ツンデレ神官は一途な勇者に溺愛される

抹茶

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15.ルカの告白※

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 愛の告白をしにきた、というルカの冗談は半分正解だ。

 私の全てを知って、それでもいいと言ってもらえたらこの気持ちを打ち明けるつもりだった。
 こんなにも求められているのに、曖昧なままにしておけるはずもない。私も同じ気持ちなのだから、なおさらだ。

「もうひとつ、言いたいことがあって」

 想定していた形とは違うが、ルカは私を受け入れてくれた。今度は私が、彼の気持ちに応える番だ。

「私は、ルカ様をお慕いして……」
「待って。俺から言わせて」

 ルカが私の告白を遮る。
 この反応は予想外だった。ショックで目の前が真っ白になる。
 やはり心変わりしてしまったのか。私のような面倒な男は、嫌われたとしても無理はない。
 ルカを責めるのはお門違いかもしれないが、ここまでしてくれて、私の勘違いだったなんて言うのはかなりの悪党だと思う。
 

 悲しくなりつつも身を引こうとする私の前に、ルカがひとつの小箱を差し出した。手切金の代わりのつもりなら、必要ないのに。
 視線で開けろとアピールしてくるので、仕方なく受け取って蓋を開けた。

「これは……指輪?」

 指輪としか例えようがないが、その形はいびつで、特に装飾がしてあるわけでもない。金属片をただ延ばして丸めたようなつくりだ。

「うん。俺が作ったんだ」
「えっ、いつのまに……」
「さっき。だから、急ごしらえだけど」

 ルカが照れくさそうに頬をかく。

「武器屋の店主さんに頼んで、炉を貸してもらったんだ。相談したら、まだ武器を作るのは難しいけど、アクセサリーならどうかって」

 武器屋というのは、以前に買い物をした場所だろう。話しこんでいるとは思ったが、そんなに仲良くなっていたとは。
 熱っぽい視線に、私は目が離せなくなる。

「マイロが諦めなくてもいいって言ってくれたから、挑戦してみようと思ってさ」
「それは、鍛冶屋になるという……?」
「そうそう。まだ、これくらいしか作れないけどね」

 小箱の中にある指輪をルカがつまむ。皮が分厚く、いくつも剣だこのできた手はルカの生き方そのもので、とても頼もしく思えた。

 ルカは私の手を取り、左手の薬指に指輪をはめる。不恰好ながらも温かみを感じる指輪だった。

「俺はこれからもずっと、マイロが好きだ。どうか貰ってほしい」
「こんな大事なものを、私に?」

 私は左手を、胸の前で抱きしめる。右の手のひらでも、ひんやりとした金属の感触を確かめた。
 それを見て、ルカも柔らかく目を細める。頬も、ほんのり赤くなっている。

「加工しやすい金属を使ったから、安物だよ」
「値段なんて関係ありません。世界でひとつの、大切な宝物です」

 技術も材質も関係ない。装飾も、貴金属もなくたって、込められたルカの想いがなによりもも貴重な宝物だ。
 ただサイズが大きすぎて、油断すると指からすっぽ抜けそうだ。普段は大切にしまっておこう。

「いつか、ぴったりのものを作るから」
「はい。楽しみにしています」

 私はルカのそばに寄って、頬にキスをする。

「あなたのお側で、待たせてください。私も、あなたが好きです、ルカ様」
「マイロ!」

 ルカが勢いよく私を抱き上げた。あまりにあっさりと持ち上げられてしまうのでびっくりした。
 ルカはそのまま、興奮してその場でくるくる回る。感心半分、呆れ半分で、私も笑っていた。

「好きだ!」
「私も、好きです」
「ありがとう、うっ」

 涙ぐんで、鼻声になっている。大袈裟な人だ。
 広い背中に腕を回して、男泣きするルカをさすってやる。ルカが私にそうしてくれたように。


 しばらく振り回されたあと、私はベッドの上に降ろされた。ベッドに上がってきたルカと寄り添う。

 愛を確かめるように、お互いの身体に口付け合った。私がルカの逞しい首筋にキスをすると、ルカは私の髪に鼻先を埋めて何度も口付けた。
 ベッドの上で戯れるように触れ合えば、すぐに色っぽい雰囲気になってくる。

「ん……」
「……しても、いい?」
「はい。私も、したいです」

 ルカに肩を押されて、私は仰向けに倒れる。すかさずルカが覆い被さる。
 夢中で唇を合わせてくるルカの勢いに押されて、後頭部が枕に沈みこむ。私はほとんど動けないまま、口内をルカの熱い舌が貪る。
 薄く目を開けてみると、ルカはうっとりとした顔で口付けの心地よさに浸っていた。私もまぶたを下ろして、感覚をルカに集中させる。

 彼はとても覚えがいい。気持ちいいこともよく覚えていて、どんどん手管が上達している。すぐに私より器用になってしまうだろう。
 今までは私が全て導いていたのに、もう主導権を奪われてしまっている。
 それは恥ずかしいような、嬉しいような。


 長い口付けを交わしながら、ルカが私の服に手をかけた。まだスムーズとはいかない手つきが、逆に焦らすようで私の欲情を高めた。私も、ルカのシャツのボタンを外していく。

 お互いが裸になって触れ合うのは初めてだ。
 生まれたままの姿になると、より一層ルカは美しかった。逞しい筋肉の造形は、ひとつの武具のように無駄がない。艶のある黒い陰毛がしっとりと肌に張り付いているのが、なんとも艶かしくて欲情をそそった。
 欲情したルカの雄々しさを見ると、腹の奥が痛いくらいに震えた。
 そんな魅力的な男性が、私を燃えるような目で見つめているのだ。当てられないわけがない。
 私の身体はルカほど逞しくはないし、当たり前だが肉付きもよくない。それでもルカは、これが良いと言ってくれる。
 服の下に隠れて日焼けから逃れた生白い肌に、ルカの無骨な指がそっと触れる。

「マイロ、綺麗だ」
「ルカ様のほうが……」
「様はやめよう。もういらないだろ?」

 形だけは問いかける言い方だが、有無を言わせない迫力がある。
 逆らいがたい。むしろ腹を見せて恭順したくなる。

「はい、ルカ……ん」

 開いた唇を、乱暴に塞がれる。息もできないくらい濃厚な口付けだった。
 辛抱できず、私はルカに抱きつき、無意識に腰をかくかく振ってしまう。性器はすでに勃ちあがり、赤く腫れた先端からはとろとろと先走りを垂らしていた。

「マイロ、えっち」
「ん、やだ。言わないで」

 涙が滲んだ目でルカに訴える。
 ルカは自分を落ち着かせるように、熱い息をゆっくり吐いて深呼吸した。

「ごめん。つい意地悪しちゃうな」

 ルカが堪えるように握りしめた拳を包みこむように、手のひらを重ねた。

「……してもいいですよ、意地悪」
「え」
「ルカになら、なんでもしてほしい」

 定型の誘い文句ではなく、心の底から溢れた言葉だった。恥ずかしいことを言っているが、もう止められない。

「えっちなこと、いっぱいして」

 ルカが息を呑む。
 瞳孔が開き、胸が大きく上下した。

「……本当にするよ?」

 顔が暑くなるのを感じながら、私はしっかりと頷いた。
 そんなに何度も確かめないでほしい。恥ずかしくてたまらなくなる。
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