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25.【解決編】致命的な過ち②
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少しの間洗い場は静寂に支配されていた――アメリアにはそれが永遠に続くように感じられた。
先ほどのアルバート卿の口調はあくまで穏やかだったが、真摯な答えを要求しているのは明らかだった。
アメリアはそのヘーゼルの瞳に揺れが映る前に、さり気なく彼から顔を背けて正面を向いた。
そして、一つ息を吐いてから、わざと明るい調子で答えた。
「……あなたならおわかりでしょう?ミスター・レジナルド・シルヴァリーが犯人であるとする証人と物証を得るためです。先日、ヘイスティングス警部から犯人の容疑を固める要素として、その2つを聞いたので」
アメリアはまるで事前に練習でもしたかのように淀みなく語ることができた。
一方で、半地下にあるためか夏でも冷たい洗い場の石造りの床のせいで自分の体まで冷えていくように感じられた。
「私は今日ミスター・シルヴァリーはクリケットに出かけてご不在だと思っていました。あくまで家政婦のミセス・スウィーニーと話したくてこの屋敷を訪ねたのです。ミセス・スウィーニーが庭のジギタリスから薬――ジゴキシン――を煎じていると推測していたので、もし本当にそうであれば、彼女がミスター・シルヴァリーが毒を入手していたことについての証人になり得ると考えました」
アメリアは自分の話に言い訳めいた響きがないかがひどく気になり、特段下がってもいない手袋を引き上げた。
「そして、実際に彼女はジゴキシンを煎じていることを認めました。犬のための薬だと騙されていたようです」
アルバート卿は頷くことも反論することもせず、ただ彼女の話を聞いていた。
その灰色の瞳は依然として彼女の横顔に向けられている。
「それから、物証のために庭のジギタリスの葉を一枚いただいていこうとしたところで、運悪く今日の暑さのせいでクリケットが途中で中止になったミスター・シルヴァリーが帰宅されて、今このように――」
アメリアは話は終わりとばかりに敢えて肩を竦めて見せた。
しかし、当然アルバート卿は誤魔化されなかったし、今日ばかりは誤魔化されたふりもしてくれなかった。
「……それでは私の問いに半分しか答えていませんよ」
少しの沈黙の後、アルバート卿は相変わらずの穏やかな調子で言った。
しかし、その言葉には鋭さがあった。
正面を向いたままのアメリアは自分の横顔に彼の視線が刺さるのを感じた。
視線を横に向ければ彼が今どんな表情をしているかわかるのだろうが、それを知りたくなかった。
「私は何故あなたは"一人で"ここに来たのかと尋ねたのです」
アメリアは視線を落として、彼の真意に気づかないふりをした。
その"ふり"が数秒しか持たないことはわかっていても、そうせずにはいられなかった。
「ここまで見事な推理に至っていながら、何故私に――いえ、何故誰にも相談しなかったのですか?」
避けようとしていた問いが投げかけられたのを聞いて、アメリアは一度ゆっくりと瞬きをした。
彼女の頭の中には無難な答えと正直な答えの両方が浮かんでいた。
迷う必要はなかった。明らかに前者を選ぶべきだった。
アメリアとアルバート卿は、今はたまたま事件のための協力しているが、公式にはレディ・グレイスを通した"友人の兄"と"妹の友人"という関係でしかない。
そして、ここを無事に出ることができればまたその関係に戻るのだ。
アメリアはまだ生還する希望を捨てていないのだから、無難な答えを選べばいいはずだった。
しかし――。
「……自信がなかったのです」
正直な答えの方が彼女の唇からこぼれ落ちてしまった。
「"自信"?」
その答えを訝しむアルバート卿に聞き返されたアメリアは小さく頷いた。
「ええ……たまたま遠縁の爵位を継いだだけで、生まれが貴族ではない俄か女男爵の私には、失敗が許されません。だから、自分の推理に相当の自信が持てる裏付けを得るまでは誰も言えませんでした」
アメリアは自分の推理が誤っていた場合の行く末を思い浮かべた。
大した根拠もなく名門の伯爵家に連なる紳士を無実の罪で告発した中産階級出身の女男爵――社交界での立場はきっと一瞬でなくなってしまう。
「つまり、私は自分の立場を守ることを最優先に行動したというわけです。……大きな過ちでした」
アルバート卿はただ静かに聞いていた。
彼の視線は洗い場の床を探るように見ていた。
「本当に……致命的な過ちです」
アメリアは独り言のように呟くと、アルバート卿の方に顔を向けた。
彼もそれに合わせて彼女の方を見た。
「でも――私もあなたに聞きたいのです。アルバート卿」
彼に問う前にアメリアは右手を一度だけ握りまた開いた。
もう視線は逸らさなかった。
きっと遅かれ早かれ問わなければならなかったのだとアメリアは思った。
「あなたはどうして自らここにいらっしゃったのですか?あなたはそういう方ではないはず。あなたはいつだって理性的で合理的ですもの」
アルバート卿はその灰色の瞳を少し見開いてから、ただアメリアのヘーゼルの瞳を真っすぐに見つめる。
「私はこの過ちに殉じる覚悟はできていました。でも、最初に過ちを犯したのは私なのですから、死ぬのは私だけで良いはずです」
いつもは好奇心に輝いているはずのアメリアのヘーゼルの瞳には、今ははっきりと動揺が浮かんでいた。
彼女はそれを取り繕わなければいけないとわかっていたが、どうしてもそれができなかった。
「何故来てしまったんですか?他の誰でもなく何故あなたが?私は――」
アメリアの言葉はそこで途切れた。
続く言葉は考えることすらできなかった。
その恐れの大きさに耐えきれないからだ。
アルバート卿はただ沈黙してアメリアのヘーゼルの瞳を見ていたが、その灰色の瞳の奥でわずかに揺れるものがあった。
彼は一度目を閉じると、その口元にいつも通りの皮肉な笑みを浮かべ、再びアメリアを見た。
「私は、正直、あなたと死ぬならそれも悪くないと思っていました。でも、今のあなたを見て考え直しました」
ほんの一瞬、アメリアの右手が彼女のブルーグレーの上着越しに心臓の在り処を探って彷徨った。
彼とは違って大した怪我は負っていないはずなのに、何故かそこに痛みを感じた気がした。
アメリアはその痛みを無視して口を開いた。
「次にミスター・シルヴァリーが下りてきたら、あなたは何も知らないことにして逃げてください」
「……なぜそんな話に?」
アルバート卿は眉を寄せて再度アメリアを見た。
彼女もまた彼を見つめ返す。
声が震えてしまうのがわかっていたが、今となってはもうどうでも良かった。
「あなたは私と死ぬよりももっと良い生き方があります。今、ご自分でもおっしゃったでしょう」
その言葉にアルバート卿は不意を突かれたように目を見開いた。
そして、「ああ、なるほど」と言って少し笑った。
それはいつもの皮肉な笑みではなく、もっとずっと穏やかで温かい笑みだった。
「私がさっき言ったのは、私はあなたと死ぬのではなく、あなたと生きるべきだと思い直したという意味ですよ」
アメリアは目を見開く。
彼の言っていることは――。
「そう言ったつもりだったのに、探偵女男爵のあなたでも解釈を誤ることがあるなんて――」
“それ"を見てアルバート卿の笑みが消えた。
彼の青みがかった灰色の瞳にはっきりと戸惑いの色が浮かぶ。
そして、アメリアもまた自分に戸惑っていた。
「――なぜ泣くんです?」
眉を寄せながらもそう問うアルバート卿の声は優しかった。
「だって、今の言葉はまるで――」
アメリアは無作法を承知で手袋をした手で頬の涙を拭うが、それは次から次へと溢れてきて止まらなかった。
「……ええ、そうです。今度こそあなたの推理通りですよ」
そう言って彼はアメリアの手をとってそっと彼女を引き寄せた。
そして、どちらが先でも後でもなく、まるで二人とも最初からそうすることを決めていたかのように――唇が重なった。
先ほどのアルバート卿の口調はあくまで穏やかだったが、真摯な答えを要求しているのは明らかだった。
アメリアはそのヘーゼルの瞳に揺れが映る前に、さり気なく彼から顔を背けて正面を向いた。
そして、一つ息を吐いてから、わざと明るい調子で答えた。
「……あなたならおわかりでしょう?ミスター・レジナルド・シルヴァリーが犯人であるとする証人と物証を得るためです。先日、ヘイスティングス警部から犯人の容疑を固める要素として、その2つを聞いたので」
アメリアはまるで事前に練習でもしたかのように淀みなく語ることができた。
一方で、半地下にあるためか夏でも冷たい洗い場の石造りの床のせいで自分の体まで冷えていくように感じられた。
「私は今日ミスター・シルヴァリーはクリケットに出かけてご不在だと思っていました。あくまで家政婦のミセス・スウィーニーと話したくてこの屋敷を訪ねたのです。ミセス・スウィーニーが庭のジギタリスから薬――ジゴキシン――を煎じていると推測していたので、もし本当にそうであれば、彼女がミスター・シルヴァリーが毒を入手していたことについての証人になり得ると考えました」
アメリアは自分の話に言い訳めいた響きがないかがひどく気になり、特段下がってもいない手袋を引き上げた。
「そして、実際に彼女はジゴキシンを煎じていることを認めました。犬のための薬だと騙されていたようです」
アルバート卿は頷くことも反論することもせず、ただ彼女の話を聞いていた。
その灰色の瞳は依然として彼女の横顔に向けられている。
「それから、物証のために庭のジギタリスの葉を一枚いただいていこうとしたところで、運悪く今日の暑さのせいでクリケットが途中で中止になったミスター・シルヴァリーが帰宅されて、今このように――」
アメリアは話は終わりとばかりに敢えて肩を竦めて見せた。
しかし、当然アルバート卿は誤魔化されなかったし、今日ばかりは誤魔化されたふりもしてくれなかった。
「……それでは私の問いに半分しか答えていませんよ」
少しの沈黙の後、アルバート卿は相変わらずの穏やかな調子で言った。
しかし、その言葉には鋭さがあった。
正面を向いたままのアメリアは自分の横顔に彼の視線が刺さるのを感じた。
視線を横に向ければ彼が今どんな表情をしているかわかるのだろうが、それを知りたくなかった。
「私は何故あなたは"一人で"ここに来たのかと尋ねたのです」
アメリアは視線を落として、彼の真意に気づかないふりをした。
その"ふり"が数秒しか持たないことはわかっていても、そうせずにはいられなかった。
「ここまで見事な推理に至っていながら、何故私に――いえ、何故誰にも相談しなかったのですか?」
避けようとしていた問いが投げかけられたのを聞いて、アメリアは一度ゆっくりと瞬きをした。
彼女の頭の中には無難な答えと正直な答えの両方が浮かんでいた。
迷う必要はなかった。明らかに前者を選ぶべきだった。
アメリアとアルバート卿は、今はたまたま事件のための協力しているが、公式にはレディ・グレイスを通した"友人の兄"と"妹の友人"という関係でしかない。
そして、ここを無事に出ることができればまたその関係に戻るのだ。
アメリアはまだ生還する希望を捨てていないのだから、無難な答えを選べばいいはずだった。
しかし――。
「……自信がなかったのです」
正直な答えの方が彼女の唇からこぼれ落ちてしまった。
「"自信"?」
その答えを訝しむアルバート卿に聞き返されたアメリアは小さく頷いた。
「ええ……たまたま遠縁の爵位を継いだだけで、生まれが貴族ではない俄か女男爵の私には、失敗が許されません。だから、自分の推理に相当の自信が持てる裏付けを得るまでは誰も言えませんでした」
アメリアは自分の推理が誤っていた場合の行く末を思い浮かべた。
大した根拠もなく名門の伯爵家に連なる紳士を無実の罪で告発した中産階級出身の女男爵――社交界での立場はきっと一瞬でなくなってしまう。
「つまり、私は自分の立場を守ることを最優先に行動したというわけです。……大きな過ちでした」
アルバート卿はただ静かに聞いていた。
彼の視線は洗い場の床を探るように見ていた。
「本当に……致命的な過ちです」
アメリアは独り言のように呟くと、アルバート卿の方に顔を向けた。
彼もそれに合わせて彼女の方を見た。
「でも――私もあなたに聞きたいのです。アルバート卿」
彼に問う前にアメリアは右手を一度だけ握りまた開いた。
もう視線は逸らさなかった。
きっと遅かれ早かれ問わなければならなかったのだとアメリアは思った。
「あなたはどうして自らここにいらっしゃったのですか?あなたはそういう方ではないはず。あなたはいつだって理性的で合理的ですもの」
アルバート卿はその灰色の瞳を少し見開いてから、ただアメリアのヘーゼルの瞳を真っすぐに見つめる。
「私はこの過ちに殉じる覚悟はできていました。でも、最初に過ちを犯したのは私なのですから、死ぬのは私だけで良いはずです」
いつもは好奇心に輝いているはずのアメリアのヘーゼルの瞳には、今ははっきりと動揺が浮かんでいた。
彼女はそれを取り繕わなければいけないとわかっていたが、どうしてもそれができなかった。
「何故来てしまったんですか?他の誰でもなく何故あなたが?私は――」
アメリアの言葉はそこで途切れた。
続く言葉は考えることすらできなかった。
その恐れの大きさに耐えきれないからだ。
アルバート卿はただ沈黙してアメリアのヘーゼルの瞳を見ていたが、その灰色の瞳の奥でわずかに揺れるものがあった。
彼は一度目を閉じると、その口元にいつも通りの皮肉な笑みを浮かべ、再びアメリアを見た。
「私は、正直、あなたと死ぬならそれも悪くないと思っていました。でも、今のあなたを見て考え直しました」
ほんの一瞬、アメリアの右手が彼女のブルーグレーの上着越しに心臓の在り処を探って彷徨った。
彼とは違って大した怪我は負っていないはずなのに、何故かそこに痛みを感じた気がした。
アメリアはその痛みを無視して口を開いた。
「次にミスター・シルヴァリーが下りてきたら、あなたは何も知らないことにして逃げてください」
「……なぜそんな話に?」
アルバート卿は眉を寄せて再度アメリアを見た。
彼女もまた彼を見つめ返す。
声が震えてしまうのがわかっていたが、今となってはもうどうでも良かった。
「あなたは私と死ぬよりももっと良い生き方があります。今、ご自分でもおっしゃったでしょう」
その言葉にアルバート卿は不意を突かれたように目を見開いた。
そして、「ああ、なるほど」と言って少し笑った。
それはいつもの皮肉な笑みではなく、もっとずっと穏やかで温かい笑みだった。
「私がさっき言ったのは、私はあなたと死ぬのではなく、あなたと生きるべきだと思い直したという意味ですよ」
アメリアは目を見開く。
彼の言っていることは――。
「そう言ったつもりだったのに、探偵女男爵のあなたでも解釈を誤ることがあるなんて――」
“それ"を見てアルバート卿の笑みが消えた。
彼の青みがかった灰色の瞳にはっきりと戸惑いの色が浮かぶ。
そして、アメリアもまた自分に戸惑っていた。
「――なぜ泣くんです?」
眉を寄せながらもそう問うアルバート卿の声は優しかった。
「だって、今の言葉はまるで――」
アメリアは無作法を承知で手袋をした手で頬の涙を拭うが、それは次から次へと溢れてきて止まらなかった。
「……ええ、そうです。今度こそあなたの推理通りですよ」
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