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第一章 聖女と竜
第13話 口にした人
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「ゆっくりだ。ゆっくり移動するぞ」
「う、う、う、うん」
私たちは音をたてないようにゆっくりと動き出す。だけど、遅かったみたい。ものすごくこっちを睨んでる漆黒の目があった。
「ルニア、こっち見てるよ。絶対見てるよ」
「今、ブレイドと戦ってるんだ。こっちにはこないだろ」
「でも」
だんだんこちらに近づいてきている。ブレイドが反対に連れて行こうとしているが黒竜は明らかに近づいてきている。
「まさか、こんなとこで死ぬなんてなぁ」
ルニアが剣を構えて私を押し出す。前回の彼女とは違う。
「ちょ、ルニア。何やってるのよ! 前回私を盾にしたじゃない。今回だって」
「あはは、ごめんな。でも今回は違うんだ。だから、はやく逃げな」
「ルニア!?」
目の前で大きな音がした。ちょうどブレイドが黒い尻尾で頭を地面に叩きつけられていた。
私たちの前に大きな黒い塊が立ち塞がる。どこまでも黒い体、暗闇のような瞳の竜。
「エマ逃げろっ!!」
ルニアが竜の足もとに走る。無理だよ。死んじゃうよ。
次の瞬間、ルニアは空に飛んでいた。簡単に薙ぎ払われた。
「ルニアぁぁぁぁぁぁっ」
彼女がどうなったのか私は見ることが出来なかった。だって、大きな口が目の前を塞いでいたから。
「あ、まだ……」
ブレイドにお礼出来てないのに。まだ死にたくない。まだ……。
「――――――」
何かが聞こえた。
あれ、食べられてない?
何かしたわけではないのに竜の口が離れていく。黒い瞳が私を見下ろす。
「エマぁぁぁぁぁ!!」
赤い竜の体が黒い竜にぶつかる。
「ブレイド……」
目の前の竜は怪我だらけだ。だけど、私を守るように黒竜と対峙してくれていた。
「エマぁっっっ!!」
ルニアの姿も見えた。良かった生きてた。
黒竜は動かない。じっと私を見て止まっている。もしかして、この竜もブレイドみたいに人に戻れなくて困っていたりするの?
でも、二人を傷つけてる。だから、もし私に何か期待していても……。そう考えていると、竜は動き出した。ただ、こちらに向かってではなく反対側へと飛び立った。
「た、たすかった……?」
私の足と腰が言う事を聞いてくれない。それどころか全力で震えている。
「エマっ!!」
人間に戻ったブレイドが駆け寄ってくれる。良かった。今回はちゃんと戻れたんだ。
「エマぁぁぁぁっ」
ルニアは片腕を押さえてる。もしかして、強く打ちつけた?でも、生きてくれてた。
「ブレイド……、ルニアぁぁぁ」
二人に抱きしめられる。二人が震えをおさえてくれてる。
「良かったよぉぉぉ」
怖かった。だけど誰も死ななくて良かった。だから、もう二度とあの黒い竜には会いたくない。そう思ったのに、気になってしまった。
「――――アメリア」
黒竜が言ったのかな。食べられたと思った時、知らない低い声は赤い瞳の最初の一人伝説の彼女の名前を口にした。
もしかして私が同じ色の瞳だったから、食べられなかった?
「ボクは黒竜が去ったのか確かめてくる」
ブレイドが先に立ち上がった。なんだかフラフラしてる。
「じゃあわたしがおぶって……って、あー」
腕を押さえルニアは困っている。やっぱり、痛くて動かないんだわ。
「大丈夫、私は歩けるから」
震える足を押さえ、なんとか立ち上がって上を向いた。太陽が眩しい。だけど、そこに黒い影が一つ。
「まだいる!!」
それは私目がけて急降下してきた。
「う、う、う、うん」
私たちは音をたてないようにゆっくりと動き出す。だけど、遅かったみたい。ものすごくこっちを睨んでる漆黒の目があった。
「ルニア、こっち見てるよ。絶対見てるよ」
「今、ブレイドと戦ってるんだ。こっちにはこないだろ」
「でも」
だんだんこちらに近づいてきている。ブレイドが反対に連れて行こうとしているが黒竜は明らかに近づいてきている。
「まさか、こんなとこで死ぬなんてなぁ」
ルニアが剣を構えて私を押し出す。前回の彼女とは違う。
「ちょ、ルニア。何やってるのよ! 前回私を盾にしたじゃない。今回だって」
「あはは、ごめんな。でも今回は違うんだ。だから、はやく逃げな」
「ルニア!?」
目の前で大きな音がした。ちょうどブレイドが黒い尻尾で頭を地面に叩きつけられていた。
私たちの前に大きな黒い塊が立ち塞がる。どこまでも黒い体、暗闇のような瞳の竜。
「エマ逃げろっ!!」
ルニアが竜の足もとに走る。無理だよ。死んじゃうよ。
次の瞬間、ルニアは空に飛んでいた。簡単に薙ぎ払われた。
「ルニアぁぁぁぁぁぁっ」
彼女がどうなったのか私は見ることが出来なかった。だって、大きな口が目の前を塞いでいたから。
「あ、まだ……」
ブレイドにお礼出来てないのに。まだ死にたくない。まだ……。
「――――――」
何かが聞こえた。
あれ、食べられてない?
何かしたわけではないのに竜の口が離れていく。黒い瞳が私を見下ろす。
「エマぁぁぁぁぁ!!」
赤い竜の体が黒い竜にぶつかる。
「ブレイド……」
目の前の竜は怪我だらけだ。だけど、私を守るように黒竜と対峙してくれていた。
「エマぁっっっ!!」
ルニアの姿も見えた。良かった生きてた。
黒竜は動かない。じっと私を見て止まっている。もしかして、この竜もブレイドみたいに人に戻れなくて困っていたりするの?
でも、二人を傷つけてる。だから、もし私に何か期待していても……。そう考えていると、竜は動き出した。ただ、こちらに向かってではなく反対側へと飛び立った。
「た、たすかった……?」
私の足と腰が言う事を聞いてくれない。それどころか全力で震えている。
「エマっ!!」
人間に戻ったブレイドが駆け寄ってくれる。良かった。今回はちゃんと戻れたんだ。
「エマぁぁぁぁっ」
ルニアは片腕を押さえてる。もしかして、強く打ちつけた?でも、生きてくれてた。
「ブレイド……、ルニアぁぁぁ」
二人に抱きしめられる。二人が震えをおさえてくれてる。
「良かったよぉぉぉ」
怖かった。だけど誰も死ななくて良かった。だから、もう二度とあの黒い竜には会いたくない。そう思ったのに、気になってしまった。
「――――アメリア」
黒竜が言ったのかな。食べられたと思った時、知らない低い声は赤い瞳の最初の一人伝説の彼女の名前を口にした。
もしかして私が同じ色の瞳だったから、食べられなかった?
「ボクは黒竜が去ったのか確かめてくる」
ブレイドが先に立ち上がった。なんだかフラフラしてる。
「じゃあわたしがおぶって……って、あー」
腕を押さえルニアは困っている。やっぱり、痛くて動かないんだわ。
「大丈夫、私は歩けるから」
震える足を押さえ、なんとか立ち上がって上を向いた。太陽が眩しい。だけど、そこに黒い影が一つ。
「まだいる!!」
それは私目がけて急降下してきた。
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