EL DORADOの騎士~異世界物語り~

佐々倉 桜

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第1章 ~ノワール国~

【七梨side】

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  俺は何をやっているのだろ…。に来てしまったのは受け入れるとしても…この歳になって無一文とは…。

 確か甘味処~七竜~の店長をしてた筈なんだけど…はぁ~…金が無いってのは辛い…。


「やーーーーーー!」

 爆乳少女のエルザだったか1番手の彼女が手にしている木剣を俺に向けて突進してくる。
 あどけなく一生懸命な彼女の攻撃だが訳にもいかず…何より当たれば痛いし…くいっと半身だけ反らして避ける。
 ついでに相手の突進力を利用して足を引っ掻ける。

「きゃっ!?」

 受け身が遅れたのかとれないのかは知らないが…べちゃっと倒れる。

「あ~ん!痛い~~!!」

 頭が痛いな…ここに居る【ヴァルキリー隊】と呼ばれる20人の女子を鍛えるのが仕事と言われたけども…。

「突進力はあるけど攻め手が弱い。」

 ふぅ剣を握るのは久々だ。現代では御法度だしを使う事の方が多いし。 

「次、行きます!ヤーー!」

 これもまた幼いかけ声と共に木剣の先端が伸びてくる。ぬ!顔面突きか?でも遅い…顔面に伸びてくる木剣の先端をひょいっと首だけ動かして交わす。
 彼女はそのままの態勢で俺に体当たりする形になった。

「あぅ!?」

「おっと」

 体重差がある為ぶつかった衝撃で後ろへ彼女の体が傾く。転倒を防ぐため俺は咄嗟に彼女の背中へと手を回した。
 この女性というか【ヴァルキリー隊】の装備はエリカ王女様の意向で軽装である。薄着…つまり露出が多い。
 剥き出しの背中に直接手が触れる。

「ひゃぅ!?」

「ふぅ、大丈夫かい?」

 みるみる彼女の顔が赤くなっていく…微動だにしないし…このまま爆発するんじゃないかと不安になった。

「おい、どうした?何処か痛めたか?」

「ひゃっ!?あ!あの!!すいません!!だ、男性に抱かれるのは初めてで…その……。」

 イヤイヤ、抱いちゃいねぇ…支えただけだ…。ん?ちょっとまて今と言ったか!?なんか闇を感じるのは俺だけか…?

「ま、まぁとにかく怪我とかはないな…。」

「はい、大丈夫…です。」

 顔が真っ赤…あんなのでのなら彼女は今後幾つもの男や魔物にことになるのだろうか…。

 そそくさと一礼して彼女は下がっていく。

「なら、次はアタイが!!」

 やれやれ、今度は短髪黒髪で大剣を背にした大柄の女性が向かってきた。
 175の俺より背が高い…190?2メートルは有るのか?腕回りも俺よりあるし筋肉がすげえなぁ。ガ○ツか!?なんだか仲間のを連想する。
 まぁ薫は220だしアイツは筋肉の集大成みたいなものだしな。
 
「アタイはヴァルキリー隊特攻隊長のアイガ!お前が本当に強いか見せてもらうじゃないか!!」

 ぬ、大見得をきられて名乗られたな。これは返すのが礼儀か?
 彼女は背中の大剣ではなく通常の木剣を向けてくる。
 そう言えば、出会い頭に剣を向けてきた時も背中の大剣ではなかったな。何故初めからその大剣を構えないのか疑問を問いかける。

 アイガと名のる筋肉…いや女性はふっと一笑。

「狭い所でこんな大剣を振り回す馬鹿がいるかよ。」

 うん、ごもっとも。

「それに、あんたからは微塵も殺気が感じなかった。それが理由だ。」

 ほぅ、感心感心。ちゃんと見てるしようだ。
 改めてアイガは俺に木剣を構え直す。

「ぬ」

「あ?どうかしたか?」

 これは驚いた。隙が無い。【ヴァルキリー隊】の中でもこのアイガは格が違う。小学生と高校生くらいに違う。
 なかなかの場数を踏んできたのだろうな。
 ほぅほぅと感心していると「こっちからいくぜ!!」
 アイガが走り出して一閃。
 下から上にかけて俺の木剣を振り払う。やはり他の子とは違う

「ほぅら!胴体がガラ空きだぜ!!」

 どうする?一度けどなぁ痛いのは嫌だなぁ~どうす…。

「……………ぼほっ!?」

 脇腹に響く思わず地面に片膝をついて脇腹を押さえる。激痛…痛いし…重い…!!これはきっと内出血で黒くなるな。
 まったく考えすぎた…実戦なら胴体から真っ二つじゃないか!
 あの腕力から考えて、あの大剣だろ…3~40cmの丸太ならスパッといくんじゃないか。

「なんだい、か弱いねぇ!そんな程度でアタイ達に剣を教えるって?冗談にも程ってものがあるよ!」

 …言ってくれるなぁ。ここはちょっとでも言い返すかと顔を上げる。

「ごほっ!ごほっ!いいか、ごほっ!俺はごほっ!ごほっ!ごふっ!あー、ごほっげっほげぇほ!待って気管に…ごほっ!唾が…げっほ!げぇほ!」

「情けないねぇ男の癖に!」

 わはは!と笑われている。笑っている。笑ってくれている。

 ちょっとイラっとしてきたな。

「ごほっ…ふぅーー…やっと落ち着いた。」

 立ち上がって大きく深呼吸。

「まだ、続ける気かい?よしといた方が身のためだよ?」

 むっ!

「だまらっしゃい!このままだと今日の日当もままならないだろ!」

「はぁ?何だって?」

 …給料泥棒とは言わせんぞ!

「おい、軽く本気だしてやる前に1つだけ忠告というか助言というかアドバイスだ…全部同じ意味だ!」

「そんなでアタイに助言だと?寝言は寝てから言いなよ。優男。」

 そうさ俺は優しいさ!だから教えるのさ!!

「お前は視野が狭い。」

 木剣を腰に姿勢は低く…余計な力は入れず…目は相手を見据える。

「鏡花口伝剣術改め…七竜式闘剣術。」

「ほぅ、噂に聞くかい!来いよ!どんな剣だろうアタイが受け止めてやるよ!!」

 うすら笑いしてくれて…。

 とっ…。

 最初の踏み込みで相手の間合いに入る。

「っ!?」

 本来ならだけど手加減しないとね。

 相手を中心に円形上に動き一手目二手目はわざと受けさせる。本番はここから三手目から速度を一気に加速させて、そこから派生する連続の斬撃。

 唐竹

 袈裟斬り

 逆袈裟

 右薙ぎ

 左薙ぎ

 逆風

 切れる位置切れる角度になると迷わず切る。

剣戟乱舞ソード・ダンス

「なっ!?なにぃ!?」

 三手目からカウントし十手目まで全て当てる。やはりこのアイガは視野が狭い。
 最後の一撃は1度剣を鞘に戻し居合いで切り飛ばすのだけどアイガの目の前で木剣を止める。

「目の前に集中し過ぎ。一撃必殺はいい心がけだけど…せめて二手三手先を頭に入れておきな…。」

「………。」

 ぬ?飛んだか?数発ほど良いのが入ったものな。

「…加減はしたし木剣だけど女の子を切るのは気が引ける。」

「………。」(だと!?)

 ガタン!と音をたてて両膝から崩れるアイガ。気を失った様だけど手から木剣は放さないのは見事だと思う。

「ふぅ、愉快だねぇ…。」

 残りの【ヴァルキリー隊】が怪訝な顔になっていく、まぁこればかりは仕方ない。俺は【めんどくさい】という言葉は使いたくないから【愉快】に置き換えている。仲間達はその事を理解しているけど知らない人はやはりいい気はしないだろうね……知らんけど。

「もう皆一気に来い!全員同時に相手してやる。」

 早くゆっくりしたいから一人一人を相手にしていたら時間がかかってしまう。
 それにからそれを確認できたらいい。

「おい小僧。」

 ぬ?俺のことか?振り向く。居ない……視線を落とす。居た。俺の腰くらいの身長でモッサモッサしている髭のおっさん?確か【ドワーフ】とかなんとか?もう一度言う。髭がモッサモッサしている。
 ただ、モッサモッサしているおっさんを後ろから抱き締めてる褐色肌の超絶美女に目が行ってしまう。彼女はたしか【ダークエルフ】とか言ったか?【魔族】や【モンスター】とか【この世界】は何でもありだな。

「小僧よ、お前の強さは本物のようだな。」

「ぬ?本物の強さってのはまだ解らんけどね。その辺の奴らには負けんよ。」

「若いときに【勇者様】と一緒に旅した俺が言うんだからな。小僧お前ものか?」

 なんじゃそりゃ!?

「違うのか?【勇者様】達は揃って光に包まれてこの【エルドラド】へとたどり着いたと聞いたがな。」

「俺は落ちてきただけなんだが…。」

「ならスキルってのはあるのか?あと小僧専用の【神騎】は何処にあるんだ?ノワールには【神騎】が無いからな強大な戦力になるってもんだぜぃ。」

「すきる?」

 ん?スキル…特技ってことか?というか。

「なんだ?そのってのは?」


「「「「え?」」」」


 なんだ皆して声を揃えやがって。

「【神騎】を知らないのかい?ボウヤ。」

 美人エルフがポカンとしている。

「ふん可笑しな話だな。」

 モッサモッサの髭を触りながらおっさん…もといオヤジさんと呼ばれた人…ん?人って呼んでいいのか?まぁいいか。モッサモッサの人は首をかしげる。

「あ、あの~…。」

 ぬ?童顔爆乳少女が手を挙げている。名前は…。

「ゴルザ!」
「エルザです!!!」
「(ぬ~…)…ごめん。」

 数分で人の名前を忘れるのは気を付けないとならんな…。俺のも垂れ下がる。

「ふふっ変わった人ですね。」

 ぬ!?

「謝ったのに変わった人と言われると傷つくな…。」

「あぁ!すいません!そんなつもりじゃ無かったんです。」

 目の前で両手を左右に振るのと同時に目の前で左右に揺れてるのが2つ…。

「貴方の様な強い人がのが不思議で…。」

「ぬ?悪いなと思ったら謝るのが普通じゃないのか?」

「私の知ってる男の人は…なんといいますか…我が強いといいますか…。」

 …あぁ、なんとなく言いたいことは解った。

「ぬ~…で?話かい?」

「はい、あの~…シチリさん?でいいでしょうか?」

「おう、目の前の俺はシチリさんだ。」

「はい。シチリさん。で、ですね。あのシチリさんはこの辺では見ない服を着てますよね?あと【神騎やスキル】についても知らないし…それに【落ちてきた】とは?」

 あぁ、そう言えば俺が【この世界】に落ちてきた事は言うなと言われてたっけか。

 ぬー…困ったな。

「この小僧は【勇者様】達と同じで【異世界】から来たのよ!」

 おい!おっさん!!

「えっ!?」

「「「えっーーーーーー!?」」」

 再び響く絶叫に耳を塞ぐ。
 …うるせぇ…。
 
「あら旦那様、その事については箝口令がでてなかったかしら?」

「あ?おぉ!そう言えばそうだったな。こいつぁうっかりだ!がはは!」

「もぅ、お茶目さんなんだから!そんなとこも素敵よ!ん~~」

 …おっさんの頬にキスしてる…ラブラブしてんなぁ~。

「おい、そこのバカップルよ!(というかバカ2人よ!)」

「なんだ小僧。」
「なによ。」

「さっさと帰って箝口令という言葉の意味を調べてろ、俺はこれからヴァルキリー隊コイツらの相手をするから…。」

 さっさと帰れ!!

「ん~…そうだな!そろそろ暗くなるし、小僧に【勇者の剣】も渡したしもう用は無いな。おい今度は俺の店に来な!詳しく話を聞こうじゃないか!」

 大雑把な感じたが物分かりはいいのかな?

「気が向いたら寄らせてもらうよ。」

「おう!じゃあな!」

 入り口に向かってずんずん歩き出す。…あの人どんだけ歩くの遅いんだよ。

「旦那様、ちょい待ち」

 トワさん(だったけ?)が自分の帽子に着いている鳥の羽を目の前のオヤジさんの胸の辺りの服に刺す。

 (…鳥の羽…小学校の募金を思い出す。)

「…地の鎖を解き放て…飛べフリーゲン

 彼女の一言でオヤジさんの身体は宙に浮く。

 ぬ!?浮かんだ!?

 「これでよし!」

 トワさんは浮いてる?オヤジさんの手を繋いで歩き出す。浮かんで引っ張られるオヤジさんは風船の様だ。

「おぉ、すまねぇな。あばよ!小僧!」

 すげぇ、なんだあれ!浮いてるよな!あの人!え!?ワイヤーとか?まさか!?

「あ、あのぅシチリさん?」

「ぬっ!?」

「本当に【伝説の勇者】様なのですか?」

 正直言って【伝説の勇者】のでの字も解らんのだけれども…。

「ここの世界に落ちてきたのは本当だよ。」

 もう話すしかないかな…けど俺自身理解してないから話すもなにも説明も出来ないしなぁ。

「まぁ、あれだ…俺については箝口令ってのが出てるから周りに話さないようにな。」

 壁に掛けてある木剣を手にして二刀流の形に。

「そんなことより何より…全員構えな。今回は寸止め無しで当てていくからな。」

「え?」

「遅いわー!!」

 ヴァルキリー隊に斬り込んで行く。


  …数分後、床に息をきらしてへたりこんでる女子に木剣を持って立っている俺。

 …客観的に見ると危ない。

「はい、今日はここまでな。」

「あ、ありがとう…ござ…ました……。」

 よし!終わった!風呂だ!ベットだ!飯だ!!

 ……その時の俺は完全に浮かれていた。完全サバイバルをしていたから多少のことでも耐えられた。
 余り物のご飯(低カロリー)、大丈夫構わない!最後の入浴(掃除付)これも大丈夫!それでもサッパリする…ただ…。

 俺に用意されたベットは…。

「おい、この際大きさはどうでもいいけど…なんで広間なんだ?」

 大きな広間にポツンと1つのベット……いじめか!?

「男は危険だから!そこで我慢して!!」

 ぬ~…ここは俺が折れるしかないだろうな…。

 仕方ない、久々にベットで寝れるのだから。今まで野宿みたいなものだったからな…体が休まらないよ。特に馬小屋が酷かったな、漫画やアニメでたまに休む描写があるけども…実際獣臭で眠れん。 
 …やれやれに来て1週間はなるのかな?日にちの感覚が完全に狂ってる。
 縁あってこの国の姫さんー…あっ【姫】というと嫌な顔をするから【王女】と呼べと言われたけど…同じ意味合いじゃね?と思うのは俺だけだろうか。
 まぁともかく【この世界】に来てから一週間は過ぎた。一週間も過ぎたのだが…どうしたら元の世界に戻れるのか皆目検討もつかない。
 なのでもう、なるようになればよいと思うことにした!だってしょうがないじゃないか…はぁ…兎に角もう寝ようかな。

 バフッと音を立てながらベットに倒れるとふかふかな布団の感触がいい。流石は女の園生活環境が充実している。こんなに寝心地がよいベットはいつ以来か…。
 なんだかんだで、ここ【楽園エデン】という所で世話になることになったが。

 ジーーーーーーーーーー。
 ジーーーーーーーーーー。
 ジーーーーーーーーーー。

 めっちゃ見られてる…。

 彼女達はここ【楽園エデン】で生活をしている…なんと言ったか…そうだ!ヴァルキリー隊だ。ここノワール国のエリカ王女専属の20人による部隊。
 めっちゃ見てくるけど俺余程警戒されてるな。
 ふぅ…ここで生活していくのかぁ…と思いながら意識が遠退いてい…。

 「キャーーーーーーー!」 

 ……かなかった。

「!?!?」

 痛烈な悲鳴で目が覚める。

「なんだ?」 
 
 ベットから跳ね起き上着と貰った日本刀を手に部屋を飛び出る。

「どこからの悲鳴だ!?」
 
 ここは異世界、剣と魔法と魔物の世界。

 一瞬の油断が命取り!
 
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