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第二章 赤の瞳と金の瞳

第100話 しょんぼりしないで

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 竜ってしょんぼりすると尻尾が下に下がるんだ。
 隣を飛ぶブレイドを見るとまとう雰囲気がしょんぼりしすぎてて可哀想になってくる。

「ブレイド。何しょぼくれとるんや」

 スピアーはブレイドの上にくるりと回転しながら移動した。ストンと私をブレイドの背に乗せるといつもの小さな丸い竜の姿に戻った。

「これ便利やなぁ」

 人の姿になった時、スピアーは服を着ていた。そして今は着ていた服はなくなっている。フレイルが作った竜魔道具、竜の姿の時は腕輪になり人の姿になれば服になる。フレイルが自分用に作っていたものだが、私に毎回見ないようにさせるのは大変だろうとそれぞれに合う服を作ってくれた。
 ブレイドのは赤い刺繍の入った黒い服。スピアーは青が基調の服。
 私も作りたいって言ったら作り方教えてくれるかなぁ。

「行かん方がええ、言うたのに」
「だって、さっきの言い方じゃあわからないわよ。あそこにダガーがいるなんて!」
「オレも確信があった訳やないから濁ったんや……」
「ボクの判断ミスだ。どんな事があったってエマを守れると思ってた。だけど、スピアーがいなかったらエマを傷つけていたかもしれない。失っていたかもしれない。ムキになってスピアーに任せようとしなかった。すまなかった……」
「ブレイド……。私がさっさと終わらせればなんて言ったからだよ。ブレイドのせいじゃない」
「あー、やめやめ! オレがはっきり言わんかったんが悪かった。すまん。もうこれでこの話はしまいやっ! あの感じやと上手く話が――ダガーは言う事聞いてくれたんか? エマちゃん」

 私はこくりと頷いた。

「追いかけてもきてないようやし、成功って事で戻ろうか。もし、あいつらがきよったらハヘラータにむかえばそれでええやろ」
「それは、そうかもしれないけど」
「エマちゃんが言えばダガーもこっちにつくのはわかったからええやないか。ブレイドは不満かもしれんが」

 なんだがスピアーが急いで話にキリをつけてるように思えて、私は確認することにした。

「ねぇ、スピアー。ダガーの言ってた約束って?」

 思った以上に苦い顔をスピアーは浮かべていた。

「あー、あー。約束? そんなん言うとったか?」
「言ってた。食べられんようにって。何を約束してるの?」
「はー、オレも悲しいーからあんまり思い出したくないんやけどなぁ……」
「何?」
「竜はすぐ生まれ変わる。だから、あいつとは今までずーっとずーっと会わんかったわけやない。何度か、顔を合わせる事があったんや――――」
「そうなんだ」

 ふぅーとため息を吐いた後、スピアーは約束について話し出した。
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