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第38話 手を伸ばしても届かなかった魔王の目の前に
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柔らかい柔らかい柔らかい。頭が全部それしか考えられなくなる。
魔王の時、最期に手を伸ばしたが届かなかった彼女がオレの目の前にいて、手が届く場所にいる。
なんならすぐにでも抱きしめられる。
自分の手を彼女の後ろにまわそうとした瞬間我に返る。
おい、オレが好きなのは勇者マユじゃない。遊佐真由だ!と自分が叫ぶ。
(おい、はやく出てやれよ!! オレ二号ぅぅッ!!)
(オレが出たら、真由はどうする気だ一号!!)
(だが、マユだって前世から――うぉぉぉ!!)
(ええい、悩んでる場合かオレぇぇぇっ! そこに約束の彼女がいるんだぞ!!)
「あの……」
「もう少しだけこのままで」
「ええっと、何をしてるんですか」
ピッタリとオレの体にマユは耳を密着させる。ずいぶん身長が低いなと思ったら足を屈ませていた。
「やっぱりだ」
「え?」
「魔王の魔力があなたの中にある」
離れて顔をあげるマユ。
「どこまでわかってるのかわからないけれど、これ以上使わないで」
「え? えっと? 何のことでしょうか」
「魔王の力。たまに使ってるでしょう」
オレは冷や汗をかく。
「使い魔を教室で出したり、人助けのために呼んだり」
バレている。教室で使ってる事までバレている。やっぱり、あの高校にマユがいるのか?
「魔力はこの世界には存在しない。だから、命に関わるかもしれないよ。だからもう使わないで。もし魔王の強力な魔力が暴走したら高威力の爆発が起こる可能性があるの。周囲からすべてが消えるかもしれないよ」
「え? えぇッ!?」
「私はそれをとめるためにあなたを消さないといけなくなる。だから、お願い」
「いやいやいや、待って。話が全然わからないから!! いきなりきて、オレが消される!? 消されなくてもまわりを巻き込んでヤバい事が起きるかも? いったいどういうことだよ。もうちょっと詳しく」
「あのね……」
コンコン
部屋の外からノックされた。
「お兄ちゃん、さっきから何一人で騒いでるの? びっくりするし。開けていい?」
妹だ。今開けられると色々ヤバい。完全にヤバい。知らない裸足の女子を部屋の中に招き入れているのだ。玄関も通らずに!!
オレは光速でドアに張り付き鍵をかけた。個室に鍵をつけてくれている親に感謝しながら妹に応えた。
「大丈夫だ。寝ぼけてただけ。目覚めたから!! あと、今ちょっと部屋散らかってるから開けられない。少し片付けるから入るなら後にしてくれ」
「ふぅん。なら別にいいけど。本当に大丈夫? 何かあったら力になるし。呼んでね」
部屋の前から気配が消え、ホッとしながらマユへと向き直る。彼女は窓の側に立ち外に出る準備を始めていた。
「あの……」
「そろそろ私も戻らないと。連絡をとる約束をしていただろう?」
「え?」
勇者マユはショートパンツのポケットからスマホを取り出した。見たことあるデザインだった。
「どうしてそれを持ってるんだ?」
オレは自分のスマホを急いで取り出しスタンプを一個送った。同時にピロンと受け取りの音がした。
スマホの画面をこちらに向けられる。そこにはオレが送ったというお知らせが届いている。間違いない真由のスマホだ。
「彼女はまだ私が中にいることを知らない」
「待って、いったいどういう意味――」
マユは困ったように笑う。
「拓也君はうまく融合してたのかな。私はうまくいかなかった。マユの魂と真由の魂が一つの体の中にいるんだ。私は真由の時にも意識があるけれど、真由は私の時の意識がない。それじゃあ、気を付けて。力、使っちゃダメだよ――。あの人たちに見つかっちゃうから……」
マユは窓から外へと飛び出した。オレは窓から外を見る。彼女はきた時とは違いスマートに乗り越え、光の剣を足場に隣の家へと向かっていく。
「嘘だろ……」
マユが真由で真由がマユ。だけどその事実を真由は知らない?
最後に手を振り赤い髪の彼女は視界から姿を消した。
魔王の時、最期に手を伸ばしたが届かなかった彼女がオレの目の前にいて、手が届く場所にいる。
なんならすぐにでも抱きしめられる。
自分の手を彼女の後ろにまわそうとした瞬間我に返る。
おい、オレが好きなのは勇者マユじゃない。遊佐真由だ!と自分が叫ぶ。
(おい、はやく出てやれよ!! オレ二号ぅぅッ!!)
(オレが出たら、真由はどうする気だ一号!!)
(だが、マユだって前世から――うぉぉぉ!!)
(ええい、悩んでる場合かオレぇぇぇっ! そこに約束の彼女がいるんだぞ!!)
「あの……」
「もう少しだけこのままで」
「ええっと、何をしてるんですか」
ピッタリとオレの体にマユは耳を密着させる。ずいぶん身長が低いなと思ったら足を屈ませていた。
「やっぱりだ」
「え?」
「魔王の魔力があなたの中にある」
離れて顔をあげるマユ。
「どこまでわかってるのかわからないけれど、これ以上使わないで」
「え? えっと? 何のことでしょうか」
「魔王の力。たまに使ってるでしょう」
オレは冷や汗をかく。
「使い魔を教室で出したり、人助けのために呼んだり」
バレている。教室で使ってる事までバレている。やっぱり、あの高校にマユがいるのか?
「魔力はこの世界には存在しない。だから、命に関わるかもしれないよ。だからもう使わないで。もし魔王の強力な魔力が暴走したら高威力の爆発が起こる可能性があるの。周囲からすべてが消えるかもしれないよ」
「え? えぇッ!?」
「私はそれをとめるためにあなたを消さないといけなくなる。だから、お願い」
「いやいやいや、待って。話が全然わからないから!! いきなりきて、オレが消される!? 消されなくてもまわりを巻き込んでヤバい事が起きるかも? いったいどういうことだよ。もうちょっと詳しく」
「あのね……」
コンコン
部屋の外からノックされた。
「お兄ちゃん、さっきから何一人で騒いでるの? びっくりするし。開けていい?」
妹だ。今開けられると色々ヤバい。完全にヤバい。知らない裸足の女子を部屋の中に招き入れているのだ。玄関も通らずに!!
オレは光速でドアに張り付き鍵をかけた。個室に鍵をつけてくれている親に感謝しながら妹に応えた。
「大丈夫だ。寝ぼけてただけ。目覚めたから!! あと、今ちょっと部屋散らかってるから開けられない。少し片付けるから入るなら後にしてくれ」
「ふぅん。なら別にいいけど。本当に大丈夫? 何かあったら力になるし。呼んでね」
部屋の前から気配が消え、ホッとしながらマユへと向き直る。彼女は窓の側に立ち外に出る準備を始めていた。
「あの……」
「そろそろ私も戻らないと。連絡をとる約束をしていただろう?」
「え?」
勇者マユはショートパンツのポケットからスマホを取り出した。見たことあるデザインだった。
「どうしてそれを持ってるんだ?」
オレは自分のスマホを急いで取り出しスタンプを一個送った。同時にピロンと受け取りの音がした。
スマホの画面をこちらに向けられる。そこにはオレが送ったというお知らせが届いている。間違いない真由のスマホだ。
「彼女はまだ私が中にいることを知らない」
「待って、いったいどういう意味――」
マユは困ったように笑う。
「拓也君はうまく融合してたのかな。私はうまくいかなかった。マユの魂と真由の魂が一つの体の中にいるんだ。私は真由の時にも意識があるけれど、真由は私の時の意識がない。それじゃあ、気を付けて。力、使っちゃダメだよ――。あの人たちに見つかっちゃうから……」
マユは窓から外へと飛び出した。オレは窓から外を見る。彼女はきた時とは違いスマートに乗り越え、光の剣を足場に隣の家へと向かっていく。
「嘘だろ……」
マユが真由で真由がマユ。だけどその事実を真由は知らない?
最後に手を振り赤い髪の彼女は視界から姿を消した。
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