私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん

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第四章・風の精霊の国

94話・湯あたりですか?

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 丸太から削り出した椅子や家具が並ぶ部屋。アリスと私は向かい合って座っていた。

「さてと、ルードが帰って来る前に色々話しとこうか」

 交代でルードが温泉に行ったので、今のうちに私達はこの国の精霊について話し合うことにした。先程起きたスペードの行動の謎さを話してて少し時間がたってしまったけれど――。

「この国にはね、王様がいない。エルフの長い寿命の中でも一番長寿の人を長老様っと言って意見をもらったりはしているけれど。だから、城とかもなくって、精霊の場の見当がついてないんだよね」
「じゃあ、まずは精霊の場を探すところからなんだ」
「そうなんだ。ここの人達に聞いても見たことがない、聞いたことがないって感じでさ――。ここに街が出来たから、ここにあるとは思うんだけど」

 うーん、と二人同時に唸る。

「リサちゃんは精霊達に何か聞けないの?」
「ちょっと待ってね。ミニライトちゃん達ー?」

 しーん

「サラー?」

 しーん

「ウォーター?」

 しーん
 伸ばして呼んでいるのにウォータもツッコミにこないなぁ。

「誰も反応しないや」
「そっか、どこかに遊びにでも行ってるのかな?」

 皆で川遊びをしている精霊達を想像して私はくすりと笑ってしまった。そういえば普段見えない時の彼らは、いったい何をしているんだろう。ちょっと気になる。

「リサちゃん」

 急に真面目な顔になったアリスがこちらにきた。
 えっと、なんでしょうか?

「身体におかしなところはない?」

 頬に手を添えられる。おかしなところって……? 今現在心臓が激しくドキドキしているんですけど、ソレデショウカ?

「別に元気だよ?」
「本当?」

 綺麗な青い眼で、じっと見つめられる。えっと、特に身体が痛いとかもないし。あの時に、一瞬痛かったけれど――。

「うん、大丈夫」
「そっか、無理しちゃ駄目だよ?」
「心配してくれてありがとう」

 へにゃっと笑いながら私は答えた。頬にくっついてる手が離れないんですが、まだ何かあるのかな。

「あの時――」

 アリスが何か言おうとした時、

 コンコンコン

 ルードが戻ってきたようだ。はやい……。
 すっとアリスがさっきの場所に戻り座り直した。

「お帰りなさい」
「おかえりー」

「あぁ、はい」

 髪の毛が濡れ猫さんのようにペットリしたルードが戻ってきた。もうちょっとちゃんと拭きましょうよ。風邪を引いてしまいますよ?

「アリスト様、先程浴場でエルフ達の気になる噂話を耳にしたのですが――」

 こちらを見たルードが首を傾げる。

「リサ様は何故そんなに顔が真っ赤なのですか? はっ、もしや湯あたりでもしたのでは? 横になってお休みください!」

 あー、ちょっとアリスあたりしたっぽいです。とは言えず、大丈夫ですと言ってから、あははと笑い誤魔化ごまかした。
 ルードは怪訝そうな目をしていたが、アリスがフォローしてくれた。

「それで、ルード。気になる噂って?」
「それがですね――」
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