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第四章・風の精霊の国
93話・温泉で温まる
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石の階段を下りると、途中でログハウスと同じ丸太がぐるりと囲う、2つの通路の別れ道に着いた。
「こっちが女湯、こっちが男湯だよ」
「うん、じゃあ行ってくるね」
「またあとで」
私とアリスはここの名物、川縁の温泉に入りにきた。ルードは後から一人で入りたいみたいで、部屋で寝ている。
道を少し進むと脱衣場所だろうか、服が一組、脱いで置いてあり先客がいることがわかった。
隣のスペースに私も服を脱いで置いた。あ、湯浴み着が置いてある。着けていいのかな? 書いてある文字が読めないけれど、数枚置いてあったので私は一枚拝借した。
「お邪魔します」
そっと、なかを覗くと、川と隣り合わせの大きな石で囲った白い湯気が立ち上る温泉があった。
温泉なんて、久しぶり。友達と行った卒業旅行以来かな。
ゆっくり足をつけると、さらっとした肌触りのお湯だった。とても、気持ちのいい温度。そのまま中に進むと私はゆっくり腰をおろした。あれ、意外と浅い?
ちょうど半身浴、胸より下、お臍のちょっと上くらいの浅さで出来ているみたい。肩まで浸かりたいと思っていた私はすぐにその理由を理解した。
「あ、先客さん」
少し奥の方に、先客のエルフさんが湯に浸かっていた。湯浴み着の背中が大きく開いたところから覗く、綺麗な細い背中には羽がついている。
そっか、羽が濡れないように、浅く出来てるんだ。
こちらに気がついたのか、彼女が私の方に振り向いた。
あ、メリエルと同じ――。
彼女の髪は濃い紫で瞳も紫水晶のような綺麗な紫色だ。そして、その顔もなんとなく、あのバーンと入場してきそうな――。
「なんです? じろじろと見ないで下さる?」
「あ、すみません」
見すぎちゃったかな。私は急いで視線を空へと外した。
もしかして、メリエルの親戚だったりするのかな? そうだとしたら、世間は狭いなーと、考えながら私は温かな湯浴みを堪能していた。
「あーーーーれーーーーーっすーーーー」
なんだろう、デジャブ感のする声が……。
「誰かーーー、受け止めてほしいっすーーーーー」
こちらに飛んできた!
火は駄目よね。風は使えないし、ウォータ! アレ! 何とかして!!
「ウォータ!」
私はウォータを呼ぶと、飛んできたアレは、大きなお湯の水球にごぽんと取り込まれた。
「あっちに、放り込んでおくぞ?」
ウォータが水球を持って、たぶんアリスのいる温泉へと投げ込みに行った。
「あたたまるっすー。おやアリスト君」
飛んできたアレはやはりスペードだったようだ。
見られてないよね?!
「あっち側に落ちたかったっすー」
何か言っている……。
「風の精霊よ!」
「あーーーーれーーーーーっすーーーー」
スペードはまた、お空へと飛んで行った。アリスが容赦ない……。
あぁ、そういえば彼は風の魔法が使えるのだから、自分でなんとかできたんじゃ。
「騒がしい人達ですね――」
紫の彼女が、静かに怒っていた。
今のって、私は不可抗力ですよね?! それにしてもあの人、いったい何をやってるのか……。
私は、浅い温泉に無理矢理肩までつけた。
「こっちが女湯、こっちが男湯だよ」
「うん、じゃあ行ってくるね」
「またあとで」
私とアリスはここの名物、川縁の温泉に入りにきた。ルードは後から一人で入りたいみたいで、部屋で寝ている。
道を少し進むと脱衣場所だろうか、服が一組、脱いで置いてあり先客がいることがわかった。
隣のスペースに私も服を脱いで置いた。あ、湯浴み着が置いてある。着けていいのかな? 書いてある文字が読めないけれど、数枚置いてあったので私は一枚拝借した。
「お邪魔します」
そっと、なかを覗くと、川と隣り合わせの大きな石で囲った白い湯気が立ち上る温泉があった。
温泉なんて、久しぶり。友達と行った卒業旅行以来かな。
ゆっくり足をつけると、さらっとした肌触りのお湯だった。とても、気持ちのいい温度。そのまま中に進むと私はゆっくり腰をおろした。あれ、意外と浅い?
ちょうど半身浴、胸より下、お臍のちょっと上くらいの浅さで出来ているみたい。肩まで浸かりたいと思っていた私はすぐにその理由を理解した。
「あ、先客さん」
少し奥の方に、先客のエルフさんが湯に浸かっていた。湯浴み着の背中が大きく開いたところから覗く、綺麗な細い背中には羽がついている。
そっか、羽が濡れないように、浅く出来てるんだ。
こちらに気がついたのか、彼女が私の方に振り向いた。
あ、メリエルと同じ――。
彼女の髪は濃い紫で瞳も紫水晶のような綺麗な紫色だ。そして、その顔もなんとなく、あのバーンと入場してきそうな――。
「なんです? じろじろと見ないで下さる?」
「あ、すみません」
見すぎちゃったかな。私は急いで視線を空へと外した。
もしかして、メリエルの親戚だったりするのかな? そうだとしたら、世間は狭いなーと、考えながら私は温かな湯浴みを堪能していた。
「あーーーーれーーーーーっすーーーー」
なんだろう、デジャブ感のする声が……。
「誰かーーー、受け止めてほしいっすーーーーー」
こちらに飛んできた!
火は駄目よね。風は使えないし、ウォータ! アレ! 何とかして!!
「ウォータ!」
私はウォータを呼ぶと、飛んできたアレは、大きなお湯の水球にごぽんと取り込まれた。
「あっちに、放り込んでおくぞ?」
ウォータが水球を持って、たぶんアリスのいる温泉へと投げ込みに行った。
「あたたまるっすー。おやアリスト君」
飛んできたアレはやはりスペードだったようだ。
見られてないよね?!
「あっち側に落ちたかったっすー」
何か言っている……。
「風の精霊よ!」
「あーーーーれーーーーーっすーーーー」
スペードはまた、お空へと飛んで行った。アリスが容赦ない……。
あぁ、そういえば彼は風の魔法が使えるのだから、自分でなんとかできたんじゃ。
「騒がしい人達ですね――」
紫の彼女が、静かに怒っていた。
今のって、私は不可抗力ですよね?! それにしてもあの人、いったい何をやってるのか……。
私は、浅い温泉に無理矢理肩までつけた。
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