聖女は吸血鬼に監禁溺愛され魔女に堕ちる

あさみ

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第1話 ※

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「あっ・・・んっ・・・やめっ・・・あんっ・・・!」
「ジル、先ほどまでの威勢はどうしたのです?」
「はぁ・・・こ、こんなことで、私は魔族にっ・・・屈したりは・・・あぁっ・・・んっ」

上級魔族の吸血鬼ダグラスに抱かれながら、私は正気を保つことで精いっぱいだった。






「ジル様!結界が、結界が破れて魔族が溢れ出して・・・うわぁっ!!!」
「皆のもの!何があってもジル様だけはお守りしろ!」

私は聖女ジル・パーセル。
魔界との境界を封印した森の祈りの塔で結界を守護しておりました。

封印のおかげでこの世界は魔族の脅威から200年間余り守られてきました。

しかし、その平和は今朝唐突に破られたのです。

何の前触れもなく、結界の中心に黒い穴が開いたかと思えば、そこから湧き出した魔族はあっという間に結界内に充満。
そこから漏れ出てくる魔族に衛兵、僧兵が応戦するも多勢に無勢。数の力で押し負けるのは時間の問題と言えましょう。

聖都の方へは先ほど伝令を走らせました。
私の使命はこの命尽きるまで、祈りを捧げること。
祈りの力で結界を少しでも維持させ、魔族の進軍を遅らせること。

今私にできることはそれくらい・・・。



「おやおや、なかなか結界を破り切れないと思いましたら、聖女がおられたとは。」

祈りの部屋の入口に私の従者の亡骸を片手にたたずむ褐色の肌の青年。
長い黒髪を後ろで束ね、白いシャツと革のズボンを着こなしている姿は美丈夫そのものですけれど、その赤い瞳と禍々しい気配は魔族のそれ。しかも上級の。


「私はダグラス・アシュフィールドと申します。貴女は?」
「・・・ジル・パーセルですわ」

私の命もここまでのようです。
ダグラスが蠱惑的な笑みを浮かべながら無遠慮に距離を縮め、顔を近づけてるのを見て死の覚悟を決める。

「あああぁっ!!!」

首筋に走る激痛。
もがき苦しむも、ダグラスの身体を押し返すことはできない。

暴れて倒れ込む私を抱き留めながら、ダグラスの目は爛々と輝いていた。

「素晴らしい!流石は聖女!そこらの人間どもとは比べ物にならぬ味よ!力がみなぎってくるわ!」

上がる口角。その唇には赤。
まさか・・・。

「まさか、私の血を吸って・・・?」
「ほう。私に吸血されても人の意識を保つとは・・・。気に入りましたよ、ジル。私はあなたを殺して結界を壊すつもりでしたが予定を変えましょう。」

ダグラスはぞんざいに私の身体をベッドに投げつけ、

「貴女を完膚なきまでに抱き潰し、汚して、穢して、聖女の力を奪うことで結界を壊すといたしましょう」

無邪気な子供のように言い渡したのでした。





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