44 / 135
第一章 聖女と竜
第44話 火加減が難しい?
しおりを挟む
こねこねこねこね。無心に粉をこねる。
なんだかだんだん楽しくなってくる。それにこれだって腕の運動で二の腕にききそう。
以前のような瘴気の浄化で呼び出される生活だったらこんなに集中して料理って出来なかっただろうな。
私一人で対応しなくてもいいって安心をくれるブレイドに感謝したい。(あと、ちょっとだけスピアーにも)
「いい匂いがしますね」
「えぇ、今日は体が温まるスープを作っているんですよ。エマ様のために痩身にする料理をとレシピを考えております!!」
「!? わざわざ、すみません」
「いえいえ、これでお返しになるならいくらでも考えます! 一緒に美しく痩せるレシピ完成させましょう!! エマ様!」
「はい! よろしくお願いします」
「あ、もちろん作ってもらうのも覚えてもらいますからね」
「ですよねー」
ただ、食べるだけというわけにはいかないのか。
だけど、作るのって楽しいと思える自分がいるので全然嫌な気持ちではない。むしろ懐かしい感じがして……。
お母さんと一緒に料理をしてたのかな。
記憶の中にある料理する自分の姿を思い浮かべる。
まわりに何人かいて、隣に立ってる人が火をつけてくれて、鍋にいっぱいの水を用意してくれるスピアーがいて……。…………? ……スピアー!?
いやいやいや、それはない。うん、おかしいでしょ? なんでスピアーが勝手に私の過去に入り込んでるのよ。そこはお父さんお母さんの並ぶ場所なんだからちょっとどいてもらえます?
「エマ様ー!」
「はい、はいはい!! 何ですか?」
「ですから、火を入れて下さいますか?」
「あ、はい。火をいれます」
パンを窯にいれるために火を……、どうやってつけるのかな。
「ここのは竜魔石があるのですごく簡単に火がつくんですよ。ほら」
リリーが指差すのは親指くらいの小さな石。これも竜魔石なんだ。
「もしかして、ブレイドが作ったの?」
「そうですよ。ブレイド様は竜魔石を作り出せるんですから。まあ、そのせいで――」
リリーが悲しそうな顔になる。この話題はあまり触れない方がいいのかもしれない。
「それじゃあ、火いれまーす!!」
竜魔石に触れて火を起こす。火を……。
ゴゥッと吹き上がる炎の渦が窯の中で踊り狂っている。
あの、私、火をお願いしたんですが……。激しい炎ではなくてですね……。
「あれ、ごめんなさい。えっとおかしいですね。長い間使ってなかったから調子が良くないのかな? うーん、これにいれたら流石に灰になってしまいますね。よし、今日はフライパンで焼きましょう」
「すみません」
「いえいえ、でも念のためこっちの火をつけるのは私がしますね」
「お願いします」
私が原因だと思われている。きっと、たぶん、そうに違いない。実際、リリーが火をつければぴったりなのだ。ちょうどいい感じにあっさり火がついた。
もしかして、私竜魔石の扱いが下手!? 思い返せば、スピアーには初使用でぎょぇぇとか言われたし、ルニアに渡された石はきっと空を自在に飛べたんだろうし、変装だってお揃いなんて頼んでもない事されちゃったし……。
それでもできた料理のいい匂いでしょんぼりなんてしていられなくて、味見に渡されたのをひとかじりしてたらぽーんと暗い気持ちもどこかに飛んでいっちゃった。
「おいしぃぃ~」
なんだかだんだん楽しくなってくる。それにこれだって腕の運動で二の腕にききそう。
以前のような瘴気の浄化で呼び出される生活だったらこんなに集中して料理って出来なかっただろうな。
私一人で対応しなくてもいいって安心をくれるブレイドに感謝したい。(あと、ちょっとだけスピアーにも)
「いい匂いがしますね」
「えぇ、今日は体が温まるスープを作っているんですよ。エマ様のために痩身にする料理をとレシピを考えております!!」
「!? わざわざ、すみません」
「いえいえ、これでお返しになるならいくらでも考えます! 一緒に美しく痩せるレシピ完成させましょう!! エマ様!」
「はい! よろしくお願いします」
「あ、もちろん作ってもらうのも覚えてもらいますからね」
「ですよねー」
ただ、食べるだけというわけにはいかないのか。
だけど、作るのって楽しいと思える自分がいるので全然嫌な気持ちではない。むしろ懐かしい感じがして……。
お母さんと一緒に料理をしてたのかな。
記憶の中にある料理する自分の姿を思い浮かべる。
まわりに何人かいて、隣に立ってる人が火をつけてくれて、鍋にいっぱいの水を用意してくれるスピアーがいて……。…………? ……スピアー!?
いやいやいや、それはない。うん、おかしいでしょ? なんでスピアーが勝手に私の過去に入り込んでるのよ。そこはお父さんお母さんの並ぶ場所なんだからちょっとどいてもらえます?
「エマ様ー!」
「はい、はいはい!! 何ですか?」
「ですから、火を入れて下さいますか?」
「あ、はい。火をいれます」
パンを窯にいれるために火を……、どうやってつけるのかな。
「ここのは竜魔石があるのですごく簡単に火がつくんですよ。ほら」
リリーが指差すのは親指くらいの小さな石。これも竜魔石なんだ。
「もしかして、ブレイドが作ったの?」
「そうですよ。ブレイド様は竜魔石を作り出せるんですから。まあ、そのせいで――」
リリーが悲しそうな顔になる。この話題はあまり触れない方がいいのかもしれない。
「それじゃあ、火いれまーす!!」
竜魔石に触れて火を起こす。火を……。
ゴゥッと吹き上がる炎の渦が窯の中で踊り狂っている。
あの、私、火をお願いしたんですが……。激しい炎ではなくてですね……。
「あれ、ごめんなさい。えっとおかしいですね。長い間使ってなかったから調子が良くないのかな? うーん、これにいれたら流石に灰になってしまいますね。よし、今日はフライパンで焼きましょう」
「すみません」
「いえいえ、でも念のためこっちの火をつけるのは私がしますね」
「お願いします」
私が原因だと思われている。きっと、たぶん、そうに違いない。実際、リリーが火をつければぴったりなのだ。ちょうどいい感じにあっさり火がついた。
もしかして、私竜魔石の扱いが下手!? 思い返せば、スピアーには初使用でぎょぇぇとか言われたし、ルニアに渡された石はきっと空を自在に飛べたんだろうし、変装だってお揃いなんて頼んでもない事されちゃったし……。
それでもできた料理のいい匂いでしょんぼりなんてしていられなくて、味見に渡されたのをひとかじりしてたらぽーんと暗い気持ちもどこかに飛んでいっちゃった。
「おいしぃぃ~」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
44
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる