードが魔法で空を翔た。一気にアナスタシアの場所へと飛ぶ。
残された私達はにじりよってくる人達に応対する。
「アルテ、どうする? 素直に捕まる?」
「そうだなぁ、さすがに人相手じゃ、どうしたもんか。ん? エリナ」
アルテが精霊二人を指差す。二人が手を繋いで、何か伝えようと必死に身振り手振りをしている。
これは、何を意味しているんだろう?
ぎゅっと抱き合う? ちっちゃい? 髪の毛? アルテ? 部屋に並ぶ観葉植物?
んん?
あっ!!!!
「ドリアード!」
私は緑色の小さな精霊を呼び出す。もしかして、もしかして!
「植物の蔓とかでこの人達を止められる?」
こくりとドリアードは頷くと、たくさん並んでいる観葉植物に飛んで行った。そして、すぐにそれが起こる。
「うぉ、なんか伸びてきたぞ」
すごい勢いで、観葉植物が伸びて、操られている人達を絡めとっていく。これなら、傷付けずに無力化できそう!
「おい、僕まで巻き込んでいるぞ!」
うん、あなたはそこにいてください。アルベルトの訴えをスルーして、グリードの方を見ると、ちょうど、魔術師対決っぽいのが終わったところで、アナスタシアとグリードが対峙していた。
「……佐藤さん」
「あなた誰?」
「オレは、七瀬だよ」
「七瀬君……?」
どうやら、アナスタシアの知り合いみたい? 私は知らない人だ。
「どうして、七瀬君がここに……」
「オレが願ったから?」
「何を?」
「佐藤さんが好きだから、側にいたい。どんな形でも」
アナスタシアの顔に困惑の表情が浮かぶ。
「でも、駄目だ。オレは、佐藤菜穂さんが好きなんだ。この世界では、願いが叶わない」
「……私が……好き?」
「だから、一緒に帰ろう。佐藤さん」
グリードが、一歩一歩アナスタシアに近付いていく。けれど、アナスタシアも一歩一歩と後退りしていた。
「私は……私は……」
側に付いていたクレスヘラがアナスタシアの前にでる。それを見たグリードは足を止め、アナスタシアに手を伸ばし、クレスヘラには退くように言った。
「邪魔だ! どいてくれ!」
グリードがクレスヘラに手を向けて、右に振るとクレスヘラが、すっとアナスタシアの前から退いた。
「あぁ、そうか。そういうことか」
一人納得しながらグリードは手を、私達の方へ向ける。指輪の宝石が光った。
「ここにいる者すべて、元に戻れ!!」
「少しは、容赦してくれ!」
「もしかして、意識があるのか?」
「身体だけが勝手に」
「まあ、諦めろ!」
緊張感がないアルテとアルベルトの会話が繰り広げられているが、この人数に私達は三人。さすがにモンスターみたいに真っ二つなんて出来ないし、私の雷魔法もサラマンデルとかげちゃんも良くないよね……。シルフはうーん? ウィンディーネも微妙?
私のところに戻ってきた精霊二人を見るけれどいい手が思い付かない。
一回戻って、出直す? でも、ルミナス達を残していって大丈夫なの?
「どうする?」
「……オレが何とかする。お前達はまあ、死にはしないだろう」
そう言って、グリードが魔法で空を翔た。一気にアナスタシアの場所へと飛ぶ。
残された私達はにじりよってくる人達に応対する。
「アルテ、どうする? 素直に捕まる?」
「そうだなぁ、さすがに人相手じゃ、どうしたもんか。ん? エリナ」
アルテが精霊二人を指差す。二人が手を繋いで、何か伝えようと必死に身振り手振りをしている。
これは、何を意味しているんだろう?
ぎゅっと抱き合う? ちっちゃい? 髪の毛? アルテ? 部屋に並ぶ観葉植物?
んん?
あっ!!!!
「ドリアード!」
私は緑色の小さな精霊を呼び出す。もしかして、もしかして!
「植物の蔓とかでこの人達を止められる?」
こくりとドリアードは頷くと、たくさん並んでいる観葉植物に飛んで行った。そして、すぐにそれが起こる。
「うぉ、なんか伸びてきたぞ」
すごい勢いで、観葉植物が伸びて、操られている人達を絡めとっていく。これなら、傷付けずに無力化できそう!
「おい、僕まで巻き込んでいるぞ!」
うん、あなたはそこにいてください。アルベルトの訴えをスルーして、グリードの方を見ると、ちょうど、魔術師対決っぽいのが終わったところで、アナスタシアとグリードが対峙していた。
「……佐藤さん」
「あなた誰?」
「オレは、七瀬だよ」
「七瀬君……?」
どうやら、アナスタシアの知り合いみたい? 私は知らない人だ。
「どうして、七瀬君がここに……」
「オレが願ったから?」
「何を?」
「佐藤さんが好きだから、側にいたい。どんな形でも」
アナスタシアの顔に困惑の表情が浮かぶ。
「でも、駄目だ。オレは、佐藤菜穂さんが好きなんだ。この世界では、願いが叶わない」
「……私が……好き?」
「だから、一緒に帰ろう。佐藤さん」
グリードが、一歩一歩アナスタシアに近付いていく。けれど、アナスタシアも一歩一歩と後退りしていた。
「私は……私は……」
側に付いていたクレスヘラがアナスタシアの前にでる。それを見たグリードは足を止め、アナスタシアに手を伸ばし、クレスヘラには退くように言った。
「邪魔だ! どいてくれ!」
グリードがクレスヘラに手を向けて、右に振るとクレスヘラが、すっとアナスタシアの前から退いた。
「あぁ、そうか。そういうことか」
一人納得しながらグリードは手を、私達の方へ向ける。指輪の宝石が光った。
「ここにいる者すべて、元に戻れ!!」
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