痩せる決意をした聖女と食べてやると宣言する竜の王子〜婚約破棄されちゃったけど気になる人に愛されたいからダイエット頑張ります〜

花月夜れん

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第一章 聖女と竜

第39話 瘴気がどうしてここで?

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「――いいかな? そろそろそろそろ時間が――」
「そっか。そうだね」

 ブレイドが私の名前を呼ばずに服を軽く引っ張った。ルニア達が見ているとはいえ向こうの瘴気がいつ出るかと心配であまり長居は出来ないのだった。

「あら、ごめんなさいね。長話に付き合ってもらって」

 私達の様子に気がついた老女はさようならと言って手をふる。

『いってらっしゃいませ』

 過去に同じ顔、同じ声で話していた彼女は【ルナ】だ。女の人ならお母さんの次に大好きだった。昔の事を思い出したくなくてずっと心に蓋をしていた。けど、少しずつ思い出してきた。
 まだルナは門の向こう側を眺めている。
 私は心の中で願った。ルナの足が治りますように、と。
 きらりとブローチが光り小さな水球がルナへと飛んでいく。
 あぁ、竜魔石になったコレ、まだ効果が残ってたんだ。
 自分の変化に気がついたルナは足をペタペタと触ったり動かしたりしていた。

「さようなら」

 どうか、元気でいてください。もう一人のお母さん。
 私はブレイドに目配せをして、歩きだす。
 名前を出さないでくれてありがとうとあとできちんとお礼を言わなくちゃ。

 大通りに戻ると何やら少し騒がしかった。

「おい、聞いたか!?」
「聞いた。はやく皆に、王にも知らせないと」

 ざわざわと話し合う集団から離れて二人の男が話していた。
 ちょうどその二人がこちらに向かってきたので気になって声をかけた。

「あの、何かあったんですか?」

 私とブレイドの姿を上から下まで確認されたあと、男の一人が話してくれた。

「二人とも命が大事なら国境付近の森に近づかないようにしな。瘴気が出たそうだ。あっちだ。もしかしたらこの街までくるかもしれない。大切な物を持って反対側へと避難しろ」

 急いでいる様に見えたが親切に教えてくれた。この人達もきっと今から避難の用意があるだろうに。

「ありがとうございます。引き止めてしまい申し訳ございません。わかりました。気をつけます」
「あぁ、出来たらまだこの事を知らない街の知り合いにも声をかけてくれ」
「おい、行くぞ」

 二人が歩き去ったあと指さした方向を確かめる。たしかあっちは――。

「ボク達がおりた場所かな」
「そうだよね……」

 この国の瘴気の出る場所は私が浄化していたあの場所で、今は他の聖女がいて――。きちんと浄化していれば他の場所で出るはずは……。まさか、瘴気の壁から抜け出てこちら側に溢れてきたのだろうか? それとも、新しい噴き出し場所が?
 考えたところでこちら側に出たならこの国の問題だ。この国の聖女はもう私ではなくて……。
 でも、放っておけばこのまま広がりやがてこの街まで。
 この街にはもう一人のお母さんがいる……。
 私は心を決め、ブレイドを見上げる。

「エマ?」
「ブレイド。あのね――」
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