72 / 142
中編
グーチョキパー
しおりを挟む
5人が病院に着くと入り口の所で蓮華が待っていた。
『豹那さん!よかった、みんな一緒だったんだ。こっち!ついてきて!』
蓮華は5人をすぐに綺夜羅の所へ案内した。豹那も樹も瞬も、これから自分の血を分け与える少女の眠り続ける姿を目にするとそれぞれ声をかけた。
『なかなか根性ありそうな面してんじゃねーか。誰をかばったって?』
『このあたしの血を使うんだ。光栄に思うんだね』
『月下さん…』
瞬が綺夜羅の手を取り何かを祈るようにした後5人は出ていき採血に向かった。
それと入れ替わるように、そこに別室で休んでいた愛羽がやってきた。
『愛羽!もう大丈夫なの?』
『うん。それより綺夜羅ちゃんは?』
そうは言ったが愛羽はだいぶ具合が悪そうだ。
『まだ眠ってる。でも聞いて、たった今豹那さんと樹さんと瞬さんたちが着いて、今輸血の為に採血してくれてるの』
『本当に?そっか、よかった…みんなは?』
蓮華の言葉に安心したのか、愛羽は力なくその場に座りこんでしまった。あまりにも顔色の悪い愛羽を見て風雅が額に手を当てた。
『愛羽、君すごい熱じゃないか』
風雅は愛羽を抱えた。
『寝てなきゃダメだよ』
そのまま部屋に戻り熱を計ると39℃あった。ツラいはずだ。
結局愛羽は点滴につながれ引き続き安静ということになってしまった。
『えーっと、するってーとなんだ?その狐だか狸だかを1人が今もどこ探してんだか帰ってこなくて、探してるはずのそいつが置きっぱなしにしてきたCBRをまんまと乗って現れて、1人が先走って追いかけて、その後を5人が追いかけてったまま連絡がまだねぇと。片やこっちは単車も1台しかねー上に愛羽は熱でぶっ倒れて両方のリーダーが寝たきりか。踏んだり蹴ったりだな』
3人の採血が終わってから改めて豹那たちに現在の状況を説明するとすぐに話し合いが始まった。
『ふーん。妙な街の荒れ具合はやっぱりそいつが原因みたいね』
琉花は話を聞いて合点がいったという感じだ。
『どうしよう。とりあえずあたしたちも動こうか』
瞬の言葉で5人は立ち上がった。
『どう動く?』
『うーん、とりあえず湘南ナンバーのGSにKH、CBR。それに八洲さんたちを見つけないことにはどうにもならないからグーパーで二手に別れて探そうか』
5人が握り拳を出し合うと風雅が同じように手を出した。
『僕も行くよ』
『じゃあ、グーチョキパーで3つに別れよっか。せーの!』
樹と琉花、風雅と千歌、そしてなんと豹那と瞬というコンビになってしまった。
『おぉ!この組み合わせは!』
前にやり合った者同士がくっつく形となり、樹は1人テンションが上がっていた。
『お前とかー。よし、とりあえずおもしろそうだな』
『樹ちゃん。足、引っぱらないでね』
『はぁっ!?』
3組共タクシーに乗り、バラバラになってメンバーを探すことにした。
『あ、あの…』
6人が出発する前に燃が豹那たちに話しかけた。
『今日は本当に綺夜羅を助けに来てくれて、どうもありがとうございました!』
何よりもまずそのことにメンバーを代表して燃はお礼を言いたかったのだ。自分たちだけだったら綺夜羅の命は今頃どうなっていたか分からない。自分の大切な友達が死にかけているのに血も分けてあげられないツラさがみんなにあった。深々と頭を下げる燃に樹が言った。
『頭なんか下げんなよ。ここに来てる奴は全員自分の意思で来てんだ。あたしを含めて全員な』
燃は思わず涙が溢れてきてしまった。
この人たちも愛羽たちも、なんて強くカッコいいのだろう。
綺夜羅の為に自分が倒れるまで血液を提供してくれた愛羽。
見ず知らずの綺夜羅の為に電話1本で大阪まで駆けつけてくれた豹那たち。
そして今度は危険をかえりみずメンバーたちを探しに行こうとしてくれている。
燃が涙を拭うと瞬がその肩を叩いた。
『月下さんのこと、よろしくね。近くにいてくれる人って大事だから、君がまず気をしっかり持たなきゃ』
『はい…ありがとうございます』
燃は言われて必死に泣くのをこらえた。目の前にいるのが有名な暴走族の人たちとは彼女には思えなかった。
『豹那さん!よかった、みんな一緒だったんだ。こっち!ついてきて!』
蓮華は5人をすぐに綺夜羅の所へ案内した。豹那も樹も瞬も、これから自分の血を分け与える少女の眠り続ける姿を目にするとそれぞれ声をかけた。
『なかなか根性ありそうな面してんじゃねーか。誰をかばったって?』
『このあたしの血を使うんだ。光栄に思うんだね』
『月下さん…』
瞬が綺夜羅の手を取り何かを祈るようにした後5人は出ていき採血に向かった。
それと入れ替わるように、そこに別室で休んでいた愛羽がやってきた。
『愛羽!もう大丈夫なの?』
『うん。それより綺夜羅ちゃんは?』
そうは言ったが愛羽はだいぶ具合が悪そうだ。
『まだ眠ってる。でも聞いて、たった今豹那さんと樹さんと瞬さんたちが着いて、今輸血の為に採血してくれてるの』
『本当に?そっか、よかった…みんなは?』
蓮華の言葉に安心したのか、愛羽は力なくその場に座りこんでしまった。あまりにも顔色の悪い愛羽を見て風雅が額に手を当てた。
『愛羽、君すごい熱じゃないか』
風雅は愛羽を抱えた。
『寝てなきゃダメだよ』
そのまま部屋に戻り熱を計ると39℃あった。ツラいはずだ。
結局愛羽は点滴につながれ引き続き安静ということになってしまった。
『えーっと、するってーとなんだ?その狐だか狸だかを1人が今もどこ探してんだか帰ってこなくて、探してるはずのそいつが置きっぱなしにしてきたCBRをまんまと乗って現れて、1人が先走って追いかけて、その後を5人が追いかけてったまま連絡がまだねぇと。片やこっちは単車も1台しかねー上に愛羽は熱でぶっ倒れて両方のリーダーが寝たきりか。踏んだり蹴ったりだな』
3人の採血が終わってから改めて豹那たちに現在の状況を説明するとすぐに話し合いが始まった。
『ふーん。妙な街の荒れ具合はやっぱりそいつが原因みたいね』
琉花は話を聞いて合点がいったという感じだ。
『どうしよう。とりあえずあたしたちも動こうか』
瞬の言葉で5人は立ち上がった。
『どう動く?』
『うーん、とりあえず湘南ナンバーのGSにKH、CBR。それに八洲さんたちを見つけないことにはどうにもならないからグーパーで二手に別れて探そうか』
5人が握り拳を出し合うと風雅が同じように手を出した。
『僕も行くよ』
『じゃあ、グーチョキパーで3つに別れよっか。せーの!』
樹と琉花、風雅と千歌、そしてなんと豹那と瞬というコンビになってしまった。
『おぉ!この組み合わせは!』
前にやり合った者同士がくっつく形となり、樹は1人テンションが上がっていた。
『お前とかー。よし、とりあえずおもしろそうだな』
『樹ちゃん。足、引っぱらないでね』
『はぁっ!?』
3組共タクシーに乗り、バラバラになってメンバーを探すことにした。
『あ、あの…』
6人が出発する前に燃が豹那たちに話しかけた。
『今日は本当に綺夜羅を助けに来てくれて、どうもありがとうございました!』
何よりもまずそのことにメンバーを代表して燃はお礼を言いたかったのだ。自分たちだけだったら綺夜羅の命は今頃どうなっていたか分からない。自分の大切な友達が死にかけているのに血も分けてあげられないツラさがみんなにあった。深々と頭を下げる燃に樹が言った。
『頭なんか下げんなよ。ここに来てる奴は全員自分の意思で来てんだ。あたしを含めて全員な』
燃は思わず涙が溢れてきてしまった。
この人たちも愛羽たちも、なんて強くカッコいいのだろう。
綺夜羅の為に自分が倒れるまで血液を提供してくれた愛羽。
見ず知らずの綺夜羅の為に電話1本で大阪まで駆けつけてくれた豹那たち。
そして今度は危険をかえりみずメンバーたちを探しに行こうとしてくれている。
燃が涙を拭うと瞬がその肩を叩いた。
『月下さんのこと、よろしくね。近くにいてくれる人って大事だから、君がまず気をしっかり持たなきゃ』
『はい…ありがとうございます』
燃は言われて必死に泣くのをこらえた。目の前にいるのが有名な暴走族の人たちとは彼女には思えなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる