七つ話し~七竜の拾いもの~

佐々倉 桜

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晴れのち曇り所により雷

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 深川一家を拾って?1週間はたつのかな。真由子ママも真紀も七竜での仕事に慣れてきたようだし匡も早起きが普通になってきた。
 ちびっ子達は相変わらず元気そうでなりよりって感じだ。

 俺はみどりと深川一家の住所変更やら保険の手続きやらで走ったが、やっと全てが終わったのでほっとしている。そこで、せっかくだから深川家で歓迎会及び新築祝い?新居祝いか!をしようと計画中である。





甘味処七竜にて

「よし、ラストオーダーの時間だ。真紀、外の看板裏返してきて」

「はい!」

 夏休み真っ最中だから、普段来れない学生、帰省中の人、旅行に来たついでに来た人とこの時期は本当に忙しい。真由子と真紀がいて正直に助かったと思う。

 おや?最後の女子高生グループも帰るようだ。

「ありがとうございましたー」

「七梨さん、また食べに来ます、ごちそうさまでした!」

「おう!またおいで」

 キャーキャー!と女子高生グループは帰っていくが、また来るのはいいが「一緒に写メいいですか?」とかには困ったものだ…はぁ、 賑やかだね~あれが若さか…!?

 さて、俺も最後の一仕事だな。七竜では仕事の分担が別れている。
 みどりは事務仕事を兼任しながらホールを担当。事務の仕事は本当に早い、いつの間に終わったの!?と思うことが多々ある。
 マスターは主に調理、その為にパティシエの資格もとった男、いや元々才能が合ったのだろうと思う。
 薫は…ホールと会計担当。あの筋肉の持ち主だが信じられないくらい繊細な女?でOLさんに人気がある。薫目当てにくる客も居るくらい。それに、あの体型だから何かあっても誰も文句を言ってこないだろうしね!
 俺は、皆のまとめ役…店長ってとこだな。あとホールと七竜の掃除を担当している、後は食器の洗浄とかだね。

  真由子ママは主に食器洗いと会計を真紀にはホールと食器洗いを、2人増えるとかなりの大助かり!こんなにも違うの!?と思っていた。

「よし、真由子と真紀お前らは先に帰って良いぞ」

「え?」
「いいの?」

「ちびっ子も家で待ってるし、確か今日はこの時間から商店街で野菜が安い筈だから寄っていきな」

「本当ですか?」

「あぁ、後は店の掃除だけだしいいよ」

 子供がいるのだもの、大変だろうよ。

「それではすいません、七梨さん、皆さんお疲れ様でした、お先に失礼します」

「お疲れ様でした」

「おう、お疲れさん」



 それから、1人また1人と帰り店内には俺とみどりだけになった。

「お前は帰らんのか?」
「七梨さんこそ、私が気付いていないと思ってますか?」
「ぬ?やはり気が付いてたか…」

 店から離れたところにバイクが1台。ずっとこっちの様子を見ている。ふぅ~と適当な席に座り窓越しに手招きをしてみる。

「お茶淹れましょうか?」

「いらん」

バタッ! 

「失礼します!」

金髪のライダースーツの男。

 先日の「鬼」事件の時に襲われたっていう正義の同級生の兄え~と? 

「名前なんていったっけ?」

「はい!自分は若月 了わかつき りょうって言います!」

「リョウ君ね…」

「君だなんて、そんな!了って呼んでください!」

 ちょっと頭が痛いな。というか何だろう?その顔、殴られた痕かな?

「それで了君は七梨さんに何の用なの?」

「すいません!みどり姐さん!」

「ね、姐さん?」

「自分は七梨さんに命を助けられました!なので!自分も七梨さんに恩返しがしたいんす!是非!自分も七梨さんの仲間に入れてください!」

「所でその顔はどうしたんだ?」

「これっすか?これは自分チームに入っていまして、脱退してきたんす!」

 脱退リンチか…バカくせぇ、ただの暴力じゃねぇか、だったら初めから入るなよ!って俺は思う。

「ただヤられるのが癪で全員返り討ちにしてしまいました!」

ぬ?爽やかにとんでもないこと言ってきたな。

「お願いします!俺をチーム七竜に入れてください!」

了は土下座しだした。困ったちゃんだな。

「お願いします!お願いします!お願いします!お願いします!」

ガチャ!

 話を遮って今度はスーツの男が入ってきた。千客万来は開店中だけにしてもらいたい。

「失礼します」

「すいません、既に営業は終了してましてまたのお越しをお待ちしております」

 みどりが対応している間に俺は土下座している了を起こす。こんなところを見られたくはないし…。

「七梨さん」

「なんだよ?みどり」

「こちらの方がどうしても話したいそうなんです」

「また仲間志願か?」

「いえ、深川さん達の事らしいです」

「は?」

 見ると所々シワだらけで無精髭、中肉中背の男だが、何処と無く匡に目元が似ている感じがする。なんだろう、真面目な話になりそうだがコイツ了君が邪魔だな。

「了君」

「はい!七梨さん!」

「10分待つから、俺にコーラ買ってきて」

「了解しました!」

 了君はダッシュで店を出ていく。さて、これで話に集中出来るな。


「さて、なんの用だい?」

スーツの男は静かに頭を下げる。

「お願いします」

この光景はさっきも見たな。

「家族を返してください!」


は?

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