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引っ越しが決まるかな?都会が恋しい。

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お父さんお母さんと妹達は驚いていましたが、なんと話して良いやら、、、

何はともあれ、ゴーレムさんは政府の人でお巡りさんであり、弁護士さんでもあり、ゴーレムさんに聞いたら都会には
いくらでも人手が必要とされており、
ちょうど軍需工場で人手が必要とされており、お父さんは工場で。お母さんは
工場の食堂の賄いさんで雇ってもらえる
事を話しました。
ろくに現金収入が無い、小作人と比べると夫婦共稼ぎの収入は今の10倍以上に
なるかもしれない事、
社宅に住めて家賃の補助もあり、
引っ越すとしたらお金を使わずに引っ越す事もできると説得しました。

お父さんは祖父の残した銀杏の木や
家の事を考えているようでしたが、
お母さんは乗り気で積極的でした。

はっきり言って姉妹が小学校を卒業するまでが一番お金がかかります。

この村に居たら希望が何もありません。
小作人の中でも一番マシなのが我が家なのです。
木に実が実ってもお裾分けするので
ろくに現金は入って来ません。
地主さんですら対して金持ちじゃないんだから、、、
家の中には家財道具が全然ありません。
服や下着や布団を買うのが精一杯の
暮らしです。

こんな幸運(チャンス)は2度と来ないでしょう。

『村の人には何も言わずに家を出て
引っ越しましょう。
頼られては困ります。
ゴーレムさんが居る、今すぐに家を出ましょう。』
と私は言いました。

私がゴーレムさんと仲良く家に帰ったのは噂になっているでしょう。

根掘り葉掘り聞かれる前に家を出るべきです。
持てる物だけを持って引っ越すべきです。
『ゴーレムさん、家族を移動させる
手段はありますか?』
と聞くとゴーレムさんは
『車を手配しました。
車が到着したら、すぐに出れます。』
と言いました。
大正時代に車とは凄いです。
ガソリンだって手配するのは大変だろうに。
それとも灯油とかで動くのでしょうか?

『よし!わかった!引っ越ししよう。
みんな、荷物をまとめなさい。』
とお父さんも決意を固めました。

そういえば、お父さんもお母さんも
都会に憧れていたと言っていたような
、、、
そうして荷物をまとめると、
大きなエンジン音が表から聞こえて
きました。
えっ?
これって、ワゴン車?

運転席と助手席が大きいですがワゴン車のような車です。側面のドアを開いてお父さんと妹、お母さんと下の妹が乗り込みます。
あれ?シートベルトがある。
しかもワンロック型だ。

しかもリムジンのような対面型です。
まさか、この時代に8人乗りのワゴン車があるとは驚きです。

村の人達が続々と集まって来ます。
すでに噂になっている上、大きな自動車があるのだから、そりゃあ見に来るでしょう。
こんな車に乗っているのは政治家や
お金持ちや軍や警察の人間くらいです。
いや、地方だとよほどの人間でも
自家用車なんて維持できません。
妹達は大喜びです。
こんな高級車に乗れるのですから。

大きな駅に行ってもバスなんて
あるかないかという時代ですもんね。

そうして車はゆっくりと走り出しました。
これで村とはお別れです。
転生で記憶が曖昧なので同級生の顔とかもどれだけ覚えていられるか。
一生の別れになるかもしれませんね。

お父さんもお母さんは上機嫌です。

私はシートの座り心地の良さが不思議でした。
なんだか、平成時代の日本車のワゴン車のシートよりも座り心地が良く感じます。
そんな事があり得るのでしょうか。
それに、ハンドルがある運転席ですが、
ゴーレムさんの運転が上手過ぎるような、、、
アスファルトでなく土の道を走行しているのに全然揺れません。

まぁ、ゴーレムがあるのだから、
考えるだけ無駄かもしれません。

気がついたら、うちの家族は眠ってしまっていました。

(運転席はアルくんが操縦できるよう
かなり広めです。運転席は座席が取り外し式になっており、アルくんは車と合体して運転しています。
この車もゴーレムなのでゆっくりなら
ガソリンを使わずに走行する事が可能です。)
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