魔法の環

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パーティーリーダー

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 シルヴェニア王国国立高校の教員には、一人一人専用の個室が与えられる。授業以外のその他の業務は、専用の個室か職員室で行う。

 テスラは職員室で業務をやることにしていた。そのため、個人の部屋は着任した時のまま、備え付けの椅子が二つと机があるのみだ。

「茶も出せなくて悪いな。適当にかけてくれ」

 テスラと彼を訪ねてきたジークは、椅子へと腰掛けた。

「で、話ってなんだ?」

 テスラはニヤけて彼に訪問の理由を尋ねた。

"とぼけるな。俺をパーティリーダーにした話だ"

 ジークは鋭くテスラを睨む。

「怒るなよ。というかしょうがないだろー。出来そうなやつなんて限られてるし。五月にやる課外演習は、パーティで魔物討伐だから、元冒険者のお前はリーダーに最適なんだよ」

"普通ならな"

 ジークの目からは力が失われる。諦念が頭をよぎるとともに、彼は余計に腹が立ってきた。

「自信がないのか?」

"気持ちの問題じゃない。俺は声が出せないんだ。戦闘を仕切れるはずがないだろ"

「フェアちゃんがいるじゃん」

「そうです!」

 自分の名前が出るが早いか、フェアはジークの制服のポケットから飛び出した。

『学校では出て来るなって言っただろ』

「なんで出てはダメなのですか」

『目立つから』

「確かにそうかもしれませんが、わたしがいれば円滑に進むこともあるでしょう」

「それはそうだぞ、ジーク。だから、パーティリーダーの件頼むよ」

"この際だから言っとくけどな、俺は表立って学園生活を送る気はないんだ。ただ楽に卒業できればそれでいい"

「なら、なおさらパーティリーダーをした方がいいぞ」

 ジークはまたいつものようにテスラの冗談かと訝しんだ。しかし、彼の表情は真剣だった。

「フレックス科の成績を決める課題はチームでやることが多い。今はバランスを見て、俺たちがチームを決めてるが、二年からはチームを組むのも自分たちで決めれる。お前がチームリーダーとして結果を残せば、来年チームを組むときに優秀なやつと組める可能性が高くなる。そうすれば、お前の楽に卒業って目的は叶うんじゃないか?」

 テスラの言い分はもっともで、自分にとってもメリットがあると判断したジークだが、億劫であることには変わりはなく、なんとも言えない感情となった。
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みんなの感想(1件)

yamato
2021.05.18 yamato

プリン好きは以外

解除

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