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第二章・火の精霊の国
番外編SS・とある精霊の憂うつ
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この世界に産まれてからずっとオレはここにいる。
この高い場所から下を、この国を眺める日々だ。
オレと同じ火から産まれた同じ名前を持つ赤い姿のオレの分身。産まれたのは少しだけオレが分身よりはやかった。
あっちは好き勝手に国中を動き回っている。おかげでオレは動くことなくあちこちの話を聞くことが出来るけれど。
「たまには、そこから動いてみたら?」
分身はそう言うが、どうせ誰の目に止まるでもない。あちらの世界にオレ達を見ることができる人間が居なくなってしまったから。
ーーー
なんだか、とてもいい匂いがする。オレ達はお腹が空くことはないけれど、魔法の代価に力を貰うことはある。この匂いはぜひとも貰ってみたいと思わせる。いったい誰だ?
「火の精霊さん、いませんか?」
後ろから、声をかけられたので振り返ると人の女と獣人の男が立っていた。
なんだこいつらは?
オレはおそらくこの匂いの持ち主であろうこいつらに興味を持ち、ぬっと目の前まで歩いてやった。
「えっと、火の精霊さんでしょうか?」
こいつには、オレの姿が見えているようだ。面白い。久しぶりに見ることができる人間が現れたのか。
「あの、私、闇の精霊さんと自分の世界への帰りかたを探してるんです。何か知っていたりしますか?」
あぁ、こいつは何かを探しているのか。それならオレよりも分身の方が詳しいだろう。ただ、この匂い……。オレと契約をしてくれないか。
そう思って、言い出そうとすると、人の女の方から分身の力を感じた。
マーキング……か?
オレに契約するなよ、とでも言いたいのだろうか。
わかったよ。
オレは何も言わず、その場から消えた。
ーーー
オレははじめて、街へと下りた。
あいつらが集まって、何かをしているようだったので。
「火の精霊よ!」
呼ばれたので力を貸してやる。人の女からは呼ばれなくて、がっかりした。そして、オレは見てしまった……。
分身の契約の指輪が女の指にはまっていることを――。
この高い場所から下を、この国を眺める日々だ。
オレと同じ火から産まれた同じ名前を持つ赤い姿のオレの分身。産まれたのは少しだけオレが分身よりはやかった。
あっちは好き勝手に国中を動き回っている。おかげでオレは動くことなくあちこちの話を聞くことが出来るけれど。
「たまには、そこから動いてみたら?」
分身はそう言うが、どうせ誰の目に止まるでもない。あちらの世界にオレ達を見ることができる人間が居なくなってしまったから。
ーーー
なんだか、とてもいい匂いがする。オレ達はお腹が空くことはないけれど、魔法の代価に力を貰うことはある。この匂いはぜひとも貰ってみたいと思わせる。いったい誰だ?
「火の精霊さん、いませんか?」
後ろから、声をかけられたので振り返ると人の女と獣人の男が立っていた。
なんだこいつらは?
オレはおそらくこの匂いの持ち主であろうこいつらに興味を持ち、ぬっと目の前まで歩いてやった。
「えっと、火の精霊さんでしょうか?」
こいつには、オレの姿が見えているようだ。面白い。久しぶりに見ることができる人間が現れたのか。
「あの、私、闇の精霊さんと自分の世界への帰りかたを探してるんです。何か知っていたりしますか?」
あぁ、こいつは何かを探しているのか。それならオレよりも分身の方が詳しいだろう。ただ、この匂い……。オレと契約をしてくれないか。
そう思って、言い出そうとすると、人の女の方から分身の力を感じた。
マーキング……か?
オレに契約するなよ、とでも言いたいのだろうか。
わかったよ。
オレは何も言わず、その場から消えた。
ーーー
オレははじめて、街へと下りた。
あいつらが集まって、何かをしているようだったので。
「火の精霊よ!」
呼ばれたので力を貸してやる。人の女からは呼ばれなくて、がっかりした。そして、オレは見てしまった……。
分身の契約の指輪が女の指にはまっていることを――。
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