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第2話
しおりを挟む熱い。ダグラスに噛まれた首筋が熱い。
まるで燃えているような熱さは次第に首筋から身体全体に広がっていく。毒が身体をまわる様に。
「はぁ、・・・っはぁ・・・。」
「どうです?苦しいでしょう。ですが身を任せてしまえばこれ以上ない快楽を味わえますよ?」
「っ!!!触るなっ!」
頬を撫でたダグラスの冷たい指を払い落とす。
触れられた頬も熱を帯びる。
「全くとんだお転婆さんですねぇ」
ダグラスは私に圧し掛かり、それは楽しそうに私の服を破いていった。
露わになった白い肌をダグラスは尖った爪でなぞってゆく。
「んっ・・・あっ・・・はぁっ・・・!」
「美しいですよ、ジル。もっと素直になりなさい。」
褐色の腕が私の身体を好き勝手に撫でまわす。
触られたところから蕩ける様な、甘い感覚が広がり、身体の中心で渦を巻く。
「うぅっ・・・!」
もう出来ることは無いと分かりつつも、最後まで魔族に屈したくはない。
ダグラスを睨み付けた視界の端に、ロウソクが付けられていない燭台が映った。
魔族に辱めをこれ以上受けるくらいなら。
燭台を手に取り、自分の喉に向かって突き刺した。
「なんとまぁ、流石は聖女の精神力といったところでしょうか」
ベッドの上へ倒れ込み、これで聖女としての誇りだけは守れた。そう思っていた。
「ですがあなたはもう『元聖女』。人間とは別の原理で動いているのですよ」
そう言ってダグラスは私の喉元から燭台を抜き去った。
「げほっ・・・がはっ・・・っ・・・!」
「私に血を吸われたのですから、貴女はもう私たちと同じルールで生きて、いや、ただ存在するだけの存在となったのですよ」
そんな、喉を貫いたというのに私はまだ、意識がある。喉の傷が塞がっている。そしてそれらを触って確かめている指先の、先ほどまでとは打って変わった体温の無さよ・・・。
「さあ、新しい同胞よ。私を受け入れるがいい。」
私はもう自分が人間でない何者かになってしまったことが恐ろしく、何も考えられなくなってしまった。
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闇堕ち、大好きです‼️
更新が終わってしまっていますが、願わくば、続きが読んでみたいです‼️