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中編
遺書を書いとけ
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その頃、大阪に豹那、樹、瞬、琉花、千歌の5人が到着していた。
『いや~、長かったなーおい。とりあえずタバコ吸おうぜ』
樹はもう我慢の限界だった。
『どーして新幹線とかロマンスカーとかあんな高ぇのにタバコも吸わしてくんねーのかなー全くよー』
仮に新幹線の中が喫煙できたとしても未成年はダメであろう。
駅を出ると樹はぶつぶつ言いながらタバコに火をつけた。仕方なく瞬たちもそれを待ち、隅の方へ移動し豹那もタバコをくわえた。
朝の駅前は人が激しく行き交うので当然5人はそれをよける。
しかしその目の前に堂々と歩道のど真ん中に座りこみたまっている輩がいた。この夏休み、朝から制服の女子高生が5人で堂々とタバコを吹かしている。かなり柄が悪く道行く大人に今にも噛みつきそうな目で威嚇している。
その内に今度は豹那たちの存在に気づくと、こっちを見てニヤニヤしたり指を差して話ながら笑っている。
『なんだあいつら?見てんぞ、やっちまうか?』
『ダメ!今は一刻も早く病院に行くの!!』
樹は女子高生たちをにらみ返して言うが瞬は真面目に怒った。
『分かってるよ、ジョーダンだよぉ~』
『ほら、行くよ!みんな待ってくれてるんだから』
樹は渋々タバコを捨て、豹那も吸っていたタバコを踏み潰し目の前のタクシーに瞬たち3人から乗りこんでいった。次の車に樹と豹那が乗ろうとした時、女子高生の1人が言った。
『なんや、ビビっとるやん。しょっぼ』
さすがに樹も豹那も足が止まり振り向いたが相手は挑発しているだけだ。もめている時間はない。
『ちっ、ダメだダメだ。雪ノ瀬に怒られちめーな。行こーぜ、緋薙』
すると女子高生の1人が「プッ」と口からガムを吐き飛ばしてきた。こともあろうか吐き出されたガムは緋薙豹那の大切な銀色の長く美しい髪に着弾してしまった。
『うっ!!』
それを目の前で見た樹はまるでダイナマイトに火がつく瞬間を見てしまったような顔で大爆発を覚悟し今日の予定を全て諦めたが、意外にもこの時豹那は冷静だった。
『おい、タクシー来たよ』
手で髪にくっついてしまったガムをはがしながら樹に先に乗るよう促した。
『…お、おう』
あれ?お前キレないの?いいの?という顔で返事をすると樹は先に乗りこむ。
するとまたそのガムを吐き出した女子高生がこちらに聞こえるように喋りだした。
『やっぱビビっとんねんな。腰抜け女や。ガム付いたまま帰りはんねん。まぁ、しゃあないな』
豹那はタクシーに乗る手前で止まった。
『おいガキ。お前、遺書は書いてあるんだろうねぇ?』
『はぁ?』
女子高生は言われて眉をつり上げた。
『死にたいんだろ?お前。だから先に遺書を書いとけって言ったんだ。耳が悪いのかい?』
『なんやと!?』
豹那はそう言って妖しく微笑むとタクシーに乗った。車が走りだすとしばらく無言のなんとも言えない空気が続いた。
『…お前、よく耐えたな』
『次会う時があいつの最後さ。ふふふ…』
豹那は穏やかな声だったが、その顔は完全に怒りで満ちていた。
『は…はは…そだね。それにしても、まだ朝だっつーのにずいぶん族車が走ってんだな』
大阪に着いてからずっと気になっていたことだった。かなり色んな方向から単車の音が聞こえ、タクシーが走りだしてからも何台も族車とすれ違っている。
『ただ走ってるって様子じゃないねぇ。明らかに何かを探し回ってるって感じだ。なるほど、確かに治安は悪いらしい』
豹那の言う通りだった。不死鳥、陽炎朱雀を始め、白狐に犠牲者を出されたチームが白狐の目撃情報を聞きつけ、朝からその周辺を探し回っていたのだ。
不死鳥も陽炎朱雀も決して仲間ではなかったが、白狐、もしくは白狐の仲間以外には手を出し合うなとイデアや浬が言ってあったので、それぞれ顔を合わせても干渉することなく白狐探しに集中していた。
『いや~、長かったなーおい。とりあえずタバコ吸おうぜ』
樹はもう我慢の限界だった。
『どーして新幹線とかロマンスカーとかあんな高ぇのにタバコも吸わしてくんねーのかなー全くよー』
仮に新幹線の中が喫煙できたとしても未成年はダメであろう。
駅を出ると樹はぶつぶつ言いながらタバコに火をつけた。仕方なく瞬たちもそれを待ち、隅の方へ移動し豹那もタバコをくわえた。
朝の駅前は人が激しく行き交うので当然5人はそれをよける。
しかしその目の前に堂々と歩道のど真ん中に座りこみたまっている輩がいた。この夏休み、朝から制服の女子高生が5人で堂々とタバコを吹かしている。かなり柄が悪く道行く大人に今にも噛みつきそうな目で威嚇している。
その内に今度は豹那たちの存在に気づくと、こっちを見てニヤニヤしたり指を差して話ながら笑っている。
『なんだあいつら?見てんぞ、やっちまうか?』
『ダメ!今は一刻も早く病院に行くの!!』
樹は女子高生たちをにらみ返して言うが瞬は真面目に怒った。
『分かってるよ、ジョーダンだよぉ~』
『ほら、行くよ!みんな待ってくれてるんだから』
樹は渋々タバコを捨て、豹那も吸っていたタバコを踏み潰し目の前のタクシーに瞬たち3人から乗りこんでいった。次の車に樹と豹那が乗ろうとした時、女子高生の1人が言った。
『なんや、ビビっとるやん。しょっぼ』
さすがに樹も豹那も足が止まり振り向いたが相手は挑発しているだけだ。もめている時間はない。
『ちっ、ダメだダメだ。雪ノ瀬に怒られちめーな。行こーぜ、緋薙』
すると女子高生の1人が「プッ」と口からガムを吐き飛ばしてきた。こともあろうか吐き出されたガムは緋薙豹那の大切な銀色の長く美しい髪に着弾してしまった。
『うっ!!』
それを目の前で見た樹はまるでダイナマイトに火がつく瞬間を見てしまったような顔で大爆発を覚悟し今日の予定を全て諦めたが、意外にもこの時豹那は冷静だった。
『おい、タクシー来たよ』
手で髪にくっついてしまったガムをはがしながら樹に先に乗るよう促した。
『…お、おう』
あれ?お前キレないの?いいの?という顔で返事をすると樹は先に乗りこむ。
するとまたそのガムを吐き出した女子高生がこちらに聞こえるように喋りだした。
『やっぱビビっとんねんな。腰抜け女や。ガム付いたまま帰りはんねん。まぁ、しゃあないな』
豹那はタクシーに乗る手前で止まった。
『おいガキ。お前、遺書は書いてあるんだろうねぇ?』
『はぁ?』
女子高生は言われて眉をつり上げた。
『死にたいんだろ?お前。だから先に遺書を書いとけって言ったんだ。耳が悪いのかい?』
『なんやと!?』
豹那はそう言って妖しく微笑むとタクシーに乗った。車が走りだすとしばらく無言のなんとも言えない空気が続いた。
『…お前、よく耐えたな』
『次会う時があいつの最後さ。ふふふ…』
豹那は穏やかな声だったが、その顔は完全に怒りで満ちていた。
『は…はは…そだね。それにしても、まだ朝だっつーのにずいぶん族車が走ってんだな』
大阪に着いてからずっと気になっていたことだった。かなり色んな方向から単車の音が聞こえ、タクシーが走りだしてからも何台も族車とすれ違っている。
『ただ走ってるって様子じゃないねぇ。明らかに何かを探し回ってるって感じだ。なるほど、確かに治安は悪いらしい』
豹那の言う通りだった。不死鳥、陽炎朱雀を始め、白狐に犠牲者を出されたチームが白狐の目撃情報を聞きつけ、朝からその周辺を探し回っていたのだ。
不死鳥も陽炎朱雀も決して仲間ではなかったが、白狐、もしくは白狐の仲間以外には手を出し合うなとイデアや浬が言ってあったので、それぞれ顔を合わせても干渉することなく白狐探しに集中していた。
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