痩せる決意をした聖女と食べてやると宣言する竜の王子〜婚約破棄されちゃったけど気になる人に愛されたいからダイエット頑張ります〜

花月夜れん

文字の大きさ
15 / 135
第一章 聖女と竜

第15話 青竜の言うことには

しおりを挟む
「ルニアー!!」
「あ、おかえりー」

 ルニアは先に戻っていたみたい。シルに包帯をぐるぐる巻かれている。

「良かった。エマが無事で」

 笑顔で迎えてくれホッとする。ルニアが生きてて本当に良かった。一緒にハッピーライフするって言ったんだから、勝手に一人で死んだりしないでほしい。

「ルニア……ご……ぞぁぁぁぁぁ」

 涙が溢れてしまった。私の涙腺どうなってるの? 尋常ではないのだけど、この量。
 あぁ、抱きつきたいのにこれじゃあ涙で包帯が濡れてしまうよね。私はなんとか涙を止めようとする。けれど、なかなか止まってくれない。
 ルニアは困った顔をしながらも動く方の手をのばし子供にするように頭を撫でてくれた。

「それで、ブレイド。それは? ずいぶん丸いもん持ってるな」
「あぁ、これは」
「これはって言うな。オレはドラゴンやっ!! 誰が好き好んでこんなかっこーするか!!」
「うわ、喋るのか」
「しゃべるっつの」
「面白いな。で、これは?」

 ルニアは容赦ない。またこれは? と言ってブレイドに聞いてる。

「たぶん青竜ブルードラゴンだとは思う。はっきり言うと初対面だ。だからボクもコイツの名前は知らないな」
「だーもう!! だから、オレはこれでもコイツでもないっ」

 青竜はそう言ってバタバタと暴れる。だけどブレイドががっちりと首を押さえてるので逃げ出せそうになかった。

「名前なんと言うの?」

 この竜は黒竜と違ってブレイドと戦ったり、ルニアを怪我させたりしてない。だから、深く考えず名前を聞いた。あとで考えれば、私は食べられるところだったんだけどね。

「教えるか。まあ、どうしても聞きたいならー、言う事聞くなら教えてやってもいいぜ」

 一瞬の間が流れた。

「なぁ、ブレイド。竜だったら回復魔法とかそういう竜魔石とかないのかよ?」
「ボクはそういう魔法はあまり――」

 スルーだ。二人は完全にスルーすることにしたみたい。
 私もそれに乗ることにした。

「ごめんね。私の魔法もそういう力なくて……」

 ごごごごごと何かが燃えるような感じがする。発生源は青竜だった。

「オレは青竜、スピアーだ!! 人の話聞けやっ」

 こうして青竜の名前が判明した。彼はスピアーという名前らしい。

「なんや、お前らは怪我が治したいんか。やったら話ははやいやないか。オレが魔法で治すかわりにそこの女がオレの竜化を解除する。それでどうやっ」

 また間が流れる。

「まあ、これくらいならすぐ治るだろ」
「ごめんね。私が――」
「治るまでボクがルニアの代わりをいくつか受け持とうか?」

 相談を始めると青竜スピアーの顔が怒り狂っていた。でも、小さいから迫力なんて皆無だけれど。

「人の話きけっつーのっっ!!」
「エマをさらった竜が口を開くなよ」

 ルニア、怒ってる。これはかなり怒ってる。
 スピアーもびっくりするほどの殺気がルニアから出ていた。つい私も一緒に背筋を伸ばしてしまう。

「はー。それでコレどうするんだ?」
「何が目的だったか聞いて、そのあとは――」

 ブレイドも冷ややかな目で見ていた。あ、これスピアーってば詰んでない?

「オレを殺せばその女も一生丸いままだぞ」

 私は一瞬でスピアーをブレイドから奪う。自分でも驚く速さだった。

「なんの事? 詳しく聞かせなさい」

 痩せるって決めたのに、丸いままなんて言われては気になってしまうよね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに

有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。 選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。 地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。 失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。 「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」 彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。 そして、私は彼の正妃として王都へ……

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...