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第一章 聖女と竜
第16話 竜魔石
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スピアーはいったい何を知っているんだろう。
私は腕に抱える丸い竜をぐにぐにとひっぱってのばす。意外とのびる。面白いくらいのびる。
「おぃっ。だからやめぇっちゅーの。ったく、とりあえずその殺気立ってるネーさん。治したるから、丸女ちょっとコレを貸せ」
スピアーは小さな口で私の胸元にあったブローチを引きちぎった。私が持ってきた昔から使っている少し古びたブローチ。母からもらったものだった。
「ちょっと、それは」
「ちぃーっとだまっとけ」
我慢すればルニアが治るかもしれない? 私はそこで何が起こるのか見ることにした。壊したり嘘だったら、ぜったい竜化をといたりしないんだから。
スピアーの口が小さく動く。何かを唱えているみたい。
「ほい。これでもうええやろ」
私の手にぽたりとブローチを落とされる。
「それ持って回復しろやーって気合いれてみー」
「はい?」
「だから、気合い入れるんや」
そんなことを言われても竜魔石で魔法なんて使った事なくてわからないんだけど。たぶん竜魔石だったと思われる指輪だってつけていただけだし。
困っていたのがわかったのだろう。ブレイドがスピアーを掴み上げたあと、私に使い方を説明してくれた。
「竜魔石は持ち主の心を読み取る。心から治したいと思えばすぐに答えてくれる」
「心……。わかったわ」
思えばいいのよね? それなら出来る。だって私ルニアに治って欲しいもの。それと、ブレイド、あなたも……。
「お、ええ反応やん」
スピアーが満足げに頷いている。
「って、ぎょぇぇぇぇぇぇぇ!?」
何? 何がぎょぇぇなのよ?
魚影なんて海でもないのにあるわけ……。
気がつけばあたりにたくさんの水の球が浮いていた。いったいいくつあるのだろう? それがゆっくりと空に浮かび上がりぱぁんとわれた。
ざぁっと雨にふられたような、でもほんの一瞬の出来事。
「お、おぉぉ?」
「あれ……」
ルニアもブレイドも驚いたように自分の体の異変を確かめていた。
「ど、どうなの?」
もし、嘘だったら。
「すごいぞ、エマ。ほら、見ろよ」
ルニアの腕が動いている。あ、待ってそんなに動かして本当に大丈夫なの?
剣まで持ち出して確かめている。振り下ろすはやさ、正確さ、剣筋すべてがきれいだ。これなら彼女は完全に復活していそうだ。
「ブレイドは?」
「え、あ、うん。ボクの傷も全部消えた。ありがとう、エマがやったんだよね?」
二人が治って、嬉しかったけれど一匹はぶつぶつと文句を言っていた。
「何でや。加減ミスったか? 一人治すくらいのよっわーいヤツのつもりやったのに」
なんて聞こえてきて、私は竜の頭をむにと掴んだ。
「まず、お礼を言うわ。ありがとう。それで、私の方は?」
「あー、タンマタンマ。オレ恩人やろ? だったらもう少し扱いよくしてーや」
回復魔法は確かに助かったけれど、本当にこの人が無害であるかなんて、わからないんだよね。うーん。
私はつまんでプニプニを続けながら考える。
「はー、わかった。わかった。サービスやで? 先に言うたるから女……エマだったか? そっちもそのあとでええからしてくれんか? それでどうや?」
う、聞きたい。聞きたいけど……。
「エマ、耳を貸す必要はない」
そう言ってブレイドはすたすたと城の中に入っていってしまった。
「あー、おぃっっっ」
スピアーの叫びと、
「あははは、エマ見ろ。前より調子がいいぞっ。何だこれ」
いつも以上に元気なルニアの笑い声と、
「エマ様すごいですね」
苦笑いを浮かべるシルを残して。
私、このままなの? ねぇ、ブレイド!?
私は腕に抱える丸い竜をぐにぐにとひっぱってのばす。意外とのびる。面白いくらいのびる。
「おぃっ。だからやめぇっちゅーの。ったく、とりあえずその殺気立ってるネーさん。治したるから、丸女ちょっとコレを貸せ」
スピアーは小さな口で私の胸元にあったブローチを引きちぎった。私が持ってきた昔から使っている少し古びたブローチ。母からもらったものだった。
「ちょっと、それは」
「ちぃーっとだまっとけ」
我慢すればルニアが治るかもしれない? 私はそこで何が起こるのか見ることにした。壊したり嘘だったら、ぜったい竜化をといたりしないんだから。
スピアーの口が小さく動く。何かを唱えているみたい。
「ほい。これでもうええやろ」
私の手にぽたりとブローチを落とされる。
「それ持って回復しろやーって気合いれてみー」
「はい?」
「だから、気合い入れるんや」
そんなことを言われても竜魔石で魔法なんて使った事なくてわからないんだけど。たぶん竜魔石だったと思われる指輪だってつけていただけだし。
困っていたのがわかったのだろう。ブレイドがスピアーを掴み上げたあと、私に使い方を説明してくれた。
「竜魔石は持ち主の心を読み取る。心から治したいと思えばすぐに答えてくれる」
「心……。わかったわ」
思えばいいのよね? それなら出来る。だって私ルニアに治って欲しいもの。それと、ブレイド、あなたも……。
「お、ええ反応やん」
スピアーが満足げに頷いている。
「って、ぎょぇぇぇぇぇぇぇ!?」
何? 何がぎょぇぇなのよ?
魚影なんて海でもないのにあるわけ……。
気がつけばあたりにたくさんの水の球が浮いていた。いったいいくつあるのだろう? それがゆっくりと空に浮かび上がりぱぁんとわれた。
ざぁっと雨にふられたような、でもほんの一瞬の出来事。
「お、おぉぉ?」
「あれ……」
ルニアもブレイドも驚いたように自分の体の異変を確かめていた。
「ど、どうなの?」
もし、嘘だったら。
「すごいぞ、エマ。ほら、見ろよ」
ルニアの腕が動いている。あ、待ってそんなに動かして本当に大丈夫なの?
剣まで持ち出して確かめている。振り下ろすはやさ、正確さ、剣筋すべてがきれいだ。これなら彼女は完全に復活していそうだ。
「ブレイドは?」
「え、あ、うん。ボクの傷も全部消えた。ありがとう、エマがやったんだよね?」
二人が治って、嬉しかったけれど一匹はぶつぶつと文句を言っていた。
「何でや。加減ミスったか? 一人治すくらいのよっわーいヤツのつもりやったのに」
なんて聞こえてきて、私は竜の頭をむにと掴んだ。
「まず、お礼を言うわ。ありがとう。それで、私の方は?」
「あー、タンマタンマ。オレ恩人やろ? だったらもう少し扱いよくしてーや」
回復魔法は確かに助かったけれど、本当にこの人が無害であるかなんて、わからないんだよね。うーん。
私はつまんでプニプニを続けながら考える。
「はー、わかった。わかった。サービスやで? 先に言うたるから女……エマだったか? そっちもそのあとでええからしてくれんか? それでどうや?」
う、聞きたい。聞きたいけど……。
「エマ、耳を貸す必要はない」
そう言ってブレイドはすたすたと城の中に入っていってしまった。
「あー、おぃっっっ」
スピアーの叫びと、
「あははは、エマ見ろ。前より調子がいいぞっ。何だこれ」
いつも以上に元気なルニアの笑い声と、
「エマ様すごいですね」
苦笑いを浮かべるシルを残して。
私、このままなの? ねぇ、ブレイド!?
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