魔導士カイラは許されない〜インキュバスの呪いで貞操帯をかけられた少年〜

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カイラの特訓とハルキオンの別宅

望まない行為

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 ミキがいなくなった後、ヴェルトとハルキオンの体を拘束していた魔法が解かれた。

「ッ!」

 途端にヴェルトは双剣を鞘から抜き、未だに唯一の出入り口を塞いでいる魔法に斬りかかった。しかし、斬撃は魔法をすり抜けてしまい、全く手応えを感じられない。

 ハルキオンは護身用として持っていた拳銃を懐から取り出し銃弾を3発撃ち込んだ。しかし銃弾も効かないらしく、すり抜けてしまう。

「……私達では解けないみたいですね」

 諦観に満ちた声でハルキオンは呟いた。

「……あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ……!!」

 ヴェルトは実に忌々しげにその場に座り込んで頭を抱えて叫んだ。

 肺の中の空気を全て吐き出した頃。ヴェルトはゆらりと立ち上がり、ハルキオンの腕を強く掴みベッドの前へ連れてゆく。

「えっえっえっえっ」

 ヴェルトは困惑するハルキオンに向き直った。

「さっさと済ませるよ」

「いえあのでもその」

 ハルキオンの態度にヴェルトは痺れを切らす。

「さっさと服を脱げよ! このまま2人でこの悪趣味な部屋で暮らすつもりか? それにカイラが危ないんだ! さっさと腹を決めたらどうなんだ!?」

 それはいつもの優しい口調ではない。カイラの事となると相当真剣になるようだ。

「むっ、無理です!」

 ハルキオンが示したのは激しい拒絶。

 しかしそれは、ヴェルトとの性行為に対する拒絶ではないようだ。

「肌を見せるなんて、わっ私にはとても____」

 どうでも良い理由で拒む彼に苛立ちが募り、ヴェルトはハルキオンの胸ぐらを掴んだ。

「そんなくだんない事言ってる場合じゃないんだよ!! またカイラに全部背負わせる気か!?」

「そっ……それは嫌です」

「あの子を守るのが僕らの役目なんだからさ! さっさとしろ!」

 と怒鳴ってヴェルトはハルキオンの体を床へ突き飛ばした。

「いた……っ!」

 転んだハルキオンはゆっくりと立ち上がり、恐怖で体を震わせながら静かな口調で、

「ヴェルトさん、お願いがあります。私の肌の事について、何も訊かないでください」

 と願った後、ハルキオンはようやくベルトを外した。

「下だけでいいんです……よね?」

 「うん」とだけヴェルトは返した。

 やがてハルキオンの下半身が露わになる。

「……あの、その傷って____」

「何も訊かないでください」

 とハルキオンは震える声でヴェルトの言葉を遮った。

 ハルキオンの足には、おびただしい数の切り傷や火傷の痕が残されていたのだ。

 所々ケロイド化しており、赤い筋が実に痛々しい。

「……わかったよ。ベッドにうつ伏せに寝転がって」

 とだけ言い残し、ヴェルトはミキが指差したチェストの中身を漁る。

 ハルキオンはヴェルトの指示に従い、そのままベッドにうつ伏せになった。

 ローションのボトルを持ってベッドまで戻ってきたヴェルトは、ベッドに腰掛け萎えた陰茎を引っ張り出す。

 そして、無理やり陰茎を刺激して何とか勃たせようとし始めた。

「……あの? ヴェルトさん?」

 恐る恐るといった感じでハルキオンは声をかける。

 「なに」とヴェルトは面倒そうな声を返した。

「……妊娠とか、しませんよね?」

「何バカな事言ってるのさ」

 ヴェルトは呆れ声を返す。

「前例があるんです。……まぁ、その方は心が男性の女性で、体的に言ってしまえばじっ、女性だった訳ですが」

「君、女の人なのかい? ……君なんかよりダーティの方が女性らしいよ」

 ダーティの名前だけはしっかりと覚えていたらしい。

「そんなに心配なら、明日産婦人科にでも行ってみれば? ……まぁ、先生に鼻で笑われて終わりだと思うけどね」

「……良いですよ、避妊薬、自分で処方しますから」

「そんな事できる訳ないだろ?」

「大丈夫ですって。私、こっ、この仕事を始める前は、小さな医院を開いてましたから」

 「ふーん」と素っ気なく返し、ヴェルトはようやく勃った肉茎にローションを垂らし、ハルキオンに覆い被さった。

「えっ、あっ、あの」

 挿れるなどといった宣言をせず、ハルキオンの中へ自身の屹立を一気に挿入した。

「い゛っ!? ……たくない?」

 内臓が抉られる衝撃。

 しかし体は悲鳴を上げない。

「というか、むし、ろ……~~ッ♡」

 今まで味わった事のない……体の芯からポカポカと温まるような快感を覚え、ハルキオンは表情をとろけさせる。

 最近まで不能だった男が、少年により雄の悦びを知った。

 そして今日、少年の恋人により雌の悦びを知ろうとしている。

 自分には不要な感情だと知りながら、ハルキオンは体を重ねる喜びを脳に刻み込まれる。

「あっ♡ ……あ~~っ♡ あっ♡」

「声出さないでくれる? 気色悪い」

「っ、すみませ……ん」


(ごめんね、カイラ君……)

 ヴェルトは心の中で懺悔する。

 仕方がないとはいえ、これは完全な不貞行為だ。

 まだカイラとヴェルトが付き合っていなかった頃に、カイラがハルキオンの屹立を扱いたのとは訳が違う。

 交際しているにも関わらず、ヴェルトは他の男……よりによってハルキオンを組み敷いている。

(こんなのカイラ君に知られたら……なんて言われるか)


(なにこれ、なにこれなにこれなにこれ……)

 一方、ハルキオンは未知の経験に戸惑いながら声を出さぬよう枕に顔を埋めていた。

 一応、男性の中には前立腺という器官があり、そこを刺激されると快感を覚えるという事は知識としては知っている。

 しかし、身をもって体験するのは初めてである。

(きもち、いい……ヌルヌルして……ヴェルトさんの、が……あつ、い……)

 気を緩めていると、体が浮遊感で包まれる。

(えっ……なにこれ? な、なんか、体が……っ♡♡)

 ハルキオンは快感に脳を貫かれ、身をブルリと震わせた。


(今イったのか……まぁ、どうでも良いさ)

 早く射精する事だけを考え、ヴェルトは目を瞑りカイラの事を思い浮かべる。

 思い浮かべたのは……偉大なるマジェスティック家のゲストルーム。

 互いに告白し、愛撫し合った時の事。

 双丘の蕾を刺激すると身を捩らせ。

 キスの雨を浴びせてやると目を潤ませた。

 果実の如き睾丸をマッサージすると切なく鳴いて。

 「もっとください」と懇願する。

(ごめんね、カイラ君……本当に、ごめん)

 ヴェルトは罪悪感と共にハルキオンの中へ精を吐き出し、萎えた陰茎を早々に彼から抜いてベッドに座り込む。

 ハルキオンは表情をとろけさせ、未知の快感に混乱しながら上半身を起こす。

「終わったよミキ……さっさとここから出せよ」

 無数のコウモリが宙を舞い、不機嫌そうな表情のミキが現れた。何故か彼は中で液体が揺らめくバケツを手にしている。

「情熱も甘さも疾走感も何もかも足りない! やりなおし!」

 という声と共に、ミキはバケツの中身を2人へ浴びせた。

「ちょっ、何を……っ!?」

 途端に体が熱くなり、ヴェルトのすっかり萎えた陰茎がはち切れんばかりに怒張する。

 ハルキオンも体が火照るようで、耳まで赤くして荒い息を吐き始めた。

「夢魔特製の媚薬。そこらへんの生唾モノなんかよりよっぽど効くぞ」

 ミキは空のバケツを床へ放り投げた。

「ヴェルトお前さぁ……カイラ抱く時もそうするつもりか? しねえよなぁ? もっともっと甘くとろけさせて、自分の事しか考えられなくなるまで甘やかしてから挿入する。それがお前のやり方だろ?」

(……コイツは僕の何を知ってるんだ)

 次にミキはハルキオンを見下ろす。

「ハルキオンもさぁ……ヴェルトに言われたとはいえ、喘ぎ声出さねーのはどうかと思うぜ? あのなぁ喘ぎ声ってのはな? リードする側への応援なんだよ。リードする側ってのはずっと動かねーといけねーからなぁ。応援が必要だろ?」

 後さ、とミキは更に続ける。

「確かに着衣プレイってのはあるぜ? でも俺あんま好きじゃないのよね。全部脱げ。それとヴェルト……ハルキオンの顔が見えないようにバック選んだんだろ? 俺、正常位が好きなのよね。てことで正常位でヤれ。以上」

 と散々ダメ出しと注文をしてからミキは再び消えたのだ。
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