私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん

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第四章・風の精霊の国

106話・お外で泊まる前編

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「ここに、洞窟があるんだ」

 まるで、キャンプみたい。木の国までまだ距離があるみたいで、ぴーちゅん達が飛べなくなる夜を過ごす為の場所に私達は降りた。

 ぴーちゅんのもふから、大きな布を取り出し集めた葉っぱの上にかける。
 ルードが、木の魔法で植物を成長させ、色んな果物を実らせる。便利だ!! 家庭菜園で是非欲しい魔法だ。
 そう言うと、ルードは笑っていた。次の国で契約頑張って下さい、と。
 でも、契約しても、言うことを聞かない精霊がいることを思い知らされた私は、他の精霊さんも、同じ様に裏切られないか心配である。
 木の精霊さんは優しい子でありますように……。

 水の魔法を使って、川魚を捕らえ、石を積んだかまどで調理する。火の魔法で、楽チン火起こし。
 意外だったのは、アリスとスペードが一緒に行動していることだった。ケンカにならなければいいけれど。
 魔法で快適キャンプを楽しみながら、私達は夜が明けるのを待つ。

 ーーー

 むくり

 何時だろう?
 時間なんてわからないけれど、辺りの暗さからまだ夜中だと思う。
 ズキリズキリと、頭に痛みが走った。真夜中に目が覚めたからかな。
 もそもそと、寝てる場所から抜け出して、外に出るとアリスとルードが火の側で、座っていた。
 ルードは目を閉じている。寝ているのかな?
 私だけ、中で横になって休ませて貰うのは悪いような気がする。

「アリスちゃん、交代で起きてるの?」

 ピクリと耳を動かしてアリスが振り向いた。

「あれ、リサちゃん。起きちゃったの?」
「うん、少しなら交代しようか?」

 隣に座ると、アリスが肩にかけていた布を私にかけてくれた。

「大丈夫。ボク夜の方が得意だから」

 ふにゃりと笑いながら、私の頭をぽんぽんと撫でた。
 して貰えると思ってなかったから、嬉しかったり――。顔が少しだけ赤くなった気がする。

「スペードさんは?」
「少し用事って言って、出てるよ。朝までには戻るって」

 え、こんなとこで用事って何やってるんだろう。むしろ、いったい何があるんだろう……。

「怪しすぎる――」

 私がそう言うと、アリスは苦笑いを浮かべていた。

「彼は、確かに怪しいけど、嘘をついてはいない。たぶん、本当のことだ」

 二人で行動していた時に何か話していたのかな。

「自分の心を他人に握られるのが、こんなに怖いんだね」

 アリスは呟き続ける。

「他人から知らされる位なら――」

 そう言って、アリスが目を閉じる。何か、決めかねているんだろうか?
 少しの沈黙のあと、目を開き私をじっと正面に見据える。もう一度、横を向いたと思ったら、肩を抱き寄せられ私の頭とアリスの肩がくっつく。
 ルードに聞かれないようにだろうか、小さな声で彼は言う。

「ごめんね。ボクは異世界に、元の世界に帰る方法を一つ、前から知ってるんだ」
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