ujasiri

パレット太郎

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第5章

満身創痍

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ったく……

ふぅ………

夜か。

アシタバを巻いたとて、ウジャの傷と痛みは簡単に癒えるものではない。

ただ、ばあちゃんから教わった言葉が、
ウジャをシールドのように包み込む。

人との関わりがあまり多くないウジャ。
それだけに人の言葉は響く。
その一言から、本物を見つけられる。

ばあちゃんの言葉は、本物だ。

昨日よりも多く矢を携える。
ボロい装備だが、じいちゃんが残してくれた具足も身に着ける。

今日も来るのか?イヌガミよ?

ウジャは門を開け、満身創痍で出陣。

「あぁーー、今日はさぁ、よぅ飲んだわいねぇ!」

「おいおい!気を付けて帰らんねぇ?」
「大丈夫かいゃぁ??」

「気にしんさるなぁ!!すぐそこじゃけぇぉあか!」
オゥェエエエエエアエェェェエエエ

「あぁ、吐きよるじゃないかぁ!!」

「だ、、だいぶ!れ大丈夫かたねれ!」

ヨロヨロヨロヨロ……

「明日は休みじゃ言うてもありゃ、飲み過ぎじゃぁ……」

オゥェエエエエエアエェェェエエエ
「ハァハァ。また吐いたわ、へへ。」
「さてっとぅ、家に帰らんとなぁぁ……」

ヨロヨ、ロヨ、ロヨロ……

「じいちゃん、ばあちゃん。」
「ワシに力を、貸して。」
「やらんといけんから。」

ウジャは、立ち上がり
今日も、イヌガミを待つ。

弓と矢。腰には鉈を。
「じいちゃんが、護り神じゃ。」

オゥェエエエエエアエェェェエエエ
「ワシ、どこまで吐くんよぅこれ……」

「ってか、家に帰るつもりやったがさぁ…」
「ここは、何処じゃ……」

ズどっづっづばぁぁーーーーーーん!!!!
木々が無き倒される!!!!

「来た!!!!!!!!!!」
ウジャは構える!!

「あと、一体……今日こいつを殺る。」

バキバキバキバキバキバキッムッヅムッッ!

ウジャは、弓を構える。

見えて来る………イヌガミ……

「五体?!る??るる!る、??!、!!!」

どう、どうする?ウジャ?!

ウジャ、やるだけやる。

そして!!!よっぴいてひゃうどはなつ!!!

「うぁヴあああああぁあぁああああああいぉ!!!」
酔っ払いの目の前に、イヌガミ五体が現れる!!

じょおおえおおああああうううああああ
もうなにが漏れたのかも分からない。

「やぶぇ!!やぶぇこれ!!!ほんとに、いた!!」
オゥェエエエエエアエェェェエエエ
吐きながら、腰を抜かす。

それに気付いたイヌガミの一体が、面倒そうに近づき、
一爪を頭に振り込む。
ブゥン!!!!!
儚いくらい簡単に、首が飛んでいく。

一方、イヌガミの死体が地に伏す。

その巨躯から流れる血は、土を濡らし、
腐葉土の香りに混ざって、夜の山に新たな獣の匂いを刻む。

ウジャは肩で息をしながら、矢を引き抜き、
次の射に備えていたが、指の感覚が鈍くなっている。

皮膚が裂け、指の関節が震える。

それでも、矢を掴む!

それでも、番える!!

それでも、弾く!!!

目の前の五体のうち、既に三体は血に沈んでいる。
しかし、残る二体は慎重に距離を詰めてきていた。

呼吸に合わせて、イヌガミの鼓動が山に響く。
心なしか、その律動に合わせて、ウジャの心も静まっていく。

「腹だ……腹を狙う……」

呟きは、既に呪文のようだった。

月が僅かに雲間から顔を出す。
その銀光が、イヌガミの腹を照らす。

そこだけが、柔らかく、毛が薄い。

ウジャは、膝をつき、最後の集中を込めて矢を放つ。

それは、風を裂き、闇を貫き――

沈黙。

イヌガミが、ひとつ、ふたつ、音を立てて倒れた。

ウジャ、時間切れだわ。

そして、夜が明けた。

その時、ウジャはもう、座り込んで空を見上げていた。

「朝かぁ……」

笑うような、泣くような声が、森に溶けていった。
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