傷を抉る

だらしが為し

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憎い。

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時々。本当に時々。過去の自分と嫌でも対面するときがある。忘れてしまいたいと、蓋をすることはあれど消えはしない過去がある。このエッセイを私は、書き終えることが出来るのだろうか。傷を抉ってまで表現したいと思うのはなぜだろう。分かってるはずだ。こうして作品にしたって消化されることなどないのだ。過去の自分を受け止めることができると思ってた。誰でもない、今の私だけが抱きしめることが出来ると思ってた。でも、あの子は消えないのだ。いつまでも私の中で体育座りをして睨んでいるのだ。私でさえも。
愛に飢えていると気付いたのはいつ頃だろうか。誰かといてもいつも精神的に一人だった。誰かと普通に会話できる人が憎い。存在価値が自分にあると信じて疑わない人が憎い。どうして消えたくならないの?どうしてそんなに我儘が言えるの?どうしてお前が愛されて私が愛されないの?必死に頑張って取り繕っているのにどうして誰も私を見てくれないの?認めてくれないの?やめてやめて。良い様に使わないで。嫌い。全部嫌い。
醜い感情ばかりが身体の中で渦を成して暴れる。自分の意志とは反して腕が振り下ろされる。何度も何度も。太もも、ふくらはぎを殴りつける。泣いたって叫んだって止まらない。
腕の筋肉が疲れてようやく止まるのだ。その頃には足は赤くなり、次の日には紫へと染まる。体育の時、教師は案外見ていないのかもしれない。紫色の足をそのままにグラウンドを走りながら、ぼんやりとそう思った。スカートの長さには敏感なのにね。
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