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第一章 聖女と竜
第10話 食べていいの?
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「あー、気持ち良かったぁ」
「ほんとだねぇ」
いい汗かいたし、何キロ位減ったかしら。あー、おなかがすいた。
あら、どこからかいい匂い。ほどよく焼けたお肉の香りが。
匂いの出所はすぐにわかった。だって、目の前に大きなお肉が落ちてるんだもの。
「ブレイド、私のために!!」
でも、多すぎるわ。これじゃあまた太ってしまう。でも、せっかくとってきてもらったんだから食べないともったいないわよね。いただきまーす。
「何を噛みつこうとしている?」
「はい、こちらからも質問です。私は何故食べるのを止められているんでしょうか?」
「いや、いやいやいや。ボクがとってきた獲物だよ? ルニア、話をしてないのか?」
ルニアを見る。てへっとしてるのは気のせいかしら?
「いい忘れてた。ダイエットのためにさ、自分のことは自分でやることになってるんだ。基本的には」
「…………」
聞いてないよ? ということは、あんなことやこんなことも全部自分で!?
うぅ、お城に帰りたいー!!(帰れないけど)
「ほら、朝の続きするぞ」
ブレイドに羽交い絞めをされながら必死にお肉へと手をのばす。目の前にお肉があるのにっ!!
「おい、おいっ」
「はっ! 私ったら何を」
果物しか口にしてなくて、お肉への渇望が激しすぎる。なんとかしなきゃ。でも食べたい。
「ふぅ。しょうがない。あまったらだぞ」
「え?」
お肉しか見えてなかった私は改めてその後ろを目にする。彼らの向こうにはたくさんの異形が集まっていた。
「あ……、もしかしてこの人たちも」
「そうだ。さぁ、皆気にせず持って行ってくれ」
これ全員、ブレイドの臣下なのだろうか。人の姿をしているのはブレイドとシルの二人だけ。
ブレイド、ずっとこの人たちの面倒をみてるのかな。すごいな。私ったら、自分のことばかり。
そうよ、お祈りしなくて良くなったんだから自由になった時間でやれることはいっぱいあるじゃない。
自分で出来ることは自分でやらないと進まないわよね。
ルニアにも言っておかなきゃ。
「ねぇ、果物はルニアが用意してくれたんだよね」
「そうだよ。剣の稽古のついでにぱぱぱーっと」
「ありがとう。私早起きして自分の分は用意するわ。どこでとれるか教えてくれる?」
「ん、おっけ」
苦笑いを浮かべられたけれど、私は決めた。
痩せるって決めたのにまだこれっぽっちも体重が減ってない。お仕事だってしてるわけじゃないのに食べることばかり。
精神から鍛え直さなくちゃ!!
「嬉しそうだな」
「え、あー、うん。ブレイド頑張ってるでしょう。私も痩せるって決めたんだった。頑張らなきゃなって。さっきは変なところ見せてごめんなさい」
少しの間があった。何、その顔。
「あははははは」
からの、爆笑!?
「食べることは悪い事じゃない。お腹が空いたなら食べる。元気でいることのほうが大事だ。だから、さっきのは生きたいってお前の体が欲したんだろう。ほら」
「え、余ったらって」
手の中にお肉の葉っぱづつみが渡された。
「これはボクの分だから。ボクは自分でまた獲りに行く。次からは頑張れよ」
行列のあった場所のお肉は全部なくなっていた。
だから、余りなんてなくて。
「ありがとう。私、頑張る」
もらったお肉、ミディアムですごく美味しかった。
すごく、すごく。
少し塩味が濃かったのは涙のせいなんかじゃないんだから。
「あの、なにか――」
何かお礼はできないかと聞こうとした時だった。
ドォン
突然の地響きで危なく大事なお肉を落とすところだった。
「なにっ!?」
慌てて逃げ出す人たち。ブレイドとシルはその人たちに家の中へ入るように呼びかけている。
「どうしたの? ブレイド。また瘴気が?」
「……いや、この感じ。……これは」
地響きとは違う低い唸り声が轟いた。大きな獣の鳴き声。
「黒竜だ」
ブレイドの頬を冷や汗が流れていった。
「ほんとだねぇ」
いい汗かいたし、何キロ位減ったかしら。あー、おなかがすいた。
あら、どこからかいい匂い。ほどよく焼けたお肉の香りが。
匂いの出所はすぐにわかった。だって、目の前に大きなお肉が落ちてるんだもの。
「ブレイド、私のために!!」
でも、多すぎるわ。これじゃあまた太ってしまう。でも、せっかくとってきてもらったんだから食べないともったいないわよね。いただきまーす。
「何を噛みつこうとしている?」
「はい、こちらからも質問です。私は何故食べるのを止められているんでしょうか?」
「いや、いやいやいや。ボクがとってきた獲物だよ? ルニア、話をしてないのか?」
ルニアを見る。てへっとしてるのは気のせいかしら?
「いい忘れてた。ダイエットのためにさ、自分のことは自分でやることになってるんだ。基本的には」
「…………」
聞いてないよ? ということは、あんなことやこんなことも全部自分で!?
うぅ、お城に帰りたいー!!(帰れないけど)
「ほら、朝の続きするぞ」
ブレイドに羽交い絞めをされながら必死にお肉へと手をのばす。目の前にお肉があるのにっ!!
「おい、おいっ」
「はっ! 私ったら何を」
果物しか口にしてなくて、お肉への渇望が激しすぎる。なんとかしなきゃ。でも食べたい。
「ふぅ。しょうがない。あまったらだぞ」
「え?」
お肉しか見えてなかった私は改めてその後ろを目にする。彼らの向こうにはたくさんの異形が集まっていた。
「あ……、もしかしてこの人たちも」
「そうだ。さぁ、皆気にせず持って行ってくれ」
これ全員、ブレイドの臣下なのだろうか。人の姿をしているのはブレイドとシルの二人だけ。
ブレイド、ずっとこの人たちの面倒をみてるのかな。すごいな。私ったら、自分のことばかり。
そうよ、お祈りしなくて良くなったんだから自由になった時間でやれることはいっぱいあるじゃない。
自分で出来ることは自分でやらないと進まないわよね。
ルニアにも言っておかなきゃ。
「ねぇ、果物はルニアが用意してくれたんだよね」
「そうだよ。剣の稽古のついでにぱぱぱーっと」
「ありがとう。私早起きして自分の分は用意するわ。どこでとれるか教えてくれる?」
「ん、おっけ」
苦笑いを浮かべられたけれど、私は決めた。
痩せるって決めたのにまだこれっぽっちも体重が減ってない。お仕事だってしてるわけじゃないのに食べることばかり。
精神から鍛え直さなくちゃ!!
「嬉しそうだな」
「え、あー、うん。ブレイド頑張ってるでしょう。私も痩せるって決めたんだった。頑張らなきゃなって。さっきは変なところ見せてごめんなさい」
少しの間があった。何、その顔。
「あははははは」
からの、爆笑!?
「食べることは悪い事じゃない。お腹が空いたなら食べる。元気でいることのほうが大事だ。だから、さっきのは生きたいってお前の体が欲したんだろう。ほら」
「え、余ったらって」
手の中にお肉の葉っぱづつみが渡された。
「これはボクの分だから。ボクは自分でまた獲りに行く。次からは頑張れよ」
行列のあった場所のお肉は全部なくなっていた。
だから、余りなんてなくて。
「ありがとう。私、頑張る」
もらったお肉、ミディアムですごく美味しかった。
すごく、すごく。
少し塩味が濃かったのは涙のせいなんかじゃないんだから。
「あの、なにか――」
何かお礼はできないかと聞こうとした時だった。
ドォン
突然の地響きで危なく大事なお肉を落とすところだった。
「なにっ!?」
慌てて逃げ出す人たち。ブレイドとシルはその人たちに家の中へ入るように呼びかけている。
「どうしたの? ブレイド。また瘴気が?」
「……いや、この感じ。……これは」
地響きとは違う低い唸り声が轟いた。大きな獣の鳴き声。
「黒竜だ」
ブレイドの頬を冷や汗が流れていった。
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