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ヴェルト
モンスター討伐へ
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ここはモンスター討伐などの依頼を斡旋する場所。通称「ギルド」だ。
酒場や入浴施設などの役目も果たしている為、ここはいつも活気で溢れている。
今日も多くの冒険者達で賑わっていた。
そのような中、濃い緑のローブに身を包んだカイラはモンスター討伐依頼が張り出された看板を眺めていた。
「カイラ君!」
カイラは呼びかけに振り向く。
「ヴェルトさん」
ヴェルトの背がかなり高いので、人混みの中からでも彼の姿をすぐ見つけられた。
剣士らしい軽装に身を包み、良く手入れされた2本の剣を腰から提げている。
2日前……ヴェルトに貞操帯の事が知られてから2人で話し合い、モンスター討伐などの依頼を受けながらインキュバスの情報を探す事となった。
いつまでも呪われたままにもいかないのだが……今のところ全く進展がない。
呪いのせいで精液が倍の速さで生成される為、たった2日しか経っていないのに性器が疼き始めている。
(だけど、頻繁にヴェルトさんの手を煩わせるのは申し訳ないよね……せめて5日に1回、かな……頑張って我慢しないと)
「ちょうど良さそうな討伐があったよ」
ヴェルトは持っていたチラシをカイラに見せた。
そこには『人喰いグモ』の絵と討伐に関する報酬うんぬんが書かれている。
人喰いグモ……その名の通り人間すらも襲う肉食のクモで、体長は約1メートルとクモにしては規格外のサイズ。
肉食であるという事以外に特に特徴も無いので、初心者から中堅辺りまでの冒険者に討伐依頼を回される事が多い。
「良いですね。場所も近いし……すぐに向かいましょう」
***
ここはカイラとヴェルトが住む都市『レザー』の近郊。
雲ひとつない快晴が、青々とした草原を包み込む。
「ここに人喰いクモが現れたという話でしたね」
カイラは辺りを見回す。
遠くの方に蠢く黒い影をいくつか見つけたカイラは、ヴェルトに呼びかける。
「見つけました! 数は……ええと、5体です」
「よし。カイラ君はここにいて、僕の援護を頼むよ」
2本の剣を両手に構え駆けるヴェルトの背に「はい!」と返事をしたカイラは、背負っていた杖を構える。
この杖は冒険者になると同時に購入した物であり、まだ新品のようにピカピカだ。
血を思わせる8つの単眼で、人喰いグモがヴェルトの姿を捕らえる。
獲物が、来た。
太く逞しい漆黒の足を上げて威嚇し、寒気を感じさせるような咆哮を上げる。
ヴェルトは怯む事なくクモの懐に潜り込み、奴の体を斬り刻んだ。
緑色の体液が溢れ出し、ヴェルトの美しい銀髪を濡らす。
カイラは杖の先を1体の人喰いグモに向け、「『アイス』」と唱えた。
すると人喰いグモがたちまち氷漬けになり、まるでガラス細工のように粉々に砕け散った。
その間にヴェルトは2体の人喰いグモを切り伏せ、最後の1体と対峙していた。
この人喰いグモだけ他の個体と比べ体が大きく、倒すのに苦労しているようだ。
カイラはヴェルトに向けて杖を振るい「『ファイヤ・エンチャント』」と唱える。
ヴェルトが手にしている2本の剣が鮮やかに燃える炎を纏った。
2つの赤い軌跡が人喰いグモの体を斬り裂く。
途端にクモは燃え上がった。
辺りにトウモロコシを焼いているかのような香ばしい臭いが漂う。
火だるまと化した人喰いグモは、のたうち回った後ピクリとも動かなくなった。
「腕を上げたね、カイラ君」
流麗な動きで剣に付着した緑の体液を落とし鞘に収めたヴェルトは微笑む。
「えっ、本当ですか!」
「うん。特に援護魔法の使い方が上手くなっている」
冒険者の先輩であるヴェルトに褒められたカイラは、心の底から嬉しくなりつい笑みを溢してしまう。
「ありがとうございます!」
「さて、討伐も終わったし、戻ろうか」
「はい!」
カイラは嬉々とした様子でヴェルトの後を追った。
酒場や入浴施設などの役目も果たしている為、ここはいつも活気で溢れている。
今日も多くの冒険者達で賑わっていた。
そのような中、濃い緑のローブに身を包んだカイラはモンスター討伐依頼が張り出された看板を眺めていた。
「カイラ君!」
カイラは呼びかけに振り向く。
「ヴェルトさん」
ヴェルトの背がかなり高いので、人混みの中からでも彼の姿をすぐ見つけられた。
剣士らしい軽装に身を包み、良く手入れされた2本の剣を腰から提げている。
2日前……ヴェルトに貞操帯の事が知られてから2人で話し合い、モンスター討伐などの依頼を受けながらインキュバスの情報を探す事となった。
いつまでも呪われたままにもいかないのだが……今のところ全く進展がない。
呪いのせいで精液が倍の速さで生成される為、たった2日しか経っていないのに性器が疼き始めている。
(だけど、頻繁にヴェルトさんの手を煩わせるのは申し訳ないよね……せめて5日に1回、かな……頑張って我慢しないと)
「ちょうど良さそうな討伐があったよ」
ヴェルトは持っていたチラシをカイラに見せた。
そこには『人喰いグモ』の絵と討伐に関する報酬うんぬんが書かれている。
人喰いグモ……その名の通り人間すらも襲う肉食のクモで、体長は約1メートルとクモにしては規格外のサイズ。
肉食であるという事以外に特に特徴も無いので、初心者から中堅辺りまでの冒険者に討伐依頼を回される事が多い。
「良いですね。場所も近いし……すぐに向かいましょう」
***
ここはカイラとヴェルトが住む都市『レザー』の近郊。
雲ひとつない快晴が、青々とした草原を包み込む。
「ここに人喰いクモが現れたという話でしたね」
カイラは辺りを見回す。
遠くの方に蠢く黒い影をいくつか見つけたカイラは、ヴェルトに呼びかける。
「見つけました! 数は……ええと、5体です」
「よし。カイラ君はここにいて、僕の援護を頼むよ」
2本の剣を両手に構え駆けるヴェルトの背に「はい!」と返事をしたカイラは、背負っていた杖を構える。
この杖は冒険者になると同時に購入した物であり、まだ新品のようにピカピカだ。
血を思わせる8つの単眼で、人喰いグモがヴェルトの姿を捕らえる。
獲物が、来た。
太く逞しい漆黒の足を上げて威嚇し、寒気を感じさせるような咆哮を上げる。
ヴェルトは怯む事なくクモの懐に潜り込み、奴の体を斬り刻んだ。
緑色の体液が溢れ出し、ヴェルトの美しい銀髪を濡らす。
カイラは杖の先を1体の人喰いグモに向け、「『アイス』」と唱えた。
すると人喰いグモがたちまち氷漬けになり、まるでガラス細工のように粉々に砕け散った。
その間にヴェルトは2体の人喰いグモを切り伏せ、最後の1体と対峙していた。
この人喰いグモだけ他の個体と比べ体が大きく、倒すのに苦労しているようだ。
カイラはヴェルトに向けて杖を振るい「『ファイヤ・エンチャント』」と唱える。
ヴェルトが手にしている2本の剣が鮮やかに燃える炎を纏った。
2つの赤い軌跡が人喰いグモの体を斬り裂く。
途端にクモは燃え上がった。
辺りにトウモロコシを焼いているかのような香ばしい臭いが漂う。
火だるまと化した人喰いグモは、のたうち回った後ピクリとも動かなくなった。
「腕を上げたね、カイラ君」
流麗な動きで剣に付着した緑の体液を落とし鞘に収めたヴェルトは微笑む。
「えっ、本当ですか!」
「うん。特に援護魔法の使い方が上手くなっている」
冒険者の先輩であるヴェルトに褒められたカイラは、心の底から嬉しくなりつい笑みを溢してしまう。
「ありがとうございます!」
「さて、討伐も終わったし、戻ろうか」
「はい!」
カイラは嬉々とした様子でヴェルトの後を追った。
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