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第二章 赤の瞳と金の瞳
第133話 ダイエット再開しよう
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「はいらなぁぁぁぁぁぁい!!」
「あー、まあそうだろうなぁ」
ルニアが苦笑いを浮かべている。なぜかというと、私がドレスを着るのに苦戦してるのを横で見てるからだ。
「どうして」
「いや、最近サボってたし、ご飯も無限に食べてたろ」
「そうだけどぉ~」
なんだかなつかしくもあるぷにぷに具合。たった数日さぼっただけで戻ってきた私のお肉。
やわらかーい。なんて、揉んでる場合じゃない。式をあげる予定はもう明後日だった。
「いまからじゃ、間に合わないよぉぉぉ」
「エマ様、この薬を飲めばたちまち」
「レイ、それはダメだ。それじゃあ、意味がないんだよ」
フレイルが差し出してきた薬に私が手を伸ばす前にルニアに回収されてしまった。
それを飲めばたちまち、たちまち何なの? 痩せるの? なら、ちょうだいよぉぉぉ!?
私には時間がないの!
目でルニアに訴えるが却下される。
「痩せるって決意したのはエマだろ?」
はい、そうです。このドレスを着れるくらいになると決意しておりました。
「なら、頑張らないとなぁ。シル、サイズは変えず式の日取りだけ変更だ。エマのダイエットを再開するぞ」
「はい、ブレイド様にもその様に伝えておきます」
シルがドレスを回収し、ブレイドの元へと向かった。
日取りの変更……。私はショックで地面に膝をついていた。
「さぁ、そろそろダイエット再開しようか」
「ふ、ふふふ、ふふ」
そうよ、痩せるって決意してたじゃない。きれいになって、ブレイドのお嫁さんになるんだ。
ちょっとそれが伸びただけ。婚約破棄された訳でもない。
ブレイドに言えば、そのままでもと言ってくれるかもしれない。だけど、それじゃあダメだ。ストレスのせいで太ってたと言った自分のセリフが自分に突き刺さるだけだ。
ブレイドとの結婚はストレスなんかじゃ、絶対にないんだからぁっ!?
「私、痩せる。ぜーったい痩せるわ」
「そうだ、頑張ろうぜ」
「うん。頑張るぞー」
そう、決めたのだけどなんだかすごく眠たい。体も熱くて……。
「もう春がくるのかな」
「ん、そうだな。冬も終わりだな」
外は明るくて、気温も高くなってきた。
「エマ?」
「ううん、何でもない。ダイエットだー」
足を踏み出そうとして、ブレイドに捕まった。
「あれ、ブレイド。おかえりなさい」
リアが姿を消したあと、またこの国は瘴気の壁が出来た。
まるで私達を守るように。
ブレイドは増えたりしてないか見回りがまた始まった。ただ、壁の中の瘴気の噴出は限定的だという。
「ただいま。エマ、これお土産」
私の大好物、ブレイドの作ってくれる干し肉。受け取って、さっそくかけらを口にしようとして手が止まった。何かがこみ上げてきそうで反対の手で口を押さえる。
「エマ?」
「え、あ、ありがとう。ブレイド。あとで食べるね」
「どこか具合が悪いのか?」
うぅ、なんでわかってしまうんだろう。肉の匂いがなんだか受け付けなかった。いつもならすっごいいい匂いなのに、なんで?
「エマ、まさか」
「ん、何? ルニア」
「いや、えーっと。おめでとう?」
「ん、おめでとう?」
フレイルが持ってた薬をがちゃんと落とす。
「ルニア姉様、ま、まさか、エマ様は……」
「え、私が何? 何なの?」
「あぁ、ダイエットどころじゃないかもしれないな」
「だから、私が何なの!?」
ルニアが急に椅子を持ってきて私を座らせ、上からマントをかけられる。
「ねぇ、何なのよぉ」
「エマ、赤ちゃんだ」
「え?」
「エマの中に赤ちゃんがいるかもしれない」
頭の中で吹雪が起こる。凍ってしまいそうだ。
「あ……かちゃん……?」
お腹をポンポンと撫でてから、ブレイドの顔をまじまじと見る。
彼の赤い髪の間からのぞく明るい日差しが、凍結した思考をゆっくりと溶かすのにそう時間はかからなかった。
「あー、まあそうだろうなぁ」
ルニアが苦笑いを浮かべている。なぜかというと、私がドレスを着るのに苦戦してるのを横で見てるからだ。
「どうして」
「いや、最近サボってたし、ご飯も無限に食べてたろ」
「そうだけどぉ~」
なんだかなつかしくもあるぷにぷに具合。たった数日さぼっただけで戻ってきた私のお肉。
やわらかーい。なんて、揉んでる場合じゃない。式をあげる予定はもう明後日だった。
「いまからじゃ、間に合わないよぉぉぉ」
「エマ様、この薬を飲めばたちまち」
「レイ、それはダメだ。それじゃあ、意味がないんだよ」
フレイルが差し出してきた薬に私が手を伸ばす前にルニアに回収されてしまった。
それを飲めばたちまち、たちまち何なの? 痩せるの? なら、ちょうだいよぉぉぉ!?
私には時間がないの!
目でルニアに訴えるが却下される。
「痩せるって決意したのはエマだろ?」
はい、そうです。このドレスを着れるくらいになると決意しておりました。
「なら、頑張らないとなぁ。シル、サイズは変えず式の日取りだけ変更だ。エマのダイエットを再開するぞ」
「はい、ブレイド様にもその様に伝えておきます」
シルがドレスを回収し、ブレイドの元へと向かった。
日取りの変更……。私はショックで地面に膝をついていた。
「さぁ、そろそろダイエット再開しようか」
「ふ、ふふふ、ふふ」
そうよ、痩せるって決意してたじゃない。きれいになって、ブレイドのお嫁さんになるんだ。
ちょっとそれが伸びただけ。婚約破棄された訳でもない。
ブレイドに言えば、そのままでもと言ってくれるかもしれない。だけど、それじゃあダメだ。ストレスのせいで太ってたと言った自分のセリフが自分に突き刺さるだけだ。
ブレイドとの結婚はストレスなんかじゃ、絶対にないんだからぁっ!?
「私、痩せる。ぜーったい痩せるわ」
「そうだ、頑張ろうぜ」
「うん。頑張るぞー」
そう、決めたのだけどなんだかすごく眠たい。体も熱くて……。
「もう春がくるのかな」
「ん、そうだな。冬も終わりだな」
外は明るくて、気温も高くなってきた。
「エマ?」
「ううん、何でもない。ダイエットだー」
足を踏み出そうとして、ブレイドに捕まった。
「あれ、ブレイド。おかえりなさい」
リアが姿を消したあと、またこの国は瘴気の壁が出来た。
まるで私達を守るように。
ブレイドは増えたりしてないか見回りがまた始まった。ただ、壁の中の瘴気の噴出は限定的だという。
「ただいま。エマ、これお土産」
私の大好物、ブレイドの作ってくれる干し肉。受け取って、さっそくかけらを口にしようとして手が止まった。何かがこみ上げてきそうで反対の手で口を押さえる。
「エマ?」
「え、あ、ありがとう。ブレイド。あとで食べるね」
「どこか具合が悪いのか?」
うぅ、なんでわかってしまうんだろう。肉の匂いがなんだか受け付けなかった。いつもならすっごいいい匂いなのに、なんで?
「エマ、まさか」
「ん、何? ルニア」
「いや、えーっと。おめでとう?」
「ん、おめでとう?」
フレイルが持ってた薬をがちゃんと落とす。
「ルニア姉様、ま、まさか、エマ様は……」
「え、私が何? 何なの?」
「あぁ、ダイエットどころじゃないかもしれないな」
「だから、私が何なの!?」
ルニアが急に椅子を持ってきて私を座らせ、上からマントをかけられる。
「ねぇ、何なのよぉ」
「エマ、赤ちゃんだ」
「え?」
「エマの中に赤ちゃんがいるかもしれない」
頭の中で吹雪が起こる。凍ってしまいそうだ。
「あ……かちゃん……?」
お腹をポンポンと撫でてから、ブレイドの顔をまじまじと見る。
彼の赤い髪の間からのぞく明るい日差しが、凍結した思考をゆっくりと溶かすのにそう時間はかからなかった。
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