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1章.はちゃめちゃ人生ゲームの始まり
続く異変とルーレット
それは確かに、花梨が遊んだ人生ゲームのルーレットで間違いなかった。ただ、最後に見たときの光はすっかり消えて、今は普通のルーレットのように見える。
「何でここに、これがあるの?」
狐につままれたかのようとは、こういうことを言うのか。何となく信じられない気持ちで、そぉっとルーレットを足でつついてみる。───異変、なし。
そのことに完全に安心してしまった。恐らくそれが花梨にとって、この世界に着いてからの最大の過ちと言えるだろう。
何気なく屈んでルーレットを拾い上げた瞬間だった。
またルーレットが光を放った。目の前が一瞬真っ白になり、反射的に花梨は強く目を閉じる。
今度は光が収まるのも一瞬だった。チカチカする目を開け、微妙に焦点の合わないまま周囲を見渡す。
「あれ?」
思わず花梨は呟いた。また知らない場所に移動しているのだと漠然と思っていたが、そこはさっきと全く同じ景色のままだった。
いや、ここも知らない場所に違いはないんだけどね、と心の中で訂正しつつ、ふと違和感を覚えて花梨は視線を落とし───目を見開く。
手の中のルーレットがなくなっていた。
落としたのかと思って足下を見るが、どこにもそれらしきものは転がっていない。すっかり、跡形もなく消えてしまっていた。
「い、意味わかんない……」
この世界に来てから驚くことばかりだ。ここまで来れば、もう並大抵のことでは動じない。そう思いつつもう一度自分の手に目をやったところで、花梨は自身の予想を裏切ってまた驚愕することになる。
───左手首の内側が、淡く光っていた。そしてそこから、ホログラムのようにしてあのルーレットがぼんやりと浮かび上がっている。
「何よ、これ……」
右手でそっと左手首に触れてみたが、光っていること以外はおかしいところなどどこにもない。次に、ホログラムのようなルーレットに指を触れた。……触れた!?
「え、触れちゃうの、これ」
言いながら花梨はルーレットをペタペタと触った。確かな感触がある。試しに親指と人差し指で回してみると、カラカラカラ……と軽い音とともに回転した。普通のルーレットのように。
「何これ何これ、どーなってるの?」
ぶつぶつ呟きながらルーレットを回す花梨の横を、不思議そうに人外の者たちが通り過ぎていく。当たり前だ。道から外れたとは言え、こんなところでひとりで喋っていたら変人以外の何者でもない。
ハッと気が付いた花梨は、慌てて腕を胸に抱き込んで隠した。幸いシャツの袖を捲って着ていただけだったので、いそいそとその袖を伸ばす。
すると、ホログラムのように浮かび上がっていたルーレットはふっと消えた。驚いて袖をまた捲り上げると、再びルーレットが浮かび上がる。本当に、どんな仕組みをしているのか。
もう一度袖を下ろしながら、花梨は足を踏み出した。まったく先の見通しが立たないので、とりあえず最初に立っていた場所に戻ろうと思ったのだ。
そして花梨の足が再度石造りの道を踏んだとき、今度はその道に異変が起きた。
何の変哲もないグレーの石が、明るい黄色に姿を変えたのだ。思わずギョッとして左右を確認すると、先の方はピンクになっている。さらにその先は水色。次は黄緑。そしてまた黄色、ピンク……。
そう、まるで人生ゲームのマスのように、道がカラフルに塗り分けられていた。
「何でここに、これがあるの?」
狐につままれたかのようとは、こういうことを言うのか。何となく信じられない気持ちで、そぉっとルーレットを足でつついてみる。───異変、なし。
そのことに完全に安心してしまった。恐らくそれが花梨にとって、この世界に着いてからの最大の過ちと言えるだろう。
何気なく屈んでルーレットを拾い上げた瞬間だった。
またルーレットが光を放った。目の前が一瞬真っ白になり、反射的に花梨は強く目を閉じる。
今度は光が収まるのも一瞬だった。チカチカする目を開け、微妙に焦点の合わないまま周囲を見渡す。
「あれ?」
思わず花梨は呟いた。また知らない場所に移動しているのだと漠然と思っていたが、そこはさっきと全く同じ景色のままだった。
いや、ここも知らない場所に違いはないんだけどね、と心の中で訂正しつつ、ふと違和感を覚えて花梨は視線を落とし───目を見開く。
手の中のルーレットがなくなっていた。
落としたのかと思って足下を見るが、どこにもそれらしきものは転がっていない。すっかり、跡形もなく消えてしまっていた。
「い、意味わかんない……」
この世界に来てから驚くことばかりだ。ここまで来れば、もう並大抵のことでは動じない。そう思いつつもう一度自分の手に目をやったところで、花梨は自身の予想を裏切ってまた驚愕することになる。
───左手首の内側が、淡く光っていた。そしてそこから、ホログラムのようにしてあのルーレットがぼんやりと浮かび上がっている。
「何よ、これ……」
右手でそっと左手首に触れてみたが、光っていること以外はおかしいところなどどこにもない。次に、ホログラムのようなルーレットに指を触れた。……触れた!?
「え、触れちゃうの、これ」
言いながら花梨はルーレットをペタペタと触った。確かな感触がある。試しに親指と人差し指で回してみると、カラカラカラ……と軽い音とともに回転した。普通のルーレットのように。
「何これ何これ、どーなってるの?」
ぶつぶつ呟きながらルーレットを回す花梨の横を、不思議そうに人外の者たちが通り過ぎていく。当たり前だ。道から外れたとは言え、こんなところでひとりで喋っていたら変人以外の何者でもない。
ハッと気が付いた花梨は、慌てて腕を胸に抱き込んで隠した。幸いシャツの袖を捲って着ていただけだったので、いそいそとその袖を伸ばす。
すると、ホログラムのように浮かび上がっていたルーレットはふっと消えた。驚いて袖をまた捲り上げると、再びルーレットが浮かび上がる。本当に、どんな仕組みをしているのか。
もう一度袖を下ろしながら、花梨は足を踏み出した。まったく先の見通しが立たないので、とりあえず最初に立っていた場所に戻ろうと思ったのだ。
そして花梨の足が再度石造りの道を踏んだとき、今度はその道に異変が起きた。
何の変哲もないグレーの石が、明るい黄色に姿を変えたのだ。思わずギョッとして左右を確認すると、先の方はピンクになっている。さらにその先は水色。次は黄緑。そしてまた黄色、ピンク……。
そう、まるで人生ゲームのマスのように、道がカラフルに塗り分けられていた。
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